“優秀なプレイヤー”から脱却するために――マネージャーとしての仕事習慣を身につけ、業務を円滑にする「アナログツール」の活用法とは?

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マネージャーとなり、部下を持ったりチームを率いたりする立場になったとき、急に自身の働き方に疑問を抱いたり、悩み始める人は少なくありません。

「いくらやっても、仕事に終わりがない」「自分の時間が、全く取れない」「常に、ストレスにさらされている」…など。プレイヤー時代とは仕事のやり方を変える必要があるのに、なかなかそれができず、目の前に山積した仕事に翻弄されてしまうのです。

日本マイクロソフトで営業マネージャーを務めた経験のある田島弓子氏は、多忙を極めた自身のマネージャー経験から「プレイングマネジャーこそ、ノートや手帳、付箋などといったアナログツールを活用すべき」と説いています。「マイクロソフトの営業部長」という肩書からは、「最新のデバイスを駆使するデジタル強者」をイメージする人が多いと思われますが、同氏は「PCなどのデジタルツールは効率よくかつ一元的に仕事を処理するために必要不可欠ですが、加えてアナログツールを活用することで、マネージャーとしての仕事が10倍楽になる」と言います。

なぜ、アナログツールが必要なのか、どのように活用するのが効果的なのか。先ごろ同士がまとめた著書『プレイングマネジャーの戦略ノート術』の中から一部をご紹介します。

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「3つの原則」を守って、プレイングマネジャーの仕事習慣を身につける

プレイヤーからマネージャーになるとき、誰しもぶつかるのが「優秀なプレイヤーからの脱却」という課題。一人でいくら頑張っても、部下は育たず、チームとして結果を出すこともできない。「個人プレーではなくチームプレー」、「自分が動くのではなく周囲の力を引き出す」へ、働き方の変革が求められる。

とはいえ、優秀なプレイヤーだった人ほど、なかなか目標達成できない状況が続くと、どうしても自分が動きたくなってしまうもの。そんなとき、田島氏は「アナログツールを使って仕事習慣を変えること」を勧めている。

まず、優秀なプレイングマネジャーの仕事習慣を身につけるために、著者は以下の「3つの原則」を守ることが必須としている。

① スケジュールには、意図的に「余白」を作る

突発的な事故や部下のトラブルにすぐに対応できるよう、手帳にしてもカレンダーにしても、「意識的に余白の時間を取る」ことを意識しよう。迅速に対応できるよう、余裕を持って。

② 常に「全体像」と「現在地」を把握する

プレイングマネジャーにとって大事なのは「俯瞰する力」。先を見ながら次の一手を繰り出し、複数の仕事を同時進行でヌケモレなく進めるには、全体像を一覧できるツールが必要。

③ コミュニケーションに「ひと手間」かける

人を巻き込み、動かすためには、丁寧なコミュニケーションが重要。ただし時間をかける必要はなく、心を込めた「ほんのひと手間」でチームのパフォーマンスで最大化できる。

「3つの原則」を実現する、アナログツールの使い方とは?

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そして、この「3つの原則」を実現するために、以下のようなアナログツールの使い方をするといい、とアドバイスする。

① 手帳はスカスカ、ToDoリストは1週間単位で

予定を埋めすぎないことと、「毎日のToDoリスト」に余裕を持たせておくことがポイント。1週間のToDoリストは綿密に立て、その週の中で帳尻を合わせる。このように柔軟性を持たせることが大切。

なお、著者がマネージャー時代に愛用していたのは、180度にバタっと開ける、リング綴じのA5サイズのスケジュール帳。今週のページが見開きの状態でデスクの上に置いておき、誰でも自由に見られるようにして、部下に情報収集のためのリソースとして活用してもらうようにした。また、部下に見てほしい情報は確信犯的に書き込み、「魅せるマネジメント」を心がけた。

② ホワイトボードとA4用紙で俯瞰する

大きな白いスペースに書き出すことで、全体像が見えてくる。書き出す過程で頭の中も整理され、全体を見ながら「今やるべきこと」を明確化できる。全体が見えると不安が晴れ、マネージャーとしてのストレスも軽減するのでオススメ。

著者は、マイクロソフトの営業部長として激務を極めていた頃、自分の席にいると雑音が多すぎてじっくり考えられないことに悩んでいたという。電話はひっきりなしに鳴り、部下にも上司にも話しかけられ、内外から緊急のメールも次々に入ってくる。

そこで、一人で自由に発想する時間を持つために、短時間でも会議室にこもり、ホワイトボードに向かうようにしていたという。そして脳内に溜まっていたキーワード、懸案事項をどんどん書き出し、ある程度になったらいったん手を止めて全体を眺めると、プランの抜け漏れや弱いところが見つかるのだという。

③ 「手書き」のちょい足しでフォロー

付箋やA4用紙などに手書きでひと言添える。このちょっとした工夫で、コミュニケーションは劇的に効果的なものになる。「必ず読んでください!」「ありがとう」などの一言を添える習慣が、チームの力を引き出す。

例えば営業実績の状況共有をする際、エクセルデータの出力をただ配布したり、メールに添付したり、ネットワーク上で共有するだけではNG。自分が期待した通りには部下は数字を読み取ってくれないし、数字を通達するだけでは部下は目標をコミットできないからだ。そこで著者が行っていたのが、「手書きで資料に命を吹き込むひと手間」。プリントアウトして、余白にコメントやメモを書き込んだり、注目してほしい数字を丸で囲んだり、付箋に補足情報を書いたりしてから共有したり。これにより、無機質なデータに「思い」が入り、「上司の意図や意志が伝わる書類」にすることができる。

自分ならではの「戦略ノート」をカスタマイズ

――いかがでしたか?本書では、上記で紹介したもの以外でも、ノート、手帳、メモ、付箋、ホワイトボード、A4用紙などのアナログツールを駆使して、仕事を効率的、効果的に進める具体的な方法をさまざま紹介しています。「マネージャーだからこその膨大な仕事量」をサクサクと円滑にこなし、「忙しい故のコミュニケーション不足」を解消するための、自分にピッタリのツール活用方法がきっと見つかるでしょう。

また、本書は「プレイングマネジャー向け」とされていますが、リーダーとしてチームの取りまとめを任された、先輩社員として新人の育成を任された…などという若手ビジネスパーソンにとっても、大いに参考になるはずです。

なお、巻末には、仕事の司令塔となり得る「ウイークリー手帳」、1年間の仕事の体感を見える化する「年間イベントメモ」、そしてマルチタスクの進捗管理に活用できる「5週間カレンダー」のテンプレートが付いています。拡大コピーしてノートに貼れば、自分だけの「戦略的な手帳」が作れますよ。

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参考書籍:『プレイングマネジャーの戦略ノート術』/田島弓子/ダイヤモンド社

EDIT&WRITING:伊藤理子

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