ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

そもそもなぜ給料を上げたいのか? | 木暮太一

DATE:
  • ガジェット通信を≫

働けど働けど我が暮らし楽にならず……と、自分の仕事の頑張りや成果が給料に反映されず、虚しさを感じることってありませんか? 実は給料がなかなか上がらない背景には、個人の頑張りだけでは変えられない大きな社会システムが隠されているのです。

そこで累計135万部を売り上げた『自分の給料をいまより上げる方法』の著者、経済ジャーナリストの木暮太一さんに、日本社会における給料のカラクリ、そしてとっても気になる給料アップに必要なことを伺いました。

まずは、給料が決まる仕組みを知ろう

木暮さんによると「日本において給料とは、将来や生活を保証してもらう証拠として企業から貰っているもの」だといいます。多くの人が「なかなか給料が上がらない」と嘆く根本的な理由を、大きく2つ挙げていただきました。

「給料」と「仕事の頑張り」は無関係

多くの企業で給料の決め方は、例えると商品の価格と同じ。

商品の完成までにかかった材料費や人件費などの原価を鑑みて、利益を乗せて、値段を決めます。つまり商品が「どんな役割を果たすか」は、価格設定に関係ありません。「このスマホは他にない機能がついているから高くしよう」という値段の上下はあっても、相場は大きく変わらないのです。

同じように給料を決めるのは、あなたという労働力にかかっている原価。食費、住居費、娯楽費、交通費など、働き続けるために必要な原価が給料に反映され、年を取って家族ができると「原価」が増えてくるため給料も上がる、という仕組みです。

そのため、スマホで何をするかによって価格が変わらないように、基本的には仕事でのパフォーマンスが給料に関係することはないのです。

クビにならないから、給料も上がらない?

もうひとつの大きな理由は、簡単に正社員をクビにできない、減給もできないという日本の社会システムにあります。

例えば、今年業績が好調だったとしても、それが来年も続くという保証はありません。しかし「今季は業績がよかったから」と全社員の基本給を上げてしまうと、「業績が悪くなったから」と再び給与を下げることは簡単にはできません。人件費、つまり固定費がどんどん膨らんでしまうため、基本給を上げるというのは経営者としては避けるべき選択なのです。

実は、給料の決まり方は、150年前に書かれたカール・マルクスの『資本論』にもある資本主義のシステムのひとつ。原価に「頑張り」や「自分が出した成果」はカウントされていないにもかかわらず、多くの人が「頑張れば給料が上がる」と思い込んでいることが大きな問題と木暮さんは語ります。

まずはこのシステムを頭にいれておくことが、給料と向き合うスタートラインとなります。

いまより給料を上げるために必要な3つのこと

給料が簡単には上がらないと知ると、仕事へのモチベーションもガクッと下がってしまいそう。しかし、ここで重要なのは「毎日同じ環境で、同じ仕事をしていても上がらない」ということ。社内のポジションや環境を変えることで、給料が上がる可能性はあります。

そこで給料を上げるために必要なことを、ケースごとに見ていきましょう。

Q.自分の仕事が上司に認めてもらえないのですが…

A.「なんで自分だけが」と、周りを妬んでるうちは出世できない

同じ社内で「自分だけ上司に頑張りを認めてもらえない」「自分より仕事ができないハズのあいつが昇進した」と感じることはあるかと思います。しかし、そもそも人の能力とは数値化・可視化できるものではないと考えましょう。つまり他人のことを気にしているところが、出世できない理由なのかも…。

会社に所属している以上、仕事はチームプレー。サッカーにおいて「FWばっかり点を取ってずるい」と考える人がいないように、仕事でも「仲間が結果を出せるようにみんなで頑張ろう」という姿勢でいることが出世の近道です。

Q.成果を出しているのに、出世や昇給になかなか反映されません

A.今の仕事は、将来の自分への「投資」だと考える

今の会社での昇進や昇給のスピードに対して不満があるならば、自分が蓄えた能力を買ってくれる環境へ移動する。つまり転職も給料アップの手段のひとつです。

ただし転職で給料を上げるためには、自分をより高く「買ってもらえる」ように売り込む必要があります。そのためには実績が不可欠。「この先3年間で実績を積んで、別の企業に2倍の給料で自分を買ってもらおう」というふうに、目の前にある仕事を未来への投資と捉えてみましょう。

Q.いまの環境でもっと給料を上げたい!というのはワガママ?

A.「安心」と「給料」、どちらを取るかはあなた次第

「昇進のスピードが遅い」「給料が上がらない」という不満は、冒頭のように簡単にクビにならないという「安心」を得ている対価でもあります。一方でベンチャー企業に勤めれば、1年以内で役員になれる可能性もありますし、事業が大きく成長し上場する可能性もあります。

「現在の状況を失いたくない」けれど「大きなリターンがもらえる」、この二つは両立できません。どちらが良い悪いではありませんが、この前提は心がけておく必要があるでしょう。

稀に「安定している」「給料も上がる」という企業もありますが、当然競争率も高いため、選ばれるための能力を身につけておかなければいけません。

お金は「貯める」より「生み出す」工夫を

木暮さんは「お金は貯めても意味がない」と断言。これからは、ストックではなく、「フロー」が大事だといいます。

例えば「老後が心配だから」と、毎月3万円を30年貯金したとします。しかし頑張って貯めても、結果は1080万円。確かに大金ですが「1000万円あるから老後は安心」とは考えにくいでしょう。それよりも、3万円で「週1回働いて月20万円稼げるスキルを身につける」など、30年後でもお金を稼ぐための地盤を作ったほうが安心なのです。

日本人の平均寿命は現在80歳を超え、60歳で退職した場合20年以上収入がない状況で生活しなくてはいけません。そこで「収入がなくなったら、どう生活すればいいんだ」と考えたときに、貯蓄や金融投資ではなく、自分でビジネスを作れるようにすることが不安を解消するための近道です。

そして「老後もお金が入ってくる仕組み」や「老後もお金を稼げる自分」を作るためにどうすればいいか……と逆算して考えていくと、仕事やお金に対する向き合い方が変わってくるのではないでしょうか。

「将来が不安というのは、誰にとっても当たり前の話。海に出て『道がない』と不満をいうのと同じです。そのとき、自分のスキルをつかって自分自身を守るしかありません。そこで目先にあるお金だけに囚われずに、長く生き延びていくための将来の設計をしましょうというのが、僕の根本的な考え方です。」

木暮太一(こぐれたいち)

作家、経済ジャーナリスト。慶應義塾大学経済学部を卒業後、富士フイルム、サイバーエージェント、リクルートを経て独立。現在では、企業・大学・団体向けに多くの講演活動を行っている。『僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?』(星海社新書)、『今までで一番やさしい経済の教科書』(ダイヤモンド社)、『カイジ「命より重い!」お金の話』(サンマーク出版)など著書多数、累計135万部。一般社団法人教育コミュニケーション協会代表理事

<WRITING>伊藤七ゑ

関連記事リンク(外部サイト)

働き先に猫を連れていくべきか、置いていくべきか —渡り鳥プロジェクト—
「大企業病」につけるクスリはあるのか?
【私のIターン】地方と都会では求められる仕事の「幅」が違う | 宮崎シーガイア 橘治子

リクナビNEXTジャーナルの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP