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ボブ・ディランにみる。「受賞」と憲法の関係

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 ボブ・ディランがノーベル文学賞を受賞しました。「え?なぜロックシンガーに」という意見だったり「文学じゃないでしょ?」という声が上がったり。議論百出の様相です。
 さて、世界レベルで受賞が報じられるものと言えば、「ノーベル賞」あるいは数学の世界で言えば「フィールズ賞」など様々なものがあります。国内に視線を転じれば、国民栄誉賞。ちょっと毛色は異なりますが勲章の叙勲などが挙げられます。

 実は国民栄誉賞や叙勲など、国が一国民、あるいは団体に栄典の授与を行うことは憲法上の問題があるという指摘があります。
 というのも、国の行為(行政府が行う行為)については、法律上の根拠が必要だとされます。しかしながら、前述の叙勲制度を含む栄典制度は根拠となる法律が存在しません。
 内閣府令や内閣告示などの「政令」に基づいて運用がなされています。これを捉えて、「政令はあるけれども法律に基づかないのだから、栄典授与は憲法違反となる」とする見解です。

 これに対して政府見解としては、憲法73条6号が政令制定権を内閣の権限として定めていることを根拠として、憲法7条において規定される「栄典を授与すること」を実施するために政令の制定を行い、栄典の授与を行っているから憲法違反ではないとしています。

 また、行政の行為は基本的に国民の権利を「制約」するものであり、それゆえに権利の制約を適切に行い、暴走を食い止めるために法律の根拠を必要とするわけですが、栄典の授与は国民の権利に制約をもたらすものではなく、むしろ利益をもたらすものだから、法律の根拠は要しないという実質にまで踏み込んだ見解もあります。

 結局のところ、憲法上の「学問的」問題点はあるものの、実務上は問題なく栄典の授与がなされている状態です。
 もっともノーベル賞は海外の主催機関が受賞者を選定し賞を与えるものですから、憲法上の問題云々は関係ありません。
 それこそ、せっかくの受賞について「憲法上の問題がある!」と議論をしていたら、ボブ・ディランに「The answer is blowin’ in the wind(その答えは風に吹かれて。わからないままさ)」と言われそうですね。

 2016年10月下旬時点では、ノーベル賞の主催者側がボブ・ディランに幾度となくコンタクトを試みるも、返答がないという状況。「ノーベル賞なんてロックには関係ないさ」と言わんばかりの態度に、かっこよさ、ボブ・ディランらしさを感じてなりません。

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