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【講演レポ】主要HMDメーカーが「VR元年とVRの進化」について語り合ったJVRS2セッション1

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11月16日、 水天宮のロイヤルパークホテルにて、グリー株式会社と一般社団法人VRコンソーシアムが共同開催する「Japan VR Summit 2」が行われました。本イベントは、今年の5月に開催された第2回目の開催となり、前回を上回る約500名が来場しました。

「Japan VR Summit 2」の最初のセッションは、カドカワ株式会社取締役・ファミ通グループ代表の浜村弘一氏をモデレーターに、VRのハードウェア領域で世界をリードする企業に所属する下記の4名を迎えて行われました。

• ジェイソン・ホルトマン氏(Oculus/Head of Publishing)
• ジョエル・ブルトン氏(HTC Vive/VP Global VR Content)
• 高橋泰生氏(ソニー・インタラクティブエンタテインメント /グローバル商品企画部 担当課⻑)
• ノア・ファルステイン氏(Google, Inc./Chief Game Designer)

2016年 VR元年を振り返って

セッションが本格的に始まる前の自己紹介で、HTCのジョエル氏は世界中のコンテンツクリエーターと会ってコミュニケーションを行い信頼関係を築いていることを明かしました。もちろん日本のコンテンツクリエーターにも会っているとのこと。Googleのノア氏は、1980年代のゲーム業界に似ている印象を抱いていることを述べ、VRを使って人々にマジックの様な感覚を届けることができる非常に面白い時代だと話しました。

まずはVR元年と言われている2016年を振り返るというテーマに。Oculus VRのジェイソン氏は、最初に製品をリリースすることができたことを挙げました。そしてVRは、没入感を得られるという以上に大きな魅力や潜在力を秘めていることが分かってきたとを示し、3年前には不可能だと思われていたことができるようになった年になったと述べました。


左からジェイソン・ホルトマン氏、ジョエル・ブルトン氏

HTCのジョエル氏は、VRヘッドセットが一般向けに販売されたことから、人類を「VR体験したことがある人/体験したことが無い人」とグルーピングしても良い状況になったのではと指摘。さらにVR開発の環境(ゲームエンジンやアセットツールなど)とコンテンツ配信システムが整っていることから、VRコンテンツの黄金時代が到来していると考えを示しました。

ソニー・インタラクティブエンタテインメント(以下、SIE)の高橋氏は、ハードウェアの準備段階が終わって、一般に広くVRコンテンツを届けることができる環境になったと語りました。また、コンテンツクリエーターが自信を持って作品を世の中に出せる体制になってきたのではないかと述べました。

HTCジェイソン氏「無線での高解像度なVR体験にチャレンジしたい」

続いての「2020年までのビジョン・ゴールについて」というテーマでは、入力インターフェイスなどの周辺機器の話題が複数から出てくることに。Oculus VRのジェイソン氏は、人間は手でジェスチャーをしたりコミュニケーションを取ることを指摘。2020年頃には入力インターフェイスの研究・開発に注力しているのではないかとしました。

また、ジェイソン氏は2020年にはVRの存在や体験自体が特段珍しいものでは無くなると予想し、現在の新しい技術によるテックデモ的な関心は人々から消えているだろうと語りました。

HTCのジョエル氏は、VRヘッドセットの技術的な要素として、以下の2つを目指したいとしました。

・全身のフルボディトラッキング
・ケーブルレスでの高解像度なVR体験

現在の技術では、手と頭以外のトラッキングは難しいとしながらも、両手・両腕がちゃんと胴体とくっついている感覚が無いとプレゼンスを損なってしまうとし、より体験の質を高めるためにも全身のフルボディトラッキングを実現したいと語りました。また、ケーブルレスは要望がとても多いと明かし、ただそれだけならば来年の第一四半期にHTC Viveのアドオンとしてリリースできると語りました。ただし、ケーブルレスと高解像度は相反関係にあり、これを両立させることが将来的なチャレンジになると語りました。

(関連記事)HTC Viveをワイヤレスにするアップグレードキットが登場
http://www.moguravr.com/htc-vive-vr-upgrade/

PSVRはゲーム以外の領域にも進出し幅広いコンテンツを提供していく

SIEの高橋氏は、PSVRでゲーム以外の領域にも進出し、コンテンツの幅を広げていきたいと明かしました。「例えば、映画や旅行」と話し、一般の方が毎日でもVRを楽しみたいと思えるようにするには、コンテンツの幅を広げていくことが重要になるだろうと示しました。またゲームの分野ではキラーコンテンツの重要性と、今までよりもリッチなVR体験を追求していくとのことです。また、高橋氏は“映像”という言葉はVRには適さないかもしれないと述べました。例えば“360度映像”という言葉だと、映像の中に入り込むようなVR体験を、パノラマビューイング的な意味合いだと誤解を生じさせてしまう可能性を指摘しました。


左から高橋泰生氏、ノア・ファルステイン氏

Googleのノア氏は、開発にはユーザーからのフィードバックが大切になることを指摘。先日発表したモバイルVRヘッドセット「Daydream View」で布を使用したのも、ユーザーからのフィードバックで快適性の向上を重視するようになったことを明かしました。またノア氏は、VRに適したオーディオ音響が課題になっているとし、この分野での発展に大きく貢献することを目指したいと語りました。

VRが社会インフラに大きな影響を与える

最後に浜村氏から「VRが社会のインフラに大きく影響を与えるとしたら、今後世界がどのように変わるか」と問いかけられと、各パネリストの注目するゲーム以外の領域が次々と明らかに。


浜村弘一氏

SIEの高橋氏は、アーティストがVRに影響を受けるとすると、今までの平面上での表現から空間上での表現が増えていき、アートの世界が大きく変わるだろうとしました。また、ショッピングも今までのネット通販・ECのようにリストを並べるだけのものではなく、空間そのものを自由にデザインして、買い物を行う環境自体を創作することになる可能性を示しました。

HTCのジョエル氏は社内には、そのような影響を与える10個の項目があると話し、その中から一部の紹介だと前置きし、空間やプロダクトデザインの領域でVRによるイノベーションが起きるだろうとしました。一例として飛行機のエコノミークラスの座席の幅・配置などのデザインをVR体験で確認しながらデザインすることが、VRで簡単に実現することができるようになるとしました。他にも医療、警官やパイロットなどを対象としたトレーニング、教育の分野はVRによる効果が期待できるとしました。

ハリウッドの映画スタジで働いていたGoogleののノア氏は、VRによってインタラクティブな物語性の映画が製作されるのに注目しているとのこと。VRは人の感情に強く訴えかける特性を持つことから、物語と人間の新しい関係が生まれることも期待できそうです。

モデレーターの浜村氏が「時間が足りない」とセッションの途中でこぼしたように、ハードウェアからコンテンツ、国内外のVR業界についてや将来の展望にまでと、多くの領域に言及した非常に濃いセッションとなりました。

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