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【うまい日本酒】東京23区内で唯一続く日本酒の蔵元「赤羽・小山酒造」の工場に行ってみた

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日本酒を造る蔵って、どんな場所にあるイメージを持ってますか?

普通に考えれば、自然のままの水や空気、景色を携えた山奥や、雪深く寒い地域といったところでしょうか。ですが、驚くべきことに東京都内にも、実は蔵元が存在しているのです!

とはいえそのほとんどは、少々都心を外れた西東京のもの。さすがにもう、大都会のど真ん中で酒造りなど行われてはいないでしょうか……? と思いきや。なんと、あの飲兵衛の聖地と言われる、東京都北区赤羽に現存していました。

それが創業明治11年、23区内で唯一続く酒蔵「小山酒造」です。

これを知った酒好き+赤羽好きの筆者・もちづき千代子は、矢も楯もたまらなくなってしまいました! ぜひ、その酒蔵、行ってみたい! はやる気持ちを抑えながら、さっそく酒蔵へとうかがいました。


その蔵元は、赤羽にあった

小山酒造は、東京メトロ南北線・赤羽岩淵駅から歩いて5分ほど。荒川にほど近い場所にあります。一見すると酒蔵とは思えない外観です。この中で赤羽の地酒が作られているなんて、不思議な感じ。

今回、酒蔵内の案内をお願いしたのは、小山酒造五代目社長の奥様であり、常務取締役広報担当の小山久理さん。彼女のアテンドにより、創業138年目を迎えるという小山酒造の歴史と、造られ続けているお酒の美味しさの秘密を紐解いていきたいと思います。

小山酒造の創業は明治11年。創業者の小山新七氏は、もともと埼玉の造り酒屋の次男坊。湧き水が豊富な宿場町だった赤羽岩淵を気に入り、独立して酒蔵を立てたのだそうです。

久理さん:宿場町でのお酒の需要や、荒川での船運搬の利便性で、当時はだいぶ繁盛したようです。ここに展示してある道具は、昭和に入った頃に使われていたものです。

これらの道具を使っていた明治時代には、都内の酒蔵は60箇所ほど。昔は意外と多かったんですね! しかし、関東大震災の影響や空襲などで酒蔵が倒壊し、徐々に姿を消していったのだとか。東京は土地が高額だったためか、再度の復建が難しかったようです。

展示物を見ていると、チラチラと目に入ってくる言葉が……「愛酒報國」? これは何ぞや?

久理さん:これは「あいしゅほうこく」と読むのですが……2代目が作った造語です(笑)。当時は戦争真っ只中で、国にお金がない時代。当時の酒税は今とは比べものにならないくらい高かったので「国を愛しているならお酒を飲もう」という意味が込められています。

なるほど。つまり、お酒をじゃんじゃん飲んで納税して国を助けよう! ってことですね。

久理さん:この言葉をあまりに推しすぎて、店名や商品名よりも目立っていたみたいですね(笑)。

ちなみに、小山酒造が「愛酒報國」推し真っ只中だったであろう昭和11年、都内の酒蔵の数は11社にまで減少していました。そして、東京大空襲により23区内の酒蔵はついに小山酒造1社に。以後、東京23区内で脈々と続いている酒造は、小山酒造のみとなっています。

このガラスの向こうが蔵になります。小山酒造では、一般のお客さんに向けて蔵見学も行っています。酒造りのシーズンである9月上旬~5月上旬は、ガラス越しに日本酒の製造工程を見せてもらえるそうです。作業スケジュールよっては公開できない日もあるので、事前予約必須とのこと。

そしてこちらが、滅多に直接目にすることはできない蔵の中です。うわぁ……あの丸い樽の中で日本酒が造られているわけですね! 目の当たりにすると、なんだか感動が……。しかし、想像していた蔵よりもだいぶ近代的な気がします。

久理さん:小山酒造では創業当初から、新潟から出稼ぎの職人さんを呼んで作っていたのですが、時代とともにそれが難しくなってきました。そして、20年ほど前に職人ではなく、弊社の社員が製造する方式に切り替えました。そのタイミングで蔵を建て替え、設備を一新したのです。

なるほど、これも時代の流れということですね。

……それにしても。やはりもっとも気になるのは、ここで造られているお酒の味ですよ! いったいどんな感じなんですか、久理さん? ねえ! ねえ!!

久理さん:お仕事中ですが、大丈夫ですか(苦笑)? よろしければ3種類ほど飲み比べをしてみてください。

やったぁ~!! ここでもちづき的メインイベント、日本酒の試飲に移らせていただきたいと思います。

小山酒造の主戦力商品といえば、こちら。「丸眞正宗 吟醸辛口」(720ml/1,409円)!

地元である北区を中心に、都内の城北エリアで販売されている、正真正銘の江戸の地酒です。試飲一杯目は、こちらの吟醸辛口。

久理さん:吟醸辛口は、爽やかな酸味とキレのある後味で料理のジャンルを問わず楽しめるお酒です。

その言葉通り、とてつもなくスッキリした味わいです! 後味なんて、キレがあるどころかキレッキレ! 秋には焼きサンマを濃厚なワタとともにいただいて、これでキュッと……。嗚呼、想像しただけでジュルリです。

試飲二杯目は、こちらの「丸眞正宗 純米吟醸」(720ml/1,389円)。

久理さん:純米吟醸は、おだやかな吟醸香とまろやかな味わいが特徴です。ぬる燗がオススメですね。

おちょこを口に近づけただけでも、素敵な香りがふわぁ~っと鼻孔をくすぐります。とってもフルーティーなんですよ! 芳醇、という言葉がしっくりくる飲み心地。でも後味はやっぱりキレてる。これは敢えて生牡蠣なんかに合わせたいですね……。冬にしっぽりといただきたい。

試飲三杯目は、こちらのカップ酒「丸眞正宗 本格辛口 マルカップ」(180ml/227円)。

久理さん:ワンカップは、もっとも親しみやすい味かもしれませんね。とろっとした豊かな味わいです。常温でも燗でも美味しくいただけるお酒です。

うん、思ったより辛口! でも、カップ酒としてはあり得ないくらい高いクオリティだと思います。出汁の美味しいおでんなんかと合わせると美味しそう。しかし、個性はそれぞれ違えど、三種類のどれにも共通するのが「後味のキレ」。なんと、丸眞正宗の名前の由来が「まるまる本物」+「名刀正宗」というほど、キレにこだわって作られているのだとか。

試飲終わりでだいぶ良い気分になってきた、もちづき。久理さんに大正10年に撮られた小山酒造・創業者と蔵人たちの写真を見せてもらいながら、ほろ酔い頭で改めてインタビューを開始。

日本酒の意外な利用法とは?

──23区内で唯一続いている酒蔵ということで、最近はいろいろなメディアからも注目されていらっしゃいますね。ぶっちゃけ、製造量も増えてきてるのではありませんか?

久理さん:いえいえ、昭和50年あたりから比べると現在は1/5ほどに減っています。実は年々国内の日本酒消費量は減っていますからね……。

──なんと……! 小山酒造の話というよりは、全国的な傾向ということでしょうか?

久理さん:そうですね。それこそ、昔は国内には日本酒しかなかったので、必然的にお酒=日本酒だったんですけどね。洋酒の輸入が始まったころから、シェア率はどんどん低くなっていますね。ただ、うちはそこまで販売しているエリアが広くないですし、地域密着型というか。販売しているお酒は、ほとんど北区のある東京の城北エリアだけで捌けてしまうので、なんとかやっていけてますよ。

──なるほど。やはり小山酒造は、地元のお客さんに愛されてきた酒蔵なのですね。えっと、これは個人的に聞きたいことなのですが……。日本酒って、飲んだり料理に使ったり以外に使用できたりするんですか? お肌にいいとはよく聞きますが……。

久理さん:ダントツでオススメなのは日本酒風呂ですね! 保湿性の高さと美肌効果が期待できます。でも、使うお酒は安くても古くても全然いいですよ。

──久理さんもお肌キレイですもんね……。説得力がありますね。

久理さん:実は10月から、池袋のスパ「タイムズ スパ・レスタ」で毎月26日に丸眞正宗を使った日本酒バスがスタートするんです。

──そ、それはひじょうに興味あります! 意外なコラボレーションもしてるんですね。2020年の東京オリンピックの影響もあって、今後はますます小山酒造の需要は高まっていくのでは?

久理さん:だとしても、小山酒造は特に変わるつもりはありません。地元の人たちから受けた恩を返していくためにも、昔からのお客さんを優先して製造していきます。これからも、この赤羽で愛される酒蔵でいたいですね。

──熱い地元愛に感涙です……。今日はありがとうございました!

脈々と受け継がれる、地元での酒造りへの思いを教えてくださった小山酒造。これからも150年、200年、300年と、素晴らしい日本酒を作り続けていただきたいですね!

お店情報

小山酒造

住所:東京都北区岩淵町26-10

電話:03-3902-3451

営業時間:8:30~17:30

ウェブサイト:http://www.koyamashuzo.co.jp/

書いた人:もちづき千代子

人生が常に大殺界な人妻ライター。日大芸術学部放送学科卒業後、映像技術者・メーカー広報・WEBサイト編集長を経て、2015年よりフリーライターとして活動を始める。人生のテーマは「酒と涙と男と女」。

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