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厚労省の年金計算式のカラクリ 「所得代替率」公約の虚像

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 10年前、5000万件もの公的年金保険料の納付記録漏れ問題が発覚した「消えた年金問題」では、厚労省の官僚たちが国民から「年金ドロボー」と呼ばれ、社会保険庁は解体した。

 あれだけの大事件を起こしたのだから、年金官僚たちはさすがに悔い改めているだろう──国民はそう思っていた。

 しかし、年金官僚は全く懲りていなかった。本誌前号では、国民が知らないうちに年金制度の大転換が行なわれ、国会で審議中の年金法案が成立すると現在の年金生活者の受給額が10年間で14万円(夫婦2人のモデル世帯)も引き下げられる可能性があることを報じた。

 年金減額に怒った高齢者たちは全国で違憲訴訟を起こしているが、厚労省は「年金はもともと受給額が下がる制度」と開き直っている。

 それだけではなかった。年金官僚たちは、将来もらえる年金額についても悪質なウソをついていた。

 政府はこれまでサラリーマンが加入する厚生年金の「所得代替率」を100年後でも50%を維持すると公約してきた。所得代替率は「将来の年金受給額÷現役時代の平均給料」という単純な計算式で求められ、「所得代替率50%以上」とは、将来もらえる年金水準が現役時代の平均給料の50%以上になることを保障するという意味だ。

 所得代替率は5年ごとの年金財政検証の際に見直され、厚労省は現在の代替率が62.6%。現役時代の平均月収が30万円だった人は18万7800円の年金を受け取っており、30年後の2043年度には年金額が約15万円(50.6%)まで下がるが、現役世代の給料の5割以上は維持されると発表していた(直近の2013年度の財政検証)。

 ところが、計算にカラクリがあった。厚労省は分母の現役時代の平均収入は税金や社会保険料を除いた手取り額、分子の年金額は税・保険料を引かれる前の支給額面で計算していたのだ。分母を小さく、分子を大きくすれば、数字が大きくなるのは小学生でもわかる。年金計算にこんなインチキな計算式を使っている国家は“年金後進国”と呼ばれて当然だろう。

 どちらも支給額で正確に計算し直すと、所得代替率は2013年時点で公約ギリギリに近い50.9%で、2043年には40%台に下がる。「所得代替率50%」の政府公約が守れないことを隠すための水増しだ。

※週刊ポスト2016年11月11日号

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