ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

睡眠薬の有効性と注意点 症状に合わせた睡眠薬の選び方を解説

  • ガジェット通信を≫


近年、市販薬として流通する種類も増え、医師の管理を受けない形で使用される機会も多くなってきている睡眠薬。

どこまで個人の裁量で使って良いのか、副作用など心配なことは無いのか、気になるという人も居るでしょう。

そこで、今回は睡眠薬について基礎から順に解説していきます。

要チェック項目

□睡眠薬は患者の緊張および不安に働きかける

□症状に合わせた睡眠薬の選択が重要

□特に高齢者では副作用に警戒を

睡眠薬とは


そもそも睡眠薬とはどのような薬剤のことを表すのか、皆さんはご存知でしょうか? 実は睡眠薬の多くは直接人体に「睡眠」を働きかけるものではありません。

人の体は眠るに落ちるまでに様々な段階を踏むことが知られています。その中で特に重要なのが脳機能の沈静、つまり脳のリラックスです。

その脳のリラックス状態への移行を促すために、睡眠薬は脳に働き掛け緊張や不安を抑制します。つまり、睡眠薬とは「睡眠を促す」ものではなく、「睡眠の障害を排除する」補助的な役割を果たす薬なのです。

4種類の不眠 症状に合わせた睡眠薬を

一概に不眠と言っても症状の現れ方によって4つの種類に分けられます。それぞれの不眠と適した睡眠薬について見ていきましょう。

入眠障害

ベッドに入って眠るまでにストレスを感じる、または長い時間をかけないと眠れないなどの不眠症を入眠障害と言います。効果がすぐに現れ、さらにすぐに抜けるために安全性も高いとされる超短時間型の睡眠薬が適切とされます。

中途覚醒

眠りに入ったものの、夜中まだ真っ暗な内に何度も目が覚めてしまうなど睡眠がぶつ切りになってしまう不眠症を中途覚醒と言います。

効果が遅れて現れ、朝まで持続する短時間作用型、中時間作用型などの睡眠薬などが適切とされます。

早朝覚醒

中途覚醒と同じく眠りには入れるものの、起きる予定の時間より数時間程早く起きてしまう不眠症を早朝覚醒と言います。

この場合、当然効果が大きく遅れて現れる長時間作用型の睡眠薬が適切なのですが、服薬のタイミングを間違えると朝起きれなかったり、通勤の運転中にまで眠気が残ったりというリスクが考えられますので注意が必要です。

熟眠障害

眠ることはできるが、起床時に『ぐっすり眠れた』『疲れが取れた』という実感を伴わない眠りが続く不眠症を熟眠障害と言います。

この不眠症の場合は睡眠そのものの障害でないために、一般的な睡眠薬では効果が薄い傾向にあります。

そのため、医療機関では睡眠の質を改善するべく、睡眠ホルモンとも呼ばれるメラトニンを調節する薬剤や睡眠の深さを維持する作用のある抗うつ薬に分類される薬剤などを処方することが多いです。

睡眠薬の副作用1 直接的なリスク

薬に副作用は付き物ですが、特に睡眠薬については副作用を気にする人が多いようです。睡眠薬においては薬理と副作用が他剤にもまして表裏一体であることもその一因であると考えられます。

以下に睡眠薬の作用による直接的なリスクを列挙します。

転倒など事故の危険性

最も頻繁に見られる副作用が事故の誘発になります。睡眠薬の作用が残留することで注意力や集中力の欠如、筋肉の弛緩を招き、結果として転倒などの事故が増える危険性が指摘されています。

自転車や自動車、作業車などの機械類に乗っていて事故を起こすとより危険性が増すため、睡眠薬を服用した翌日はなるべく乗り物を避けるようにした方が良いでしょう。

認知機能の低下

脳に影響を及ぼす睡眠薬はリラックス効果の過剰などを理由に認知症様の症状を呈することがあります。特に、もの忘れや計算能力の低下などが見られることが多いです。

また、副次的な問題として実際に認知症などの疾患があるにも関わらず睡眠薬の副作用と誤認してしまい、受診が遅れる可能性も危惧されています。

これは睡眠薬の副作用が代謝能力の低い高齢者により頻繁に見られることから、少なくない例で起こっているとの指摘があります。

睡眠薬の副作用2 発病リスク

睡眠薬にはいくつかの疾患の発病を誘発するという指摘があります。因果関係が確かめられたものばかりではありませんが、以下に知識として備えておくと有益であると考えられる研究発表を記しておきます。

認知症

副作用として一時的な認知機能の低下を招く危険性のある睡眠薬ですが、ベンゾジアゼピン系薬剤について高齢者の認知症リスク自体を高める可能性が指摘されています。

イギリスの研究において、高齢者でベンゾジアゼピン系の睡眠薬を服用している人とそうでない人を比較した結果、服用側でアルツハイマー型認知症に罹患する人の割合が50%程度多かったという発表がされています。

しかし、この結果には反証となる研究も多く、また研究対象が元々アルツハイマー型認知症のリスクを有する高齢者であることから排除し切れていない他の要因による影響も考えられます。

そのため、現状ではまだ睡眠薬と認知症の因果関係について結論を得るに至っていません。ただし、無用な大量または長期の投与は避けるべきとの方針では一致しています。

うつ病

アメリカでの臨床試験データ再解析研究において一部の睡眠薬がうつ病の発生リスクを2倍程度に高める可能性が指摘されました。

しかし、この研究はデータに集積過程での偏りがあったり、発表者が反睡眠薬の活動を行っている者であるなど結果の信ぴょう性には疑義もあります。

がん

台湾の保険システムデータ解析など睡眠薬服用者のがん罹患リスクを調べたところ、10%以上の上昇を示した研究がいくつかあります。

しかし、睡眠薬服用者は何らかの原因で心身のバランスを崩していたり、または日常的にストレスに晒されている傾向が顕著なため、

このリスク上昇が睡眠薬によるものなのか、ストレスなど他の要因によるものなのかという点において相当の疑義があるとされています。

睡眠薬は「対症療法」

多くの睡眠薬は脳を強制的にリラックスさせるに過ぎないため、根本的な解決、つまり不眠症の病巣とも言える劣悪な睡眠環境や日常的なストレスの「治療」はできません。

興味深いことに、患者に睡眠薬と称してブドウ糖などの偽薬を投与することで、本当の睡眠薬の半分程度の効果が得られるとされています。

このことから睡眠薬は文字通り「気休め」といった側面も強いということが言えます。

睡眠薬に頼るだけではなく総合的な睡眠改善を行うことが、最も有益な不眠治療であるということを肝に銘じておきしょう。

睡眠薬は適切な服用が大切 不眠の原因こそ見直しを

睡眠薬は症状に応じて適切な薬剤を、適切な範囲で服用することで有益な効果を望めます。

不眠でストレスを感じていたり、体調を崩している人には必要な医薬品でしょう。

しかし、睡眠薬は同時に副作用の懸念やあくまで対症療法であり原因を解決するものではないことなど、留意すべきポイントの多い薬剤でもあります。

必要に応じて医師の管理を受けながら、不眠の根本原因の改善などにも努めるようにしましょう。

(監修:Doctors Me 医師)

関連記事リンク(外部サイト)

耳栓で睡眠障害を防止!正しい耳栓の選び方と清潔に保つ方法
寝ても寝ても眠いときは要注意!考えられる疾患を知っておこう
自分の最適な睡眠時間は何時間? レム睡眠のサイクルを知り快眠体質になろう

カテゴリー : 生活・趣味 タグ :
Doctors Me(ドクターズミー)の記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP