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「退屈に追いつかれない速さで、走れ」。NHKディレクターがゾクゾクする生き方を見つけた旅

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一生忘れない旅を君はしたことはあるだろうか?

「ある」と答えた人はきっと、この先の人生は大丈夫なはず。
「ない」と答えた人には、「絶対にそんなことはないはずだよ」とやさしく反論したい。

これは、書籍『The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅』からの一節です。旅に出ることで、本当に人生は変わるのでしょうか?

今回紹介するのは、大学生時代のラオスでの「原体験」が、その後の人生を大きく変えたというNHKディレクター、倉崎憲さんのお話です。

僕はこれまで“ちゃんと”生きられてなかったんだ

サッカーボールを蹴り上げると、子どもたちがワッと集まってきて、ボールの蹴り合いが始まった。敵も味方もない。ただ、だれかが蹴ったボールを全員で追いかける。無我夢中で走り回っていたとき、「あー、生きてる!」と思った。

心がパーンと開き、幸せな気持ちで満たされていく。

何もかも恵まれていたはずの日本の大学生活では得られなかった感覚だった。

「僕はこれまで、ちゃんと生きられていなかったんだ」

と、その瞬間になって気がついた。今でも思い出す、大学1年生のあのラオスでの1日。

ふとしたときに虚無感に襲われる。
こんな退屈な毎日は嫌だ!

中学から大学までエスカレーター式で上がった僕の頭を占めていたのは「いかに、大学生活を謳歌するか」。サークルに4つ入り、スポーツやアフターと呼ばれる集まりに行き、ボーリングやカラオケ、花火やドライブを楽しみ、女の子とモニャモニャしながら過ごしていた。

でも、そんな生活が半年も続くと、ふとしたときになんとも言えない虚無感、焦燥感に襲われる。もうこんな退屈な毎日は嫌だ!僕は旅に出た。

初めての一人旅は、タイへ。少しの衣類と空気を抜いたサッカーボール、いろんな思いをバックパックに詰め込んで、興奮しながら飛行機に乗り込んだ。バンコクの生温かい風と独特の香り。ぐんと五感が研ぎ澄まされ、体が喜んでいるのを感じた。

世界中からバックパッカーが集うカオサン通りで、なぜかオカマにボコボコにされ「旅っておもしれー」と思った初日だった。

自分が「これだ!」と思ったことを、人に伝えるときのゾクゾク感

陸路でラオスに入り、ぐるりと回った。ある村でお母さんたちに「一番したいことは何?」と聞くと、

「学校がほしい。せめて子どもたちに初等教育だけでも受けさせたい」

と、口を揃えて言った。たしかに、山奥に行けば行くほど学校がなく、子どもがポツンと1人で遊んでいるのをたびたび目にした。帰りの飛行機でも、その光景が忘れられなかった。悶々と考えた末「ない村には建てればいい!」と思い立ち、帰国してすぐ、自分が入っていたいろんなサークルのメンバーに、無我夢中でメールを打った。

「率直に言う!一緒にラオスの村に学校を建てませんか!」

ゾクゾクした。なんだろう、この感覚。自分が「これだ!」と思ったことを、人に伝えるときの溢れんばかりの勢い。その瞬間から、退屈な日常が変わっていった。

「だれかのために」なんて、普段は恥ずかしくて言えないけれど

仲間たちもすぐに反応してくれ、コン村というところに建設することが決まった。

規模にもよるが、学校を建てるには150万円ほどのお金が必要だとわかり、イベントを企画して人を呼び、建設資金を集めた。

「だれかのために」なんて普段は恥ずかしくて言えないけど、自分のために何かをやるより、だれかのために行動を起こす方が、強い力が出るんだと知った。

1年半後、ついに学校が完成した。開校式の日の、鳴り止まない拍手の中で、数え切れない人たちが声をかけてきてくれたことは、8年経った今でも鮮明に覚えている。

翌日に見学されてもらった授業では、教師の質問に対して9割くらいの子がハンズアップしていた。勉強するのが嬉しくて楽しくてたまらない、という気持ちが、ひしひしと伝わってきた。初めて自分たちの活動が「正しかった」と思えた。

旅の経験は「映画監督になる」という夢につながった

ーー彼は現在、NHKでドラマやドキュメンタリーを撮っているそうです。ラオスでの旅の経験が、彼の人生をどのように広げたのでしょうか。

小学校建設のストーリーはその後、カンボジアでも同様の活動をしていた団体の代表とともに『僕たちは世界を変えることができない。』という書籍となり、共同出版されました。その後2011年には向井理さん主演で映画化もされ、撮影現場などに出入りする中で、彼の中でも「映画監督」になることが夢になっていったそうです。

日常会話レベルの英語しか話せずとも、大学生活の最後の2ヶ月は「NYFA(ニューヨークフィルムアカデミー)」という映画専門学校に通い、「使えない日本人」のレッテルを貼られながらも、熱量で乗り切ったと言います。

偶然出会ったプロデューサーに懇願してハリウッドの撮影現場を見学するチャンスをもらったりと、とにかく諦めずにぶつかり続けました。

思い切って環境を変えてみれば、自ずと何かが変わってくる

旅に出て学んだことは、

「チャンスは一瞬。その一瞬を逃さないこと」
「打席により多く立ち、人より多く振ってみること」

ありきたりな言葉だけど「大切なことは全部旅が教えてくれた」とは、まさにその通りだと思う。

明日予定していることが、本当に大事だろうか?予定調和の毎日よりも、思いがけないハプニングが人生を豊かにさせる。

自分から未知に飛び込んで、今までの人生にはないピンチや失敗や苦労をすれば、自分の振れ幅が広がっていく。そうすれば、人生がもっと楽しくなる。

「experience is everything.」。体験こそがすべてだ。

倉崎 憲(28歳)『The Journey 自分の生き方をつくる原体験の旅』編著:四角大輔、TABIPPO(いろは出版)

元ミリオンヒットプロデューサーであり、現在はニュージーランドで半自給自足の森の生活を営み、世界中で移動生活を送る、執筆家・四角大輔の4年ぶりの新書。NHKディレクター、作家、LGBT 、起業家、医者、エンジニア、自由人、美容師、プロデューサー、教師、カフェオーナーなど、14人の“時代の疾走者たち”の「原体験」としての旅のストーリーをまとめた一冊。山川咲、高橋歩、西野亮廣、村上萌との対談も収録。

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