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コレクションすべてが富士山の作品…全国のユニークな美術館

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 日本全国には1000を超える美術館が存在しますが、美術館を楽しむというと、大型の企画展にばかり人気が集まりがち。作品を鑑賞するために、長時間の行列ができてしまうときも。しかし、美術館の魅力は企画展のみにあるのではなく、常設展、そして美術館自体がひとつの作品であり、それだけでも見る価値のある美術館は数多くあるといいます。

 アート鑑賞ナビゲーターの藤田令伊さんによる本書『企画展がなくても楽しめる すごい美術館』では、”企画展がなくても楽しめる”美術館、言い換えればいつ訪れても楽しむことのできる美術館に注目。藤田さんが選んだ60館が紹介されていきます。

 たとえば富士山の麓にある”フジヤマミュージアム”は、コレクションすべてが富士山をモチーフにしたもの。”あらゆる作家が同一のテーマを表現し合ったらどんな成果が生まれるだろうか”という意欲的な試みが見受けられるのだといいます。

「富士山という同じ題材を作家たちはそれぞれどのように料理するのか、人によって富士山はどんなふうに捉えられるのか、画一のテーマが課されることによって、かえって作家の違いが際立ち、多様な個性が露わになります」(本書より)

 それぞれの作家たちは、どのように富士山を見ているのかを伺い知ることができるだけでなく、多くの富士山の作品のなかで自分自身はどの作品が気になるのかを知ることで、自らの志向に気が付くことも。

 ちなみに藤田さんがもっともしびれた作品だというのは、加山又造の『富岳』。白く雪が積もった富士山に、まるで血管のようにうねり絡みつく襞が描かれているその様に、寒気を覚えるような衝撃を受けたそう。「表面的な富士山の美しさを越えて、命ある富士山の実相に迫ろう」(本書より)としたのではないかと分析します。

 また、美術館の外には実物の富士山が望めるとのこと。自分自身ならその富士山をどのように描くだろうかと思いを巡らせてみるのもいいかもしれません。

 本書では、この他にも展示品すべて、陶板で原寸大につくられた複製品からなる美術館、精錬所をリノベーションした美術館など、日本各地のユニークな美術館も紹介。人気の企画展にだけ足を運ぶという美術館との付き合い方をしてきた方、本書で気になった美術館を訪れてみれば、いつもとは異なるその魅力を発見できるかもしれません。

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