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ネット局台頭も…「規制があるからテレビは面白い」!

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様々な逆境で戦う30オトコに仕事論を聞くこの連載。第8回は、前回に引き続き、テレビ東京で『世界ナゼそこに?日本人』『家、ついて行ってイイですか?』『美しい人に怒られたい』など話題の番組を手掛けるプロデューサー・高橋弘樹さんに話を聞いた。

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●ヘリのガソリン代に予算の大部分を投下。極端な予算配分で他局と勝負

テレビ東京は今年11月、六本木の新築高層ビルに移転。取材も、引っ越しの慌ただしい雰囲気のなかで行われた。

「大きいビルに引っ越してすごいなと思ったんですけど、蓋を開けてみたらうちはビルのなかの5フロアだけ(笑)。他は全部別の会社のオフィスです。大きな自社ビルを建ててしまう日テレやフジテレビと比べると、テレビ東京はやはり相当規模が小さい。当然、番組の予算もしょぼいですよ」

テレビ東京は常に、人員・予算ともに自分たちを遥かに上回るライバルと戦わなければならない状況なのだという。では、どのように戦っているのか? 高橋さんは、自身がディレクターとして携わった『空から日本を見てみよう』(ヘリコプターによる空撮映像を用いて、自然や建物などの名所を紹介する番組)を例に挙げ、秘策は「予算の一点投下」だと語る。

「アレは実は、ヘリコプターのガソリン代に予算の大部分を使ってるんですよ。そうなると、ゴールデンタイムの番組なのにタレントの出演料やセット代に回すお金はない…。結果として、“空撮映像と会話調のナレーションだけ”という異質なバラエティ番組ができました。華やかさは全然ありませんでしたが、一部の人に『新感覚』と面白がってもらえたみたいです。あと、他局の一般的なゴールデン番組のガヤガヤうるさい感じが苦手で、普段テレビを消してしまう人たちにも刺さったようですね。今までにないものを作ると、予想外の方向から評価を得られることもあるんだと思いました」

同番組は2009年11月、放送文化の質的向上を表彰する「ギャラクシー賞」月間賞を受賞。バラエティ番組としては異例の受賞であり、他局からも一目置かれる番組に。

「予算配分の比率にも常識的なバランスってあると思うんですけど、それを守っていては資金力のあるライバルに対して勝ち目がない。一点に予算を注ぎ込んで勝負したいポイントを際立たせることで、“ある一部の層にめちゃくちゃ刺さる”ものが作り出せる可能性があるんですね」

●「5年後テレ東がなくなってもいい」!? ネットや業界をどう捉えるか

金銭面以外においても、厳しい状況に追い込まれるほど、“尖った”番組が生み出しやすくなると語る高橋さん。女性タレントがテレビ画面越しに視聴者を叱る『美しい人に怒られたい』のアイデアも、ある逆境から生まれたという。

「当時の上司がすごく怖い人だったんです。叱られてるうちに仕事を辞めたくなってきちゃうんですけど、ある時『この人がおじさんじゃなくて美女だったらすごい良いなあ…』って思ったんですよ。それで『あ、これ使えるな』ってひらめいたのがあの番組。何かに困ってる時って、工夫して改善しなきゃいけない問題があるから、アイデアが生まれやすいんですよね」

テレビマンの逆境を作る要素といえば、どんどん厳しくなる“(自主)規制”も挙げられるだろう。最近では規制の緩いインターネットテレビ局が出現し、従来のテレビ番組よりも自由で過激な放送内容に期待する視聴者も。サイバーエージェントが今年4月から配信開始した「Abema TV」はすでに1000万ダウンロードを達成するなど勢いも感じるが、高橋さんはあまり危機感を抱いていないと話す。

「現状、放送されているバラエティ番組の面白さで比べると、まだ、僕らテレビ局の方が勝っている点も多いと思います。ネットテレビ局は、『自由』『規制にしばられない』ことを面白さとして強調することがありますが、僕は『規制がない』ことが面白さを生み出す最善の策だとは思いません。逆に、面白いものを作るうえで規制はあった方がいいのではないかとすら思いますよ。

たとえば歌舞伎にしても、女形の独特の所作が完成したのは、江戸幕府による女性の性的な表現に対する規制があったから。その規制を逆に利用して、男が女を演じたから面白い動きが生まれた。いま規制がなくなったら、僕みたいな下世話な人間はすぐ下ネタに走ってしまうでしょう(笑)。でも、過激すぎる下ネタが規制されていればこそ、笑いをとる手段を他に探さなくてはならない。結果として、家族みんなでも見られる、新しい面白さの追求とか、新しい演出方法の模索が始まるんだと思います」

そんな哲学を持つ高橋さんは、自らが所属する「テレビ東京」という環境や「映像制作の仕事」をこう捉えている。

「時代が変わって“斜陽”といわれるようになっても、面白い娯楽っていうものがなくなるわけじゃない。5年後にテレビ東京はないかもしれないけど(笑)、巨大資本が入って『テレビYahoo!』とかになっても別に僕は構わない。電波を経由するか、光回線を経由するかの違いだけで、多分、僕が好きな『映像をつくる』っていう仕事はなくならないと思うんです。

でも、テレ東は予算的な制約があるうえに、業界的な自主規制という制約も重なっていて…面白いものを生み出すためにはうってつけの逆境だとは思ってます(笑)」

(黄 孟志/かくしごと)

(R25編集部)

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※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

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