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【晩婚考現学】44歳香織 慶應卒より英会話講師選んだ理由

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 40代で結婚した女性たちの実情リポートする【晩婚考現学】シリーズ。第2回は、10歳下の外国人男性と結婚した「44歳 香織の場合」をお届けする。晩婚化、非婚化が進むいま、40代男性の未婚率は約3割となり、女性も2割に迫ろうとしている(平成27年国勢調査速報値より)。一方で、結婚願望を抱き続ける人もいる。結婚相談所や婚活サイトの利用者は3年連続で増加しており(「婚活実態調査2016」)、「結婚」したい男女の奮闘は続いている。そんな中、40代で結婚を果たした女性たちは幸運なのか、必然なのか。44歳、香織の決断とは。

* * *
■映画のワンシーンみたい

 結婚して半年になります。それまでの生活と180度変わりましたね。彼は料理が得意で、毎日、朝食を作ってくれるんです。みそ汁や卵焼きの匂いに誘われて目を覚ますなんて、それまでの生活では考えられませんでした。ええ、幸せですよ。喧嘩も多いけど(笑)。歳も離れているし、歩んできた国も人生も違うから、それは織り込みずみですけどね。

 彼はオーストラリア人の34歳で、英会話講師をしながら、レストランでアルバイトもしています。独身時代、私はほぼ毎日、外食をしていたのですが、結婚してから、できるだけ家で彼と食卓を囲むようになりました。おかげで健康になった気がするし、節約もできています。彼の生活は安定していないから、「節約」は二人の合言葉なんです。これも、独身時代には考えられなかったこと。

 出会いは英会話学校ですね。彼の生徒ではなかったのですが、学校が主催するサマーパーティーに参加して、出会いました。その日、私は仕事帰りだったんです。顧客とのハードな会議の後で、疲れきっていました。そんな私を見かねたのでしょう。彼が声をかけてくれたんです。「リラックス、カオリ! 仕事より、人生を楽しまなくちゃ」と、英語で。映画のワンシーンみたいだなと思いました(笑)。

 前日は会議の準備でほぼ徹夜で、へとへとだった私の体に、彼の言葉がしみわたりました。その後、「今日はどんな仕事をしてきたの?」と聞いてくれて、私は、その日あったことをまくしたてた記憶があります。当時の私の生活は、ほんとうに、仕事一色でしたから。

 私が44歳で結婚、それも外国人と結婚するなんて、両親も周りの友人も驚きました。でも、私自身は、40歳を過ぎた頃から、そういうことがあったらいいなという漠然とした願望を抱いていたような気がします。外国人と結婚したい、というより、何か生活を大きく変えるきっかけを求めていたんです。

■セカンドオピニオンがいない人間は硬直化する

 新卒でメーカーに入社し、以来、ずっと営業畑を歩んできました。30代のときに、2年間、大阪に転勤もしましたね。自分で言うのもなんですが、順調に出世したと思います。私、身長は170センチあるし、人生ずっとショートヘアで、まあ、いかにもキャリアウーマン然としてる。男性の中にいても、女を意識されないタイプ。働くにはそれがよかったのかもしれません。

 でも、おかげで結婚は遠かった(笑)。同期と2人、付き合いましたが、どちらも長くは続かなかったですね。自分では、結婚より仕事をとった、という意識はないんです。私の世代は、バリバリ仕事をしてたって、結婚し子供を産んでる女性は少なくない。私もいつか出会いが……、とぼんやり思っていたのですが、ぼんやり思っている程度ではやってこなかった。もともと猪突猛進タイプで、結局、目の間の仕事に邁進してしまい、毎日は充実、独身で困ることもなかったんです。

 ただ、一人の生活が長くなると、ラクな反面、変化に乏しくなります。長年の一人暮らしに“飽き”のようなものを感じてきたころ聞いた会話が、胸に刺さりました。ある居酒屋で、うちの会社と思しき30代の若者たちが、私と同年代の女性上司の愚痴を言ってるのをたまたま聞いてしまったんです。確かこんな感じ。

「あの人、5年前まではデキる人だったのに、どんどんまわりが見えなくなっている」
「ほんと、あれじゃ、下はついてこないよ」
「セカンドオピニオンがいないからなー」
「え?」
「女だからじゃなんだよ、男だって同じ、セカンドオピニオンがいない人間は硬直化する」
「あー、なるほど。セカンドオピニオンね。旦那じゃなくて彼氏でもいいんだろうけど。俺らも奥さん大事にしなくちゃ」……

 セカンドオピニオン! 私にもいない! と。以来、その言葉が頭から離れなくなりました。若い頃は友人や同僚が周囲にたくさんいたし、上司に叱られたりもしました。が、40を過ぎると、部下が増えて、本当のことを言ってくれる人って少なくなります。家族と住んでいれば親から耳の痛いことを言われたりもするのでしょうけど、離れていればそれもない。一人でラクだと思っているうちに、頑固で、変化の乏しい人間になっていくのかもしれない……。突如として、結婚しなくては! と思い立ったのです。

■慶應より英会話講師をとるなんて

 41歳の時、友人の紹介で、お見合いをしました。お相手は49歳の慶應を出たエリートで、バツイチだけど仕事に理解もあり、穏やかな方でした。でも、「大人同士の結婚だから、できるだけ互いの生活を大切にしましょう」と言われた時に、「違う」と思ったんです。私がこれから結婚するなら、むしろ互いの生活に踏み込み、互いの生活を変えるようなものでなければ意味がないのではないかと、思ったのです。

 一方、英会話講師の彼は、出会った当初から私を褒めてくれました。カワイイ、カワイイと。そして、一緒に住みたいと。話していて汗が出てきますが、やっぱり嬉しかった。私たちは英語と日本語を混ぜて会話をしています。が、彼の日本語は片言だし、私の英語は片言なので、はっきりいって深い話はできない。仕事の相談などは無理ですね。それでもいいと思いました。だってもう二度と、私をカワイイなんて言ってくれる男性は出てこないだろうから。

 慶應より英会話講師をとるなんて……、と、はっきり言われたこともあります。でも、そもそも、適齢期で普通に結婚できなかった私です。こういう人間なんだから、安定よりも、思いもよらない人生を楽しみたい気持ちが勝りました。これは、私のプライドだったのかもしれません。

 彼は付き合っていればOKというところがありましたが、私が結婚にこだわりました。押したのは私、だから、不安はあります。彼の仕事は不安定だという生活の不安。でもこれは、私が働いているから、何とかなるかな。それから、将来的にオーストラリアに帰りたいのかなど、二人でクリアにしていかなければいけない問題があります。

 一番は、気持ちですね。10歳下の彼の気持ちが、いつまで私に向いているのか……。まだ34歳だし、先のことは本当にわかりません。捨てられちゃうかもね(笑)。でも、私が歳をとっているからこそ、できることもあると思うんですね。いまは彼の仕事について、二人で相談しています。調理師免許をとるなど私が支援できることもあるだろうと。貯金は減りつつありますが。

 最近読んだインタビューに励まされたんです。『永い言い訳』などの映画で知られる映画監督の西川美和さんが<自己完結したままでは、もうドラマは生み出せない>と言っていました。もちろん私はクリエーターでないので西川さんが言うところのドラマは生み出しませんが、人生、44歳からドラマが始まると考えると、晩婚も悪くないと思うんです。

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