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Waive、また巡り会う奇跡を信じて…解散10周年特別公演が閉幕

Waiveが解散10周年を掲げ、発表から約1年をかけて行なってきた特別公演が、10月22日の赤坂BLITZをもって終演を迎えた。
10月22日@赤坂BLITZ (okmusic UP's)
えも言われぬ緊張感の漂う中、オープニングS.E.が鳴り響き、メンバーが1人ずつステージに現れると同時に、観客がグッとすし詰め状態になる。4月の東京公演では見られなかった光景だけに、このツアーでWaiveがいかにライブバンドとしてファンとの距離を埋めてきたのかが伺える瞬間だった。この日の1曲目として演奏されたのは、2005年の解散ライブと同じく「HEART.」だった。そして「Baby, I LOVE YOU.」や「FAKE」など、序盤からWaive得意のビートの効いたアップテンポロックが続いた。

続いて奏でられた「そっと…」や、田澤(Vo)が「当時はバラードだと思っていたけれど今は違うように思う」と語った「銀河鉄道」では、優しくもアツく、それでいて切ないサウンドが場内を包み、このバンドの本領が発揮されていくようだった。解散以前はほとんど披露されなかったという、プログレッシブでありつつポップな「みずいろ」、そのタイトルが発表されたときには想像だにできなかったポジティブな光景を生む新曲「END ROLL」、Waiveのパブリックイメージを根底から覆すかのようにコミカルな「ペーパードレスレディ」など、ジャンルに縛られることのない奔放さと、それを「無し」と言わせない自信をバンド自体がしっかりと見せてくれる。

中盤のハイライトは、Waiveが最初に生んだ曲である「spanner」。田澤の骨太かつテクニカルなボーカルに、杉本の叫ぶようなギターが呼応する光景は、曲が鳴り止んでもしばらく超満員の赤坂BLITZが無音で静まり返るほどに圧倒的であった。

後半戦はWaiveの持つもう1つの顔とも言えるパンキッシュなナンバーが続いた。「Lost in MUSIC.」ではお決まりのメンバー紹介が行なわれたが、ここで「ギター、杉本善徳」と紹介された杉本が、おもむろに取り出した黄色いハンカチを赤いハンカチに変えるマジックを見せたり、Waiveの楽曲の中でも上位にハチャメチャな「ドミソファイター」では田澤と杉本の不協和音だらけのツインギターが鳴り響き渡り、「こんなバンドが、この10年で他にあったか?」と、唯一無二の揺るがない独自性が場内を支配していく。

解散時の焦燥が赤裸々に綴られた「Sad.」では田澤のボーカルと杉本のコーラスワークがヒリヒリとするほど刹那的に流れ、Waiveのライブと言えばこの曲と言っても過言ではないであろう「ガーリッシュマインド」では、この広い空間の酸素がなくなってしまうのではないかというほどにステージとフロアが呼応しあった。一転して明るい世界に飛び出したかのような「バニラ」では、この特別公演のクライマックスは暗いものではないと暗示してくれるかのようにキラキラと銀テープが舞い、この曲と歌詞で何人の心が勇気づけられ救われただろうと思える屈指の名曲「いつか」での輝かしい光景の中、ライブは本編を終えた。

鳴り止まないアンコールの中、再びステージに姿を現したWaiveの4人は、ゆっくりと各々の想いを真面目に、ときに照れ笑いを含めながら語った。『今が一番楽しい』というベースの高井、『奇跡を胸に生きてきた』というギターの貮方。そして、『たくさんの人の笑顔を奪った』と解散時のことを話し、深々と頭を下げる田澤。『過ごした日々が濃すぎても薄すぎても、この今はない』と、罪も悲しみも含めて受け入れる杉本。各々の思うことも立ち位置も違えど、その結果が今日この日なんだということは紛れもない事実であろう。重ねて杉本が『終わって、始めて、また終わって、また始めてと、Waiveは変なバンドだけど、これしかできない。普通に活動を続けても、また悲劇的な結果を迎えてしまう。文章を書くにもマルを打たないと次の文章にはいけないし、次の文章が始まらない限りは、その前の文章が最後の文ということになる。それと同じ。だから次の文を書こうと思える、書ける状態にあるということが大事』と、今回のWaiveの活動をしめることと、またこの形で会える日が来るようにするため、信じ、求め、支えあってほしいとまとめた。

そして『今から演奏する曲は、この数年の自分の集大成。音楽としては、もっといろいろなことを身につけたけれど、それでもやっぱりこの曲がそう。この曲に、ここ数年間の自分の思いの丈が集約されている』と、いつもは流暢に話す杉本が言葉を詰まらせながら慎重に話した後に「Days.」が披露され、この日一番ラフで、しかし”これが今のWaive”という姿がはっきりと見えてくるような演奏の末、奇跡の公演は幕を閉じた。

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