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蕎麦湯論争きっかけに栄養調べていたら……意外な事実が

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 縄文時代草創期という9300年前には既に栽培されていたことが推定されている蕎麦。日本ではそれを麺状に打って食事にする文化が古くからあります。

 温かいお汁に蕎麦を入れていただく「かけそば」、そして冷たいお蕎麦をザルに乗せて汁につけながらいただく「もりそば」がありますが、主に「もりそば」をいただく際にその蕎麦を茹でた後の蕎麦湯を出してくれる場合があります。

【関連:蕎麦つながり→志布志市志布志町志布志の志布志市役所志布志支所側の蕎麦の蕎麦エール】

 この食文化、実は一般的に知られていると思いきや、実は地域や世代によって知らない人も多くいるんです。蕎麦の生産量が低い地域や蕎麦屋の数が少ない地域ではあまり知られていないことで、ファミリーレストランやチェーン店系の丼屋などが増えたせいで益々手打ちの蕎麦を出してくれるお店に足を運んだことがあるという人は激減しているため、知らない若い世代の人も多いのだとか。

 ちなみに、実際に蕎麦を茹でた後の茹で汁を出すものではありますが、最近ではお湯にそば粉を溶いたものを出すお店も多くあるそうです。

■蕎麦湯を飲む人は受け入れられない!?

 そんな中、蕎麦湯に関して「はてな匿名ダリアリー」に投稿された書き込みが大論争を巻き起こしています。

▼そばの茹で汁を平気で飲む彼氏
http://anond.hatelabo.jp/20161107105741

 投稿者は交際相手が蕎麦湯を飲んでいるのを見て「そばの茹で汁を飲む人をはじめてみた」とし、「茹で汁ごときを健康に良いといって平然と飲む姿を受け入れられそうにない」と述べています。ただ、匿名であることから、もしかすると“釣り”(わざと多くの人に注目されるよう、常識とは外れた書き込みをすること)ではないかという意見が多くありますが、これに対して「蕎麦湯を飲むことや出されることは常識である」という意見も多く挙がっています。

 投稿者が言う「そばの茹で汁」が自宅で蕎麦を湯でた後の茹で汁についてなのか、お店で蕎麦を注文した際に出てきたものなのか定かではありませんが、どちらにしても蕎麦湯を飲むから彼のことが受け入れられないというのは、蕎麦湯を好む人もそうでない人からも奇妙な感覚だという意見が多数でした。

 前述したように蕎麦湯を飲むということが当たり前として育ってきた人がいるのに対し、地域性や親の好みの問題などでその文化に触れずにきた人も多く存在しています。

 そんな蕎麦湯になじみがない人達の中では「スパゲティを茹でた後に茹で汁を飲むほど不可思議なこと」だと思う場合もあるそうです。また、蕎麦湯を飲むということは知っていても、味について好みではないために飲まないという人も。いずれにしても、蕎麦湯については飲む人もいれば飲まない人もいるのが現実なようです。

■ルチンは水溶性、は実はちょっと違うらしい

 蕎麦湯を好んで飲む人が口々に言うのは「蕎麦湯にはルチンがたくさん出ているから」というものです。ルチンは動脈硬化や高血圧に非常に効果があり注目されている栄養素です。しかし、蕎麦に含まれる天然のルチンは実は難水溶性で水に非常に溶けづらい物質です。水に溶けるのは食品添加物として使われている人工的につくられたα-グリコシルルチン。そのため「そば湯にルチンが溶け出していることはほとんど期待できない」(十割そば健康普及協会/そば湯の栄養より)という話もあります。

 一方で蕎麦湯にはちゃんとルチンが含まれているという話も。どういうことなのだろうと調べたところ、どうやら蕎麦を打つ際にふった打ち粉にそば粉を使用している場合、茹でたときにそれが蕎麦湯に混ざるのだそうです。ただし、打ち粉に小麦粉を使っている場合や乾麺の場合は溶け出るルチンの量は溶け出てもほんのわずかだということになります。

 しかし、その場合も蕎麦湯を飲む意味がないかと言えば、そうでもないようです。蕎麦にはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、コリンが含まれており、これは全て水溶性の栄養成分なので蕎麦を茹でたときに全部ではないものの溶け出ます。ビタミンB1は疲労回復や神経や脳の動きを促進する働きがあり、ビタミンB2については美肌効果があったり傷の修復を促します。ナイアシンやコリンは肝臓を保護したり解毒作用があるために、アルコールの分解速度を早くしてくれます。栄養素については、十割蕎麦に近いほど含有力が多くなります。そして、温かい蕎麦湯はもりそばで冷えた体をほどよく温めてくれるという役割も担っています。が、飲むといっても飲み方に注意が必要で、つゆに蕎麦湯を入れて飲む場合は塩分過多が指摘されています。できるだけ蕎麦湯は蕎麦湯だけ飲んだ方が良いみたいですね。

 もともと蕎麦湯を飲むのは信州(現・長野県)の一部の習慣で、江戸では江戸時代中期の時点でまだ一般的ではなかったほど。信州は蕎麦の生産量が多く、また蕎麦屋が多いことでも知られています。当時はまだ栄養についても分析できるわけもなく、人々の生活の知恵で「なんとなくだが、こうしたほうがいい」という習慣を取り入れていたことから、冷えた体を温める役割と「なんとなく食べた後に胃腸の調子が良い/肌の調子が良い」ということが多くの人の体験談としてあったために好んで飲まれていたのではないでしょうか。

 何にせよ、「蕎麦湯を飲むことを知らないなんて!」と声を上げたり、件の匿名ダイアリーにあるように「蕎麦湯だからと言って茹で汁を飲むなんて!」とドン引きしたりすることはナンセンスではないでしょうか?

▼参考文献
十割そば健康普及協会/そば湯の栄養
手打ちそば喜心庵『蕎麦の迷宮』

(文:大路実歩子)

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