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「saya」が越えた!? “不気味の谷”を3次元が越える日

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3DCG技術を集めて制作された女子高生「saya」。画像が公開されるやいなや、「これCGなの?」「生きてるとしか思えない」といった反響が続出している。そんな、実在の人間と見紛うような突出したクオリティーの作品が発表されるたびに引き合いに出されるのが「不気味の谷」という概念。CGやマネキンなど人間に似せて作られた造形物に対して、ある時点で「不自然で気持ち悪い」と急に嫌悪感を覚えてしまうことを指す。2次元や3次元で人間の顔を作る際の障害とされ、この“谷”を越えると再び好感に転じるとされる。

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「saya」は“不気味の谷”を越えたとも言われているが、その一方で、アンドロイドや人形など3次元の世界で“不気味の谷”を越えることは可能なのだろうか。

そこで、マツコ・デラックスを模した「マツコロイド」や、女性型アンドロイド「ASUNA」などを製作している「A-Lab(エーラボ)」最高ブランド責任者の島谷直志さんに、アンドロイドのリアリティの追求について伺った。

「私たちは、人間の生活の中に溶け込むようなアンドロイド作りを目指しているので、やはり『不気味の谷を越えること』は大きな目標としています。現在、弊社が手がけている『ASUNA』は上半身を製作中なのですが、ほぼ完成している顔に関してはすでに好評価をいただいています」

たしかにASUNAの画像を見ると、人間そっくり! これは、不気味の谷を越えているかも…!? でも、見る側が「不気味」「恐い」と感じないように、どんなことに気をつけて作っているのだろうか。

「人と人が対面したときに、最初に目線が行くのは『目』なので、不気味の谷を越えるうえで目は重要なポイントです。黒目に光が入っていないと人形のように見えてしまうのですが、リアルな人間の目は平面でなく湾曲しているので、例えば蛍光灯の光を見たときは、細い蛍光灯の光が微妙に歪んで映るんです。そうした光の反射具合まで再現しなければ、見る人に違和感を与えてしまうので、何度も角度を変えてチャレンジしてきました」
苦労は目だけではない。顔の印象は様々な要素によって変わってくるのだそう。

「髪の毛もおなじく、光が反射してツヤが出ますよね。ただ、リカちゃん人形のようにツヤツヤしすぎていると、作り物のように見えて違和感が出てしまうので、人毛を使って自然なツヤ感が出るようにしています。また、歯の見え方や眉毛の生え方、顔の非対称性なども影響してきますね。あとは、肌の質感や色みを人間に近づけるために、血管を描いた薄いシリコンの上にシリコンを重ねて、肌の赤みを出したり、マネキンのようなツルンとした肌に見えないようにあえて表面に若干ザラつきを加えたりしています。肌に関しては、ダッチワイフメーカーの技術も素晴らしいので、展示会等で材料を見て、参考にさせていただくこともあるんですよ」

見る側が不気味か不気味ではないかを判断するのは、普段意識しないような微妙な部分。「A-Lab」がアンドロイドを作るときは、試作品を見て「どこか変だ」と思った部分は、原因を追究し、徹底的に試行錯誤を繰り返すという。

「例えば、首を左右に動かす動作にどこか違和感があって、原因を探ってみたことがあります。すると、人間は首を動かす直前に『まばたき』をしているのに、アンドロイドはしていないことに気づきました。それで、左右に振り向くときにまばたきを入れたら、グッと人間っぽくなりましたね。また、人間って、ずっと同じ姿勢をしていると疲れるので、体をほぐすために無意識に背中を丸めたり伸ばしたりして動いているんです。その微妙な動きをアンドロイドに真似させたりもします」

本来アンドロイドは疲れないが、人間らしく見せるにはあえて“疲れ”に注目した動作も必要になるということ。そして、「動き」の面ではアンドロイドならではの“器”の制約もあるそう。

「アンドロイドがモデルとする人間は、体のサイズがある程度決まっているので、そこに機械を収めないといけないんです。だから、今は顔の表情も『ほほえみ』や『苦笑い』など小さな変化を出せる程度です。爆笑など大きく表情を変化させるには、それだけたくさんの機械が必要になり、顔のサイズに収まらなくなりますからね。マツコロイドぐらい大きくて、機械を入れる器が広ければ動きも出しやすいんですけど、華奢な女の子のアンドロイドを作るのはなかなか難しい…。そういう意味では、2次元の中で自由に動ける3DCGのsayaは羨ましいですね(苦笑)」

3次元で不気味の谷を越えるのは、技術的な問題とサイズの両面をクリアしなくてはならないのか。

「たしかに、まだまだ課題は多いですが、3次元だからこそ出せる“存在感”はアンドロイドの強みだと思います。展示会などでASUNAを見に来たお客さんの中には『“会えた”ことが嬉しい』って言ってくださる方も多いんですよ。今後も、不気味の谷を越えて、人間の『仲間』として親しまれるようなアンドロイド作りを目指していきたいですね」

SF映画のように、アンドロイドと人が一緒に生活する…。そんな未来が来ることを期待したい!

(内田静穂/short cut)

(R25編集部)

「saya」が越えた!? “不気味の谷”を3次元が越える日はコチラ

※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

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