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【ITプチ長者への道】世界1000万超ダウンロードの”バカゲー職人 ハップ”に聞く「”食える”アプリ制作の極意」

スマホアプリやLINEスタンプ、イラスト、写真・・・・・・etc。今の時代、個人が制作したものを、ネットを利用して販売するチャネルが増えている。でも、そのなかから頭角を現すのは、ほんのひと握りだけ。彼らはなにが違ったのか? 今回の「ITプチ長者への道」は、最新作『ママにゲーム隠された』をはじめ、ユニークな世界観が魅力のスマートフォン向け無料ゲームアプリを多数リリースしているハップ氏に、アプリ制作のコツや無料ゲームで収益を上げるためのポイントについて聞いた。

「恥を忍んで世間の目にさらされる覚悟」がクオリティを高める

「こんなゲームを世に出していいのかな? っていう、申し訳ないような気持ちが今でも抜けないんですよね。ゲームが完成しても、リリースするのは本当にギリギリまで躊躇しちゃって、マーケットにアップロードするボタンは、いつも『えいやッ!』って気合を入れないと押せないんです」

と語るハップ氏。今年8月にリリースし、11月までに全世界で500万以上もダウンロードされた『ママにゲーム隠された』ほか、多数のスマホゲームアプリをリリースしている気鋭のゲームクリエイターにしては、かなり消極的なキャラクターの持ち主である。

最新作『ママにゲーム隠された』は、部屋のなかからママに隠されたゲームを探すというシンプルな脱出ゲーム。ママに見つかったらゲームオーバーだ。なぜ”脱出ゲーム”なのかは、全面をクリアすれば明かされる

少年時代の夢はマンガ家だった。社会人になる前には、とあるマンガ賞の優秀賞に選ばれたこともあり、デビューを目指し、出版社に持ち込みをしていた時期もあるという。当時好きだった作家が漫☆画太郎や長尾謙一郎と聞けば、描いていた作品のテイストも想像がつくというもの。そんな漫画家志望の青年が、なぜゲームクリエイターへの道を歩むことになったのか。

「絵も下手でしたし、自分の能力ではプロになるのは難しいかな、と。そこで早々に進路を変えて、小さなWebデザインの会社に就職したんです。もともと独立志向があったので、デザインやプログラムといった仕事のイロハを学ぶだけでなく、フリーランスになるための人脈づくりにも役立つかなと思って、同じ業界で何度か転職しました」

時は2000年代初頭、Webはまだ生まれたてのホットな業界だったこともあり、仕事はたくさんあった。ハップ氏も、広告系の仕事を精力的にこなし、しかるべきスキルと人脈を得たのちに独立。正直「大手のクライアントにも恵まれ、まぁまぁの収入があった」というが、”ある事情”によりアプリ制作の道を歩むことになる。

「スマートフォンの普及で、めっきり仕事が減りまして。それまでFlashというツールを使ってコンテンツを制作していたんですけど、スマホ向けのWebページってFlash非対応が主流なんですよね。それで暇になって時間を持て余していたときに、Flashでスマホ向けアプリが制作できることを知ったんです」

ハップ氏のアプリはすべてFlashで制作されている。イラストはすべて自身が描いたもの。声や音楽は外注することもあるという

時の流れに身を任せ、Webデザインのために身に付けたFlashのスキルを生かし、アプリ制作に勤しむようになるのだが、ヒット作に恵まれるまでの道のりは・・・・・・。

「大変だったようなそうでもないような、微妙なところですよね。すでに公開停止してしまったものを含め、いくつものアプリをリリースしましたが、そこそこヒットし始めたのは『こんなフリーキックはイヤだ』から。それ以降の作品も、ヒット作にしようとか、儲けようとかいう気持ちではつくっていないんです。じゃあ、まったくの趣味かといえば、そういうことでもなく・・・・・・」

どういうことなのか。

「強いて言うなら、作品を世に出し続けている原動力は『せっかくつくったんだから、みんなに遊んでほしい』っていう気持ち、ですかね。つくるのは楽しいのですが、クオリティに関しては毎回自信がないんです。だからといって100%納得できる作品なんて、そう簡単にできるわけないじゃないですか。明確なオーダーや締め切りがあるクライアント仕事なら、先方の要望に極力近いものにしようというモチベーションが湧きますけど、自分自身を相手にするのは本当に難しい。いくらでも妥協できるし、いつまでも妥協しないこともできちゃう」

だからこそ『えいや!』と気合を入れてリリースする”勇気”が必要なのだと、ハップ氏は言う。

「アプリをつくって売るうえで、最初はこれがいちばん大切なんじゃないかと思うんです。夜中のテンションだろうが何だろうが、思いついたアイデアは必ず形にする。アプリの場合、リリース後もバージョンアップでいくらでも手直しが出来ますからね。リリースしてユーザーの手に渡らないと見えてこないことがたくさんあるから、スキルやクオリティを高めるためには、恥を忍んで世間の目にさらされる覚悟がいるんですよ」

2014年にリリースした『こんなフリーキックはイヤだ』は、これまでに累計500万ダウンロードされたハップ氏初のヒット作。リリース後にもステージが追加されたりとアップデートされている 『うしろ! うしろ!』は、ママがドアを開けそうになったらダンスを中断するという”音ゲー”。こちらも累計150万ダウンロードを突破した

「ユーザーにストレスを与えない」ことが、広告配置の自己ルール

いわゆる「出世作」となった『こんなフリーキックはイヤだ』を筆頭に、ハップ氏のゲームには共通する特徴がある。どのアプリもゲームというよりは、いわゆる「シュール」なギャグマンガに近い世界観なのだ。

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