なぜ新入社員が「2,000万円の仕事を飛び込み営業で獲得」できたのか?

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「会社から新規開拓をしろと言われるが、正直、飛び込み営業は怖くて苦手」と考えている営業職の方も多いのではないでしょうか。

誰でも知らない会社に飛び込み営業をするのは、正直嫌なものです。とはいえ、その嫌な飛び込み営業を得意とし、新規開拓で実績を上げるエースがいることも事実です。

そこで「嫌な飛び込み営業を誰でも得意にできるようにするコツ」を、広告代理店の営業担当として、飛び込み営業成功率72.6%、累計30億円以上の案件を獲得、また3000人以上のVIPと交流した経験を持つ「気配り」のプロフェッショナル・後田良輔さんに話を伺いました。

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■営業成功に必要なことはテクニックや精神力ではない

私はこれまで飛び込み営業だけで、累計金額は30億円以上の案件を獲得してきました。10社以上の名だたる上場企業から仕事をいただき、売上10億円以上の新規契約を一発で獲得したこともあります。

そんな実績だけを見ると最初から飛び込み営業が得意な「タフな精神の持ち主」と誤解されますが、実際はその逆。人に嫌われるのが超嫌いで、最初の頃は、いきなり飛び込み営業をして「叱られたらどうしよう」と考え、何度も訪問先の会社をぐるぐると周り、2時間ほど悩んでから飛び込んだという経験もあるほどでした。

特に広告代理店といえば競合も多く、飛び込み営業では嫌われやすい職業です。そんな逆境を覆すために、デキると言われている営業マンの行動を観察したところ、彼らには、共通した「成功パターン」があることを発見しました。

その「成功パターン」に従って行動してからは、面白いように飛び込み営業に成功し始め、またその方法を新入社員に伝授したところ、「入社半年の新人が2000万円の仕事」をいきなり獲得するという事例も出てきました。

つまり飛び込み営業の成功率とは、小手先のテクニックの有り無しや精神力のタフさではなく、「成功パターン」を知っているか否かで決まっていたのです。正しい「成功パターン」をきちんと踏まえれば、誰でも「想像以上の結果」を出すことができるのではないでしょうか。

■「11月」は多くの会社が新規飛び込みを歓迎する時期である

デキる営業マンを観察していると、彼らは年中、飛び込み営業をしているわけではなく、ある時期に集中して飛び込みに力を入れていることに気づきました。その時期は「11月」でした。

なぜ11月なのかというと、それは飛び込みを受けるクライアントの気持ちに理由がありました。

どんな会社でも来期に向けての「予算期」というものがあります。今年の問題克服や新しい課題へのチャレンジなど、問題や課題と正面から向き合い、その解決に向けて、担当者としての意見を会社に対して提案し、予算を獲得しなければいけない時期のことです。

この「予算期」は、多くの会社でだいたい決算月の約3ヶ月前となっています。例えば3月決算の会社であれば12月ないし1月となります。この時期が狙い目なのです。12月ないし1月に予算を上申するとなると、その1~2ヶ月前の「11月」であれば、どこの会社でも「来期は何をすべきか?」と担当者が悩んでいる時期と言えます。この悩んでいるという状態が重要なのです。

どんなに良い提案でも、予算がなければ実現することは不可能ですし、相手に悩みのない時期に提案をしても空振りする確率が高くなります。その観点で考えると、「11月」こそが担当者も新しい悩みを抱え、かつ予算を取りやすい最適な時期だったのです。

こうした「予算期」に向けた検討時期であれば、どの会社の担当者も課題を抱えているため、たとえ今まで付き合いのない営業マンの話でも「一度、聞いてみようか」と思い易く、飛び込みだからと無下に断らないことが多いのです。

よく「新規営業は農業の種まきと同じ」と言いますが、その効果的な方法とは、長期間にわたって種をまき続けるのではなく、適切な予算期に集中的に種をまく「超短期農業」のことだと気づきました。

■「会社四季報」と「HPの会社概要」で決算期を知る

提案すべき時期が決算期からの逆算で効率化できることがわかっても、肝心の決算期がわからなくては意味がありません。そこで最初にすべきは、「訪問したいと考えている会社の決算期を調べる」ことです。

調べ方は簡単で、書店で売っている「会社四季報」で意中の会社を見つけ、その会社の決算期という欄を見るだけでOKです。

もし四季報に載っていない会社であれば、その会社のHPの「会社概要」を見てください。通常、何月決算と必ず書いてあります。

もし3月決算と書いてあれば、飛び込む時期は「11月」ですし、12月決算と書いてあれば、「8月」が飛び込みに最適な時期となります。

■飛び込み営業を成就させる5つのヒヤリング

いくら会ってくれやすい時期とは言え、こちらが提案するものがいきなり売れることはありません。相手の悩みをうまく引き出し、その悩みを解決する建設的な質問を投げかける必要があります。

売上につながる効果的な質問は江戸時代の「関所と同じ」です。

順番があり、なおかつすべてを通過する必要があります。

その関所の数は以下の通り全部で5つあります。

1: 今、悩んでいることは何か?=提案してほしいことを聞く

2:予算の幅を確認する

3:競合他社の状況を確認する

4:提案してほしい時期を確認し、次回のアポをその場で決める

5:提案するプランの決裁経路を確認する(担当者以外の取材が必要かを見極める)

以上の5つとなります。

せっかく取れた大事なアポイントの時間というのは、相手の話をただ聞くのではなく、売上に繋がる効果的なヒヤリングをする場なのです。

■提案は「松」「竹」「梅」の3つを用意する

同じ作業で売上の最大化を狙うために、提案は「松」「竹」「梅」の3つを用意するのがエースの工夫です。 「松」:クライアント役員や経営者の視点に立って、「ここまでやった方が業界内へのインパクトがある」という企画まで含んだ提案を行う。 「竹」:やや予算オーバーするものの、「これをやった方が目的を強化できる」というプラスを追加して提案する。 「梅」:予算内にまとめて提案する。

新規の会社には、何度も提案するチャンスは与えられません。だからこそ上記の3点を

一度に提案し、売上の最大化を狙っていく必要があるのです。

――ビジネスは一見システマチックに動いているように見えますが、その根底には必ず人の心が潜んでいます。そして人間であるからこそ、そこには必ず悩みが存在しています。だからこそ、相手の悩みに寄り添うアプローチに切り替えれば、逆に歓迎されることもあるのです。

ぜひ意識的に、相手が「いつ、どんな話し方をしたら喜んで聞いてみたい」と思うのだろうかを考えてみてください。たったそれだけで、いろいろなことが好転しはじめ、営業も人生が劇的に変化していきます。

後田良輔氏/ビジネス書作家・コラムニスト

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1972年生まれ。大手3大広告代理店に勤務し、「誰でも使える気配り術」を駆使する気配りのプロフェッショナル。これまで応対したVIPは、東証一部上場社長、世界企業のCEO、政治家、医者、弁護士、大学教授、大物俳優・女優、ミリオンセラー作家、世界No.1クリエイターなど総勢3000名を超える。この特別丁寧に接しなければならない顧客との交流で磨かれたスキルと「東京・名古屋・大阪」の現場勤務で身につけたリアルな経験を組み合わせた、独自の「誰でも使える気配り術」に定評がある。

著書に、『気配りの正解』(ダイヤモンド社)『<落ちこぼれでも3秒で社内エースに変わる!>ぶっちぎり理論38』(ダイヤモンド社)、『逆境を活かす! 就活面接「エモロジカル理論」2015年度版』(実務教育出版)『1秒内定面接術」』(インプレス)など。これらの実績を買われ全国の大学や企業から講演・研修依頼が殺到。新聞・雑誌などメディア露出は50回以上。「世界からキャリアの悩みをなくすこと」をミッションとする。

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