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「コソボ料理」の世界へようこそ。肉に始まり肉に終わる、バルカン半島の食生活とは

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旅の醍醐味の一つは何といっても食事。普段の生活の中では味わうことのない食べ物との出会いは、それだけで旅行の面白さを一層掻き立ててくれますよね。そこへ来てコソボ(アルバニア)料理、ひいてはバルカン料理は、日本でなかなか食べる機会に恵まれないので、「一体あの辺りの人々は何を食べているのだろう……」と秋の夜長に想像を掻き立てられ眠れぬ夜を過ごしているという声もちらほら(あれ、幻聴?)。そんな方々のため、食欲の秋にちなみ、勝手にコソボ料理特集を組んでご紹介いたします。映画監督が丸ごと買いあげた不思議な村鎖国・無神国家を経たアルバニアの今とはコソボからセルビアに移動すると不法入国に?

前菜:肉料理

「バルカン半島の人は何を食べているんですか」と聞かれるたび、「肉です(以上)。」で会話が終わってしまうので、コンパではこの質問は避けるのが無難。

それほど肉ばかり食べているこちらのみなさん。

 

その代表的なものは「ケバブ」(?evapi)。

日本の屋台で見かけるケバブは「ドネルケバブ」で、ローストされた肉をスライス状にしてパンにはさんで食べるスタイルですよね。

 

しかしこちらで「ケバブ」というと、人差し指くらいの長さの皮なしソーセージのこと。5本(半人前)〜10本(一人前)くらいの肉が、サラダとともにお皿に乗って出てきます。

 

無料でパンも付いてくる。女子は5本で十分。

 

コソボは一応ムスリム国家なので豚肉は使われず、たいてい牛肉のケバブです。

このケバブ、近隣のボスニア・ヘルツェゴビナの国を代表する料理(向こうでは?evap?i?iと呼ばれている)と位置づけられていますが、まぁバルカン諸国どこでも食べることができます。

 

 

これと似たような肉料理に、「キョフテ」(k?fte)というのがあります。同じく牛肉に玉ねぎやスパイスを加えて焼いたもので、こちらは平たい丸の形をしています。

コソボ人に「ケバブとキョフテはどう違うの?」と聞いてみましたが、「さぁ、だいたい一緒」とのことです。確かに味はだいたい同じ……。数はあるけどだいたい同じな肉料理の中でわたしのお気に入りは、「プレスカビッツァ」と「ボンビッツァ」。プレスカビッツァ ボンビッツァ いわゆるハンバーガーの中に入っているハンバーグです。こちらも同じく牛肉と玉ねぎとスパイスでできています。ボンビッツァはプレスカビッツァの中にとろけたチーズが入っているもの。気分によって食べ分けるのが通な楽しみ方。

 

さて、これらのお肉たち。気になるお値段ですが、ケバブとキョフテなら5本で1.5ユーロから、プレスカビッツァは一皿3ユーロからと、大変お求め安くなっております。たいていはサラダとパンも一緒についてくるので、これだけで十分、一食分になりますよ。

前菜2:パイ料理

そして、このお肉たちに並んでバルカン半島一帯で広く食べられているものと言えば、「ブレク」(Burek)。その中でも、コソボのブレクは一級品だと思います。国によって形が異なる。コソボは棒状。1本1ユーロから。 パイ生地の中に、肉、チーズ、ホウレンソウ、ジャガイモが入っているのが代表的なところ。その他、地域によってそれぞれ中身が異なるので、食べ比べにはもってこいです。わたしが住んでいるプリズレン特産のブレクにはキャベツが入っています。焼き餃子にかなり近く、ラー油とお酢があったらなぁ……と食べるたびに思います。

 

アルバニア民族はパン類を作るのに長けているのか、バルカン諸国やその他近隣の国々(オーストリアなど)でパン屋またはブレク屋を見たらアルバニア人経営だと思え、というのがここら辺の常識みたいです。それほどアルバニア人が作るブレクはおいしいんです!

 

肉料理やらパイ料理やらなんだか贅沢に聞こえるかもしれませんが、実はこれらの料理、こちらではファストフードという位置づけ。安い・早い・重い(これかなり重要。満腹になることが食べる目的なので)と三拍子そろい、さらに使われている食材も新鮮なものばかり。コソボのお隣マケドニアでは、一時マクドナルドが参入を試みましたが、ご当地ファストフードの質が高すぎて(そして値段は安すぎて)地元民に全くウケず、撤退してしまったなんてこともありました。

メイン:意外に手の込んだ家庭料理

バックパック旅行でコソボやバルカン諸国で外食するとなると、上記のような「ファストフード」を食べることに終始してしまうという方も多いかと思います。それだけでも十分おいしいのですが、正直、バリエーションは少ない(というかない)という印象で終わってしまうのが悲しいところ。

 

しかし現地の人々は、手の込んだ家庭料理を食べているんですよ。家庭で食べる食事と、外で食べられる食事に、なぜこんなにも隔たりがあるのか。イランでも同じ現象だったのですが、日本以上にこの部分に関しては、内と外の線引きがはっきりしているのに驚かされます。

 

さてそんな中、いくつか家庭で食べられている食事にありつく幸運に恵まれたので、ここでご紹介します。

ドルマ(Dollma)

今まで食べたコソボ家庭料理の中で一番のお気に入り。 大きな獅子唐に、お米と野菜とひき肉を詰めてオーブンで焼いたもの。この獅子唐は結構辛いです。脂っこいので3つ食べれば胃にドンときます。

イマム・バイルディ(Imam Bayildi)

名前の直訳は「イマム(イスラム教の指導者)が卒倒した」。この料理を口にしたイマムが、あまりの美味しさに倒れてしまったという伝説からきています。ナスやズッキーニの中に、ひき肉と野菜とチーズを詰めてオーブンで焼いた料理。同じく重めなので2つ食べればおなかいっぱい。

パチェ(Pa?e)

羊や牛の頭部を煮込んだシチュー。二日酔いの朝に食べると一気に体調がよくなるそうですよ。レストランでも食べることができますが、昼以降は売り切れになっていることが多いです。そして、「ママが作るパチェが一番美味しい」と各々が口をそろえて言うことから、まるで日本の家庭における味噌汁のような存在?

デザート:欠かせないんです

最後に、メインにはなれないけれどバルカンの食卓に欠かせない、ある意味これぞソウルフードと言って差し支えないものたちをご紹介します。

「アイバー」(Ajver)

パプリカ、トマト、玉ねぎ、ナスなど、この地方で採れる野菜から作ったペースト。各家庭で必ず手作りされています。もちろんスーパーでも一区画を堂々と占領。パンに塗って食べるのが王道ですが、その他スクランブルエッグに混ぜているのも見たことがあります。見た目はトマトソースに似ているので、パスタソースにしてみようと思われるかもしれませんが、これだけではコクと味が出ないのでおすすめはしません。

「チーズ」

コソボにはシャーマウンテンという山があり、そこで育てられた牛やヤギのミルクから作るチーズをよく食べます。ヤギのチーズはプチ高級品の扱い。塩味が強いです。お酒の席のおつまみとしてよく見かけるほか、朝ごはんにも出されたりします。

「フリア」(Flija)

ミルフィーユを彷彿とさせる見た目。しかし甘くありません。小麦粉、水、塩、バター、ヨーグルトからできており、その材料から想像に難くないように素朴な味付です。そしてねっとりしています。家庭で作られる他、山岳地帯に行くとよく道沿いで売られています。チーズやはちみつと共に食べると美味しい。

「アイラン」(Ajan)

飲むヨーグルト。しかし日本の飲むヨーグルトとは違い、甘味はなくしょっぱいです。ケバブやブレクを食べるときに一緒に飲みます。こちらの人は平気でガブガブ飲んでいますが、お腹が弱い方は注意が必要かもしれません。

 

いかがでしたか。コソボの料理と言っても、そのどれもがだいたいよその国から来た食べ物ばかり。それをオリジナリティに欠けて残念と思うか、はたまた世界三大料理のトルコ料理の影響を大いに受けているその味に舌鼓を打つか。こればかりは個人の感覚なのでどうしようもないですが、わたしは結構好きです、コソボ料理。素朴な人柄がそのまま料理にも出てしまったバルカンの味を試しに、ぜひ一度足を運んでみてはいかがでしょう。万が一この味に納得いかなかった場合の対応策として、イタリアとセットで訪れるのがいいかもしれません。

肉ばかり食べていると……

こっちの人ってせっかちな人が多いんですよ。なんでだろう、と思っていたんですが、今回この記事を書くにあたって数日間肉ばかり食べる日が続いたんです。そしたら普段はなめくじよりものんびりな性格のわたしが、やたらイラチになるではありませんか。せっかちの原因、もしや肉食にあり?そういえば昔モンゴルにいた時も、1ヶ月間ラム肉ばかり食べる生活をしていたら、自分の体の匂いが羊みたいになったのを覚えています。肉ばかり食べていたら心身ともに動物化するのですかね。野性的で素朴な食事もいいですが、そろそろ出汁のきいた日本食が恋しくなってきた今日この頃です。

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