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「認知症と共に自分らしく生きる」その言葉の意味とは?

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「自分らしく生きる」とは、どういうことなんだろう…母が自分らしく生きるために、私は何をすればいいのだろう。私自身の中に答えが見つからず、これでいいのかな?といつも思いながら、母を見守ってきました。

ある時、精神科の精神保健福祉士さんに質問したところ、答えをいただいたのですが、今回はそのことについてお話したいと思います。

母のやりたいことを知って…

「認知症と共に自分らしく生きるとは、どういうことだと思いますか?」

私は、精神科の精神保健福祉士さんに質問しました。その答えは、

「病気になる前と同じ生活をすることだと思います。例えば、お母さんは出掛ける日なのに、とても寒かったとします。娘さんは、『今日は寒いから出掛けないで』と止めるのではなく、温かい服装を用意してお母さんに出かけてもらう。このことが、お母さんが自分らしく生きることだと思いますよ。」

母がアルツハイマー病と診断された後、私たちは話し合う機会がたくさんありました。
家に居てもやることがないからずっと家に居るのはいや
毎日出掛けたい
同じ病気の友達が欲しい
いろいろな人と楽しくおしゃべりがしたい
同じ病気の人を元気にしたい

など

母にはやりたいことがたくさんあります。最後の晩餐は、焼肉と生ビールを頼まれています(笑)母がやりたいことがたくさんあることを知ってからは、その希望が叶うように生活を整えてきました。

母の生活を整える

生活を整えた甲斐あってか、母は認知症をもっていても、やりがいや生きがいを感じながら過ごしているようです。

しかし、アルツハイマー病は進行性の疾患です。私の気持ちや支援のあり方も、母の症状の進行と共に変えていかなければなりません。「認知症と共に自分らしく生きる」と、文字にしてしまえば簡単なように思いますが、母にとっても私にとっても簡単なことではありません。

例えば、母は、ひとりで通えていた認知症カフェにだんだんと通えなくなりました。時間通りに到着できなかったり、帰りのバスを乗り過ごしたり。もう認知症カフェに通うのは無理だと思ってしまいました。ゆっくりではありますが症状が進行していく中で、「今の生活」を維持することが難しくなってくると、私の気持ちも辛く悲しくなることもあります。

そのような時は、ケアマネジャーさんに相談します。とても頼りになります。母が今まで通りの生活が続けられるように、提案や支援を用意してくれます。そして、私はこの精神保健福祉士さんの言葉を思い出します。私にできることは、母が「自分らしく生きる」ことができるように生活を整えることだと思うのです。母がアルツハイマー病と診断されて6年、認知症と共に生きる人生の再構築をしてから3年が過ぎました。支援の数は増えましたが、今も3年前と変わらない生活スタイルです。

自分らしく生きていくこと

母は「娘に迷惑をかけたくない」とよく言います。これも母の願いだと勝手に解釈しています。だから私は、認知症をもつ母のことを負担に感じない生活を実践したいと思っています。

今のところ、私や私の家族は母を負担に思ってはいません。(母はアルツハイマー病という病気ですので、病気の家族を看病するという一般的な負担は当然ありますが、そこに「認知症をもつ母だから」と上乗せされる負担感はないという意味です。)

娘たちには、思いやりや助け合いの芽が育ってきています。いろいろな方の支援を受けて、母も私も「自分らしく生きる」ことができていると思えます。

この記事を書いた人

河合雅美

1972年生まれ。夫と二人の娘の四人家族。介護老人保健施設と調剤薬局に薬剤師として勤務。アルツハイマー病の母(要介護2)が同じマンションの別フロアーで一人暮らしをしている。診断当初は、どうしていいのかわからず、母娘でケンカばかりしていた。ある時、母としっかり向き合うことができ、認知症があっても、やりたいことやできることがたくさんあることを知る。現在は、認知症と共に生きる母を前向きにサポートしている。

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