胸に突き刺さる……流行に関係なく、何十年後に聴いても“名盤”と呼べるアリシア・キーズ最新作(Album Review)

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胸に突き刺さる……流行に関係なく、何十年後に聴いても“名盤”と呼べるアリシア・キーズ最新作(Album Review)

 前作『ガール・オン・ファイア』(2012年)から、4年ぶり、通算6作目となるスタジオ・アルバム『ヒアー』を、2016年11月4日にリリースした、アリシア・キーズ。70年代風のアフロヘアに、ほぼノーメイクという、黒人らしさを強調したジャケット・アートのイメージそのまま、生音重視の黒く重い作品に仕上がっている。

 10月7日に先行シングルとしてリリースされた「ブレンデッド・ファミリー」は、人気ラッパー、エイサップ・ロッキーをゲストに迎えた、90年代のヒップホップを彷彿させるナンバー。シングル曲としてはインパクトに欠けるが、もはや“シングルの大ヒット”は、意識していないようにも思える。それだけ、アルバムの内容に自信があるということだ。

 対照的に、今年5月に発売された「イン・コモン」は、ダンスホールやラテン・ハウスのようなダンストラックで、ミュージック・ビデオの再生回数が1600万回を超えるなど、反響も大きかったが、本作の核となるのは、こういった大衆受けするナンバーでなく、アコースティック・ギターのイントロから始まる「ホーリー・ウォー」や、ローリン・ヒルを意識したようなストリート感覚の「ザ・ゴスペル」など、古き良きソウルと、現代のR&Bが調和したような、地味だが質の高いタイトルだろう。

 今作も、全曲アリシアが手掛け、プロデューサーには、インディア・アリーやデイヴ・マシューズ・バンドなどを手掛け、彼女の3rdアルバム『アズ・アイ・アム』にも参加した、マーク・バトソンや、R&Bシンガー、ザ・ウィークエンドの「ザ・ヒルズ」をNo.1に送り込んだイランジェロ、サム・スミスやマドンナ、エリー・ゴールディング等のヒット曲を担当する、ジミー ネイプスが参加している。

 アリシア曰く、今作のテーマは“原点回帰”。キャリアのスタートである、2001年のデビュー作『ソングス・イン・Aマイナー』に、勝るとも劣らない完成度の高さであることは間違いない。鍵盤から紡ぎ出す繊細な音と、社会に対する思いや、愛についてをソウルフルに歌うアリシアのボーカルが。胸に突き刺さる。流行に関係なく、何十年後に聴いても“名盤”といえるエバーグリーンなアルバムだ。

Text:本家一成

◎リリース情報
『ヒアー』
アリシア・キーズ
2016/11/4 RELEASE
デジタル配信
https://goo.gl/XMjDWl

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