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縁故優先の韓国社会 議員の息子採用のため要項変更

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 ソウルでは朴槿恵大統領の退陣を求める20万人規模のデモが発生し、支持率は歴代最低の5%にまで低下した。人々が怒っているのは、単に友人である崔順実(チェスンシル)が国政に介入したからではない。権力者と近しいだけで、傍若無人な振る舞いが許されていたことに怒っている。韓国人が最も嫌うのが今回のようなコネ絡みのスキャンダルなのだ。

 裏を返せば、それほどまでに韓国社会では、実力よりも権力者との距離や縁故が優先される現実があるということだ。それは社会の至るところにみられ、何度も騒動になっている。

■議員の息子を採用するためなら、募集要項を変えてしまう
 2015年8月、与党・セヌリ党の金兌原(キムテウォン)議員に息子のコネ採用疑惑が発覚した。

 議員はロースクール1期生。その息子は2013年に政府法務公団(行政訴訟で国側の弁護を担う組織)の弁護士として採用されたが、この時、公団が金議員に配慮して、「法曹界での実務経験5年以上」という応募資格を「司法研修院修了者や法学専門大学院を卒業した経験者」に変更したとの疑惑が浮上したのだ。

 当時の法務公団理事長が金議員と昵懇の仲だったことから、法曹関係者を中心に批判が殺到した。

■1人が公務員になると、一族郎党就職には困らない
 2012年3月、大田広域市の市営地下鉄に浮上した駅員の縁故採用疑惑も強烈だ。市や鉄道公社の職員たちが自分の妻、弟、甥から妻の親戚まで13人を駅員として特別に採用していたことが発覚。うち11人は職を追われた。

 この大量縁故採用の前には、彼らの「仕事場」を確保するため、33人もの駅員が同時に解雇されていたというから、コネを持つ者と持たざる者の落差は考えられないほど大きい。

■閣僚も野党も同じ「コネ穴」のムジナ
 そうしたコネの有無が生み出す格差を是正しようとする動きも過去にあった。2010年、当時の李明博(イミョンバク)大統領が「公正な社会」を築くキャンペーンとして、弱者救済政策を打ち出した。ところがその矢先、外務大臣が、自らがトップを務める役所に実の娘を縁故採用させた疑惑が持ち上がったのである。

 あまりに露骨だったため、発覚直後に外相は辞任に追い込まれ、李政権の「公正な社会」の実現構想も頓挫した。そして同じ年、野党・民主党(現在の「共に民主党」)の議員の息子が国会副議長事務所の企画秘書官として勤務していたことも問題化した。

「4級公務員(課長代理クラス)である企画秘書官に公職経験のない20代の若者が採用されることは普通ならあり得ません。調べてみると案の定、議員と国会副議長が親しい間柄だった」(韓国人ジャーナリスト)

 当時、民主党は李明博政権の外相による娘のコネ採用を激しく非難していたが、思わぬ“ブーメラン”をくらって、「誰かの推薦を受けて補佐官や秘書官を採用するのは、国会の慣例だ」と弁明した。

 公職に就く者が揃いも揃って、個人的な関係で仕事をあっせんして構わないと考えていることを浮き彫りにした騒動だった。

※週刊ポスト2016年11月25日号

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