住宅ローンの審査項目はどう変わった? 銀行の確認ポイントを解説

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住宅ローンの審査項目はどう変わった? 銀行の確認ポイントを解説

住宅ローンを借りるとき、事前に「銀行の審査」がある。審査の結果、住宅ローンが借りられなかったり、借入額や適用金額、返済期間などに制約が出たりする場合がある。では、どんなことが審査されているのだろうか。国土交通省の調査から、審査項目として挙げられているものは何か、最近の傾向はどういうものかを見ていこう。

年収や勤続年数よりも、健康状態の審査の実施率が高い!

【フラット35】や財形住宅融資は、条件をクリアしていれば融資を受けることができる。ところが、銀行など民間の住宅ローンの場合、独自の審査基準が設定されており、詳細は明らかにされていない。そのため、借りることができるか、希望通りの金額や返済期間で借りられるのかは審査を受けてみなければ、はっきりとは分からない。とはいえ、どんなことが審査されるのか、傾向だけでも知りたいもの。

そこで参考にできるのが、国土交通省が毎年行っている「民間住宅ローンの実態に関する調査」だ。SUUMOジャーナルでは平成23年度の調査結果を「調査で分かった 住宅ローンの審査に通る6つのポイント」の記事で紹介しているが、4年がたち審査項目に変化があるのか見ていこう。まずは長期・固定金利の住宅ローン等に関する融資審査で、90 %以上の金融機関が審査する項目として挙げたものを抜粋したのが下の表。ここでは平成23年度と、最新の平成27年度の調査結果を見てみよう。【図1】銀行が融資を行う際に考慮する項目のトップ10 ※調査結果は民間の金融機関からの回答をもとにしたもので、回答数は平成23年度は1256件、平成27年度は1264件 ※構成比は「長期・固定金利の住宅ローン等に関する融資審査」で実施していると回答した金融機関の割合(出典/国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査」平成23年度、平成27年度の審査項目より構成比90%以上を抜粋)

【図1】銀行が融資を行う際に考慮する項目のトップ10 ※調査結果は民間の金融機関からの回答をもとにしたもので、回答数は平成23年度は1256件、平成27年度は1264件 ※構成比は「長期・固定金利の住宅ローン等に関する融資審査」で実施していると回答した金融機関の割合(出典/国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査」平成23年度、平成27年度の審査項目より構成比90%以上を抜粋)

平成27年度の結果では、95%以上の金融機関が実施している審査項目の上位は「完済時年齢」(99.3%)、「健康状態」(98.4%)、「担保評価」(97.8%)、「借入時年齢」(97.5%)、「勤続年数」(96.4%)、「年収」(95.6%)だ。

4年前の平成23年度の調査結果と比べてみると、興味深いのは平成27年度で実施率の上昇している項目が複数あること。特に「健康状態」は90.5%から98.4%に大幅アップしており、「年収」や「勤続年数」よりも審査の実施率が高い。健康状態が良く、完済時年齢まで継続して返済ができることは、住宅ローンの審査に通るうえで欠かせない条件といえそうだ。

下の図は、「融資を行う際に考慮する項目」のすべてを平成27年度で実施率が高い順に並べ、平成23年度と比較したもの。平成23年度では実施率が90%を超えていた「返済負担率」「カードローン等の他の債務の状況や返済履歴」が、平成27年度では大幅に減っている。また、平成23年度に26.1 %だった「所有資産」が、平成27年度には68.0%と大幅増。銀行にとって担保価値の高い不動産などを所有していると、住宅ローンの審査の際に有利になる可能性もありそうだ。【図2】銀行が融資を行う際に考慮する項目(出典/国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査」平成23年度、平成27年度)

【図2】銀行が融資を行う際に考慮する項目(出典/国土交通省「民間住宅ローンの実態に関する調査」平成23年度、平成27年度)

審査項目上位6つの、審査基準は金融機関によっていろいろ

■「完済時年齢」と「借入時年齢」

審査の実施率が一番高いのは「完済時年齢」。99.3%(1264件中1255件)の金融機関が実施すると回答している。「80歳未満」(989件)という金融機関が圧倒的に多い。「借入時年齢」で一番多いのは「65歳未満」の303件。注意したいのは、例えば60歳で返済期間20年の住宅ローンが誰でも借りられるというわけではないということ。退職後も間違いなく返済できるかどうかを、他の項目と合わせて審査される。

◯完済時年齢(回答数:1255件)

・80歳未満(989)/・75歳未満(98)/・70歳未満(15)/・85歳未満(12)/・なし(1)/※その他(152)

◯借入時年齢(回答数:1233件)

・65歳未満(303)/・70歳未満(179)/・60歳未満(42)/・75歳未満(16)/・55歳未満(4)/※その他(197)

■「健康状態」

98.4%(1244件)という高い実施率なのが「健康状態」で、「団信加入が必要」という条件を挙げている金融機関が1108件と多い。団信(保証会社の団体信用生命保険)加入時には、厳密なチェックはないが、病院や通院の状況を告知する必要がある。加入後、何らかの病気で死亡した場合、その病気を加入前に本人が把握していたことが分かれば告知義務違反で保険金が支払われず、ローンが残ってしまうことになる。住宅ローンは健康なうちに申し込むほうがスムーズということだ。

◯健康状態(回答数:1244)

・団信加入が必要(1108)

・団信加入は選択可能(110)

・団信加入は不要(5)

■「担保評価」

「担保評価」は平成23年度の調査よりも審査を実施する金融機関が増えており、1236件が審査を行っている。その結果が「融資判断に影響」すると回答したのは736件、「融資判断の参考にする」は440件。金融機関は、住宅ローンを貸し出す際に、物件に担保として抵当権を付ける。土地や建物がいくらくらいに評価されるかによって、融資の上限も違ってくる。

◯担保評価(回答数:1236)

・融資判断に影響(736)

・融資判断の参考にする(440)

・融資判断に影響せず(67)

※その他(4)

■「勤続年数」

安定した収入がある人のほうが、返済能力の面でも安心。勤続年数が長いほうが有利といえるが、勤続年数の条件を「3年以上」とする金融機関は366件で、「1年以上」が639件。勤続年数が原因で融資を断られた場合、ほかの金融機関では条件をクリアできる可能性もある。

◯勤続年数(回答数:1218)

・1年以上(639)

・3年以上(366)

・2年以上(94)

※その他(199)

■「年収」

年収の条件で一番多いのは「150万円以上」(648件)、続いて「100万円以上」(311件)、「200万円以上」(104件)、「250万円以上」(14件)。融資判断のラインとなる年収は、意外に低めという印象だ。ただし、年収が条件をクリアしていれば希望の金額が必ず借りられるわけではない。一般的に、金融機関では年収に対する年間返済額の割合に上限を設けているほか、年齢や勤続状況、担保評価などさまざまな条件をチェックして、融資額の上限を決めているからだ。

◯年収(回答数:1209)

・150万円以上(648)

・100万円以上(311)

・200万円以上(104)

・250万円以上(14)

※その他(238)

住宅ローンの審査について、どんな項目の審査実施率が高いのか、どんな条件があるのかなどを見てきたが、多くの金融機関では、独自に設けている基準だけで決めるのではなく、借り入れを希望する人それぞれの返済能力を細かく審査したうえで融資の判断をしている。審査基準は金融機関によって違うので、断られたとしても、ほかの金融機関では審査に通る場合もある。自分の資金計画に無理がないかを確認したうえで、複数の金融機関に打診してみるのもいいだろう。●参考

・国土交通省「平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査」結果報告書

・国土交通省「平成23年度民間住宅ローンの実態に関する調査」結果報告書
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