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モラトリアムとは? 知っているようで知らない本当の意味

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モラトリアムという単語を耳にしたことはあっても、その正確な意味を答えられる人は少ないのではないでしょうか?

聞いたことがあってもちゃんとは知らない「モラトリアム」について、わかりやすく解説します。

要チェック項目

□モラトリアムとは、身体が肉体的、知的、性的に大人になっても、大人として社会に出ることを延期している状態

□モラトリアム人間とは、人生の選択を避け続けるような青年のこと

□モラトリアムを抜け出すには現実を受け入れることが第一

モラトリアムとはどういう意味?


最近では人気アーティストの曲名や映画のタイトルなどに使われることもあり、単語自体は聞き知ってはいるもののその本当のところは良く知らない「モラトリアム」という言葉。

モラトリアムというのは、もとは「支払猶予令」や「執行猶予期間」を意味する単語です。天災や恐慌などが起こった際の金融の混乱を避けるために、手形の決済や預金の引き出しなどを一時猶予することを指していました。

また、法律が公布されてから施行されるまでの期間のことを指したり、死刑執行の停止などを指す言葉でもあります。では私たちがよく耳にする単語の意味は上述のような意味なのでしょうか?

現在主に私たちが聞くモラトリアムの意味は、これら「猶予期間」の意味から派生した心理学用語なのです。心理学用語であるモラトリアムという言葉は、学生などが大人なのにも関わらず、社会に出て一人前の大人となることを猶予されている期間ことを指すのです。

これは心理学者エリク・H・エリクソンによって提唱された概念なのですが、当時は大人になるために必要な準備期間の意味でした。

しかし日本では、小此木啓吾の著書『モラトリアム人間の時代』の影響などにより、必要な期間を過ぎても猶予を求め、大人になろうとしない状態を表すようになっています。

これらの意味、いわゆる大人になることから逃げている状態を指している意味の方が、現代のモラトリアムという単語が指し示している意味と言っていいでしょう。

モラトリアム期間について

大人になるまでの猶予期間のことをモラトリアム期間と言います。身体が肉体的、知的、性的に大人になっても、大人として社会に出ることを延期している状態です。現代では大学生の頃がこれにあたると言われています。

もともとエリクソンが青年期のモラトリアムというものに言及した際には否定的なニュアンスはなかったようです。大人になるのを猶予されている期間というのは、大人になる前に自分のことについてじっくり考えるべき期間、という意味合いでした。

ですが現代においてはその意味からは逸脱してきています。現代の場合は、青年が大学で留年し続けたりし、社会に出て定職に就くことを拒否している状態などの否定的な意味合いを強くしています。

これらのように、人生の選択を避け、モラトリアム期間にとどまり続ける若者を、モラトリアム人間と呼びます。

モラトリアム人間について、その特徴は?


モラトリアム人間はこのように否定的な意味合いを含み、人生の選択を避け続けるような青年のことを指します。これらのモラトリアム期間にとどまり続けるモラトリアム人間の特徴として、以下のようなものがあげられます。

定職についていない

自分の生き方を決められないため、定職につけません。また職を得たとしてもすぐにやめてしまいます。

本当の自分はこんなハズじゃないと思っている

自分は本当はもっと素晴らしいという考えを持っているようです。現実が見えていないのかもしれません。

他の人や集団、社会との親密な関わりを避ける

本当の自分は今の自分ではないと考えているので、物事に対して当事者意識が薄く、お客様的であると言われています。そのため、周囲との親密な関係を築けないと言われています。

あれもこれもで、決められない

本来ならば大人になるまでに取捨選択をするべきところを、あれもこれも、と人生の選択を欲張っているために、結果的に何も決められない傾向があります。意思決定などが優柔不断だと言われています。

目的意識がなく、無気力になりがち

今の自分は本当の自分ではないと考えており、人生の選択もできないままでいるので、目的がなく、やる気もわかない人が多いようです。

つまりモラトリアムってニートのこと?

モラトリアム人間の特徴について、どう思いますか? モラトリアム人間=ニートなの? と考える向きもあるでしょう。

ニート(NEET)とはもともとはイギリスで生まれた言葉で「15~34歳までの若年無業者」を指します。(35歳以上は「無職」という)現代の日本では、働いていない人全般を指し示しています。

また、働く意思がない人々という意味も内在しているようです。基本的には学生であればニートとは呼ばれないことから、大学生などに多いモラトリアム人間=ニートとはなりませんが、ニートでいる期間はまさしくモラトリアム期間とも呼べるものです。

つまり、ニートはモラトリアム人間の一部、ということになります。他にも現代社会では、引きこもりやフリーターなど、モラトリアム人間と似たようなイメージで使われる言葉あります。

厳密に言えばそれぞれには違いがあるのですが、どれもモラトリアム、ひいては青年期のアイデンティティーの確立と深い関係があるようです。

そんなモラトリアムを抜け出すには?

現代ではほぼ悪い意味で使われるモラトリアム。ではそんなモラトリアムを抜け出すにはどうすればいいのでしょうか?

まずは現実を受け入れることが第一だと言われています。あれやこれやを頭の中で考えて否定しているよりも、まずは何でもやってみるということが大事だということです。

そして自分の人生における選択を決断することです。自分で考えて、決めるということができないのもモラトリアム人間の特徴ですから。

また、そのような決断や行動に際して、失敗を恐れないことも必要です。失敗を怖がって、一歩を踏み出せないのでは何も変わらないからです。

モラトリアムは現代社会の問題?

このようなモラトリアムに陥るのは現代的な社会の有様も関係しているのかもしれません。モラトリアムの原因として、親の過保護や情報過多、家庭環境などが挙げられています。

原因とされていることがモラトリアムとされる本人のせいではない部分が多いものの、モラトリアムを脱却できるのも自分しかいません。

(監修:Doctors Me 医師)

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