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女性アイドルを応援する女性の心情 地下アイドルが解説

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 最近、アイドルファンを公言する有名人女性が増えました。たとえばHKT48の指原莉乃や女優の松岡茉優は女性アイドルグループ「モーニング娘。」の大ファンで、コンサート会場へ足を運ぶ姿も目撃されています。有名人だけでなく、同性アイドルのファンになる女性は珍しくないようで、握手会などのイベントに参加する人も増えています。彼女たちはなぜ、女性アイドルのファンになるのか、地下アイドルでライターの姫乃たまさんが語ります。

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 ここ数年、女性アイドルのライブやイベントに足を運ぶ女性が増えています。男性のファンは多かれ少なかれ恋愛感情に似た気持ちを持っていて、異性だからこそ応援したい(あるいは応援しやすい)のだと考えられますが、女性ファンは同性のアイドルをどんな気持ちで応援しているのでしょう。

 月に2.3回、アイドルのイベントに参加するという女性ライターのAさん(26歳)の場合、始めは「アイドルのライブに行っちゃった、というネタ半分」で足を運んだと話します。しかし、「曲が思ったよりもしっかりしていて好みだった」ことがきっかけで、今ではふだんからアイドルの楽曲を聴いているそうです。

 Aさんはアイドルライブの楽しさを、「精神のデトックス」と表現していました。

「自分自身も私生活で嫌なことがありますし、アイドルもいろいろ大変だと思うんですけど、ライブの時間だけは楽しむことに向かってお互いに協力している一体感が心地いいです。アイドルが期待以上のパフォーマンスをしてくれると、本当にこの子を応援して良かったと思います。天才肌よりも、頑張っていたり器用貧乏な子に夢中になりやすいですね。自分と同じような普通の女の子がキラキラしていて、そのキラキラに叱咤激励されているような感じでアイドルを応援しています」

 AKB48を筆頭に、「会いに行けるアイドル」が流行してから、アイドルはぐっと距離の近い存在になりました。スター性のあるアイドルだけでなく、普通っぽい女の子がアイドルとして頑張っている姿に人気が集まるのも最近の傾向です。女性にとってもアイドルは、テレビや雑誌で見て憧れたり、無責任に悪口を言ったりする遠い存在から、自分と重ね合わせて応援したくなる近しい存在へと変化しているようです。

 また、アイドル側にとって、女性ファンの存在は人気のある証拠とされていて、多ければ多いほどブレイクする兆しがあると言われています。実際に知名度の高いアイドルほど女性ファンの割合が高くなり、ももいろクローバーZのようにメジャーなアイドルグループになると人数も多いので、女性限定のイベントを開催しています。女性ファン獲得のために、女性割引や特典を導入したり、会場に女性専用スペースを設けたりしているアイドルイベントも珍しくありません。

 最近では、女性アイドルのファンでありながら、自身もアイドルとして活動している女の子が多くいます。

 アイドルとして活動していた経験があるBさん(22歳)は、「もともとアイドルは苦手なジャンルだった」と話していました。

「昔から目立ちたい気持ちがあって、自分がアイドルになってから、勉強のためにアイドルを見るようになりました。今ではSNSに好きなアイドルのリストを作って、毎日投稿をチェックし、イベントにも足を運んでいます」

 彼女の場合は自身のアイドル経験が、アイドルファンとしての趣向に大きく影響していました。それは、アイドルにつきものの「卒業」や「引退」への姿勢に強くあらわれています。

「自分がアイドルを辞めてしまったからこそ、アイドルを続けてくれていることだけで最高。好きなアイドルが売れていくことは、もちろん嬉しくてたまらないですが、引退したとしても、結婚や出産など、女の子として幸せになることを心の底から応援できます。そこは男性のファンとは少し違うかもしれません。普通の女の子が、普通の女の子より努力しているところをたくさん見てきたので、私はアイドルを応援し続けています」

 女性のファンにとって、アイドルの女の子は感情移入できる対象であると同時に、切磋琢磨できる存在でもあることが伝わってきました。

 私も地下アイドルですが、感情移入と切磋琢磨する対象としてアイドルのファンになる、という感覚があまりわかっていませんでした。そのため先日、ファンの女の子から、「たまちゃんのライブの日は、可愛い格好で行かなきゃ!」と言われて驚きました。どんな格好でも遊びに来てくれるだけで嬉しいけどなあと思った後に、私が舞台に上がるために衣装を着ているから、彼女もお洒落しようとしてくれていることに気が付きました。

 私も期待に添いたくて、ライブ当日はなるべく女の子が好きそうな衣装を着たのですが、終演後に、「靴すり減ってるよ! 大丈夫?」と、まったく気づいていなかったことを指摘されて、再び驚きました。女の子の視点は、男性とはまた全然違うなあと思います。切磋琢磨し甲斐のないアイドルでごめんね……と反省するとともに、こちらも背筋が伸びたのです。

●ひめの・たま/地下アイドルでライター。1993年2月12日、下北沢生まれ。生きるのが苦手な人へ向けて活動している地下アイドル界の隙間産業。16才よりフリーランスで地下アイドル活動を始め、ライブイベントへの出演を軸足に置きながら、文筆業も営む。そのほか司会、DJとしても活動。著作『潜行~地下アイドルの人に言えない生活』(サイゾー社)。11月23日にアルバム『First Order』全国発売決定。

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