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高齢ドライバーの事故頻発 乗るならMT車の義務付けどうか

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 高齢ドライバーによる死亡事故が後を絶たない──。10月に神奈川県横浜市で87歳男が運転する軽トラックが集団登校中の小学生の列に突っ込み、小学1年の男児が死亡。11月に入ってからも、病院駐車場で82歳の女がクルマを急発進させ、はねられた2人が死亡したり、82歳が運転する乗用車が横断歩道で自転車を引っかけ死亡させたりと、痛ましい事故が相次いだ。

 これまでも、ブレーキとアクセルの踏み間違えや高速道路の逆走など、高齢ドライバーが引き起こす“暴走”ぶりは社会問題となっていた。事実、75歳以上のドライバーによる死亡事故は年々増え続け、2014年は全体の12.9%にあたる471件起きている。

 他人を巻き込む重大事故が頻発する状況は、もはや「不注意」では済まされない。ネット上では高齢者の運転免許を取り上げろと叫ぶこんな声が溢れている。

〈免許取得年齢には下限もあるのだから、上限も設けるべき〉

〈75歳を過ぎたら免許は返納させるべき。それができないなら、更新の期間を短くして運転適性検査を厳しくするのは当然〉

 警察庁も事あるごとに、運転に不安を覚えている高齢者に免許証の返納を促してきたが、65歳以上の運転免許保有者1710万人のうち、2015年に自主返納したドライバーはおよそ27万人しかいない。

 そこで、来年3月に施行される改正道路交通法で、免許更新時に「認知症の恐れがある」と疑われた75歳以上のドライバーに医師の診断を義務付け、それ以外のドライバーについても交通違反があれば診断を受けさせる制度に変わる。

 だが、認知機能の低下ばかりが事故を引き起こす要因になっているわけではない。ジャーナリストの福田俊之氏がいう。

「どんなに運転に自信があり、過去に事故を起こしたことがない人でも、60歳を過ぎれば目に衰えを感じるようになりますし、視野も狭くなる。また、突如飛び出してくる障害物や歩行者を発見してもブレーキを踏む判断が遅れ、ヒヤリとする場面が増えます。

 クルマは“走る凶器”であることの怖さをもっと知らしめ、高齢ドライバーには必ず家族などの同乗者をつけるとか、運転技術の衰えに気付かず過信している人には警告を発したり免許返納を勧めたりする政策をもっと強化してもいいと思います」

 ネットでは、かつて主流だったMT車(マニュアルトランスミッション=クラッチ操作を自分で行なう)の運転を高齢者に義務づけてはどうか、との意見もあったが、福田氏は「あながち的はずれではない」と指摘する。

「いまは市場がAT(オートマチックトランスミッション)車ばかりなので、高齢者の中にもAT限定の免許しか持っていない人はいるでしょうが、アクセルとブレーキを踏むだけの簡単な動作ゆえに、逆に判断ミスを起こしやすいことは確かです。

 一方、MT車はクラッチを踏みながらギアチェンジをしなければなりませんし、いきなりアクセルを踏み過ぎると車がガクガクするノッキングを起こしたり、エンストで止まってしまうこともあります。極論をいえば、MT車を運転できるぐらいの技量がなければ“死ぬまで運転”は無理です」

 また、高齢ドライバーの事故防止も目的に、各自動車メーカーからは自動ブレーキや運転アシスト機能など最新技術を詰め込んだクルマが多数登場しているが、現状ではあくまで「運転補助」に過ぎず、事故をゼロにさせるものではない。

「最終的には高齢者の自覚を促すしかありません。地方で足代わりに乗っている人にとっては、免許を返納したら生活が成り立たなくなると訴える人が多いでしょう。そうした人たちには、自家用車に代わる公共交通機関の運賃負担などの救済策が必要です。

 しかし、自家用車を維持するだけでも相当な金額がかかりますし、近所のスーパーや病院などを行き来するだけなら、バスやタクシーを使ったほうが安く上がる場合もあります。取り返しのつかない事故を起こすリスクを高めるぐらいなら、きっぱりと年齢を決めて自らクルマを手放す選択肢を持つことも大切です」(福田氏)

 高齢者の“クルマ離れ”は業界にとっては由々しき事態だが、かえって先進安全技術や地方の交通インフラ・サービスをより促進させる契機になるかもしれない。

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