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北方領土問題 安倍首相に近いNHK女性記者の気になる動向

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 なぜ今、このタイミングで、北方領土という最難関の外交問題が急展開を見せているのか。話題書『総理』(幻冬舎)で権力の内側に肉薄した元TBSワシントン支局長の山口敬之氏が、安倍政権“最深部“の動きを綴る。

 * * *
 日露外交は、安倍首相の直接的な指揮の元、官邸の総力を投入して突破口を模索している。しかし、解散は総理大臣だけに与えられた伝家の宝刀であり、安倍本人は一度も解散の意思や時期に言及したことはない。

 それでもロシア外交と解散総選挙を結びつける観測が絶えないのは、政府・自民党の幹部や安倍に近い人物がこの噂を否定しないどころか、裏付けるような発言を繰り返しているからだ。

 8月の人事で幹事長に抜擢された二階俊博は、「常在戦場」を繰り返し、選挙はいつあってもおかしくないという発信をし続けている。

 そしてもうひとつ、この秋、永田町の住人の一部は、あるテレビ番組に注目した。NHKが9月14日に放送したクローズアップ現代+である。

 この番組では、突破口を開いた経済協力パッケージの内部資料や世耕経済産業大臣のロシア側との会談など独自映像を満載して官邸の取り組みをアピールした。番組内でプレゼンテーションを行ったのは岩田明子記者だ。長く安倍をカバーし、世耕や塩崎恭久厚生労働大臣とも近い。

 NHKで最も安倍政権に食い込んでいるといわれている岩田が北方領土交渉の前進を解説する以上、安倍本人と官邸の意思に沿った発信と受け止められたのだ。

 北方領土交渉は水面下で相当程度前進していて、年末の首脳会談では驚くような成果が発表されるのではないか。こんな憶測が通常国会冒頭解散という連想を裏付け強化してきた。

 しかしこうした「期待値をあげる」発信には、政府内からも疑問符がついている。外務省幹部は、「北方領土交渉と平和条約締結は、何年もかかる長丁場の交渉だ。年末の首脳会談で国民が諸手を挙げて歓喜するような具体的かつ目に見える結論が出るはずがない」と断言する。

 実際、北方領土や平和条約の交渉を進展させるには、合意文書や条約の作成など、外務省の国際法局など実働部隊が動き始めることになるが、未だに経済協力を超えるジャンルでは、シミュレーションを超える具体的な事務作業は始まっていない。

 さらに10月中旬になって、官邸中枢からは「通常国会冒頭解散なんて誰も一度も言っていない」という声が漏れ始めている。特に安倍や官邸に近い一部の記者がこうした情報に繰り返し触れている。官邸中枢が「冒頭解散を否定してみせる」という統一した意思を確認したのではないかと見る者も少なくない。

 これについては方向性の全く異なる二つの観測が流れている。ひとつは「年末日露→年明け解散」という噂が広まりすぎてしまっては、解散総選挙の価値が下がる。虚を衝いてこそ伝家の宝刀が輝くのであれば、とりあえずは火消しに回るべきだという見方。

 これと反対に、冒頭解散の可能性そのものが急速に低くなっているという見方もある。そもそも冒頭解散という見立ての根拠は、ある意味で消去法だった。最大のファクターは、世界経済の減速だ。来年前半までに解散に踏み切らなければ、悪化する経済指標が伝家の宝刀を安倍の手から取り上げてしまうと見られていた。

 しかし、解散を巡る情勢は刻一刻と変化している。

「世界経済の見通しが少し明るくなった」、「領土交渉はそう簡単に進まない」、「慌てて解散しなくても安倍一強の構図に変わりはない」。官邸周辺からは、冒頭解散を否定する声が波状的に上がりつつある。

 そんな折も折、10月19日には自民党総裁任期延長の方針が固まった。2018年9月に勇退するはずだった安倍が、2021年まで総理・総裁を務める可能性が出てきた。北方領土交渉と憲法改正を悲願とする安倍にとって、この制度改正によって解散戦略を含む政局の選択肢が大幅に拡大された事だけは間違いない。

※SAPIO2016年12月号

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