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米アマゾンの音楽配信「Amazon Music Unlimited」が始めた独占配信は、カントリーの巨匠ガース・ブルックスの配信解禁という意外な選択

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米アマゾンが先日立ち上げた、定額制の音楽ストリーミングサービス「Amazon Music Unlimited」。早くも、ユーザー獲得を狙い、新サービスは音楽コンテンツの独占配信を開始しました。

Amazon Music Unlimitedがどこよりも先に配信を始めたのは、アメリカの音楽史上最も売れたソロアーティストである、カントリーミュージックの大御所ガース・ブルックスの最新作です。80年代から活動を続け、ライブや売上枚数など数々の記録を打ち立ててきたガース・ブルックスの音楽を配信することは、アマゾンにとってどんな狙いがあるのでしょうか?

日本にいると、ガース・ブルックスがどれだけ人気か、想像がつかないはずです。全米レコード協会(RIAA)の記録では、彼がこれまでに売り上げた音楽は、実に1億3800万枚。これはエルビス・プレスリー(1億3600万)やマイケル・ジャクソン(7900万)を凌ぐ規模で、いかにアメリカで支持されているかが分かるかと思います。アメリカで彼よりもアルバムを売ったアーティストは、ビートルズしかいない状態です。

にも関わらず、ガース・ブルックスは長年デジタル配信を否定し続けてきました。彼は自身の楽曲の権利をほとんど管理できるため、iTunesストアでも長年配信されることなく、そして今まで音楽ストリーミングサービスでの配信を拒否してきた大物アーティストの一人でした。

関連記事:アマゾンが定額制音楽ストリーミング「Amazon Music Unlimited」を発表。「Echo」スピーカー連携で音楽配信はリビング進出を迎えるか? | All Digital Music

Amazon Music Unlimitedが配信するのは、11月にリリース予定の新アルバム『Gunslinger』から先行シングル『Baby, Let’s Lay Down and Dance』、そしてベスト・アルバム『The Ultimate Hits」と『Double Live』です。

アマゾンの緻密に計算された音楽配信戦略は、所有するあらゆるデジタルプラットフォームを跨いで展開されるようです。まず今後は、最新アルバム『Gunslinger』や、妻のトリーシャ・イヤーウッド(Trisha Yearwood)と共同制作のクリスマス・アルバム『Christmas Together』をAmazon Music Unlimitedで配信が決定しています。

同時に、アマゾンはガース・ブルックスの音楽ダウンロード販売も、アマゾンのMP3ストア「Amazon Music」で配信開始されました。

さらにアマゾンは2017年に予定されるガース・ブルックスの世界ツアーをAmazon Music Unlimitedが公式スポンサーとしてサポートすることも発表しています。

アマゾンの音楽事業を担当するAmazon Music副社長スティーブ・ブーム(Steve Boom)は、「ガース・ブルックスは伝説的なカントリーミュージックのスーパースター。30年以上に及ぶキャリアで、常に業界の記録を破り続けファンを感動させてきました。Amazon Musicは独占で彼の音楽を音楽史上初めて音楽ストリーミングで配信できることを嬉しく思います」とコメントしています。

アマゾンは音楽ストリーミングへの参入は後発ですが、Amazon Music Unlimitedが打ち出すユニークな価格設定(4ドル、8ドル、10ドル)は、SpotifyやApple Music、Google Play Music、TIDALなど他社と全く異なることで、今後の展開が注目されています。

特にアマゾンが販売する自社開発のスマートスピーカー「Echo」との連携に期待が高まっています。人工知能で制御される音声認識アシスタント「Amazon Alexa」を搭載したEchoは、Amazon Music Unlimitedと連動して、特定の楽曲再生だけでなく、ユーザーの好きな時間帯やムードに合ったプレイリストを音声で再生可能になり、他社よりもいち早くリビングへの進出を果たしました。

アップルやTIDALが独占配信したドレイクやフランク・オーシャン、ビヨンセやカニエ・ウェストと違い、ガース・ブルックスが主要な音楽メディアの見出しを飾る機会はそう多くありません。知名度という面で、音楽マーケティングサービスのマーケティング効果を高めるには、アップルやTIDALの戦略が最適なはずです。

ですが、ガース・ブルックスが築いてきた根強いファンベース、そしてビジネス面での実績と可能性は絶大です。アマゾンの戦略であれば、アーティストはダウンロードやCD、アナログ、DVD販売など、音楽ストリーミング以外からの収益源を同時に増やせ、音楽ビジネスを拡大する機会を得ます。包括的なマネタイズへの導線を提供するアマゾン独自の戦略で、優位性の大きさをアーティストやレコード会社、マネージャーなど音楽業界に印象付けることが、アマゾンの狙いではないでしょうか?

この独占配信がアマゾンが狙う戦略で、今後もさらなるアーティストの配信を実現するかは、明らかにされていません。

■記事元http://jaykogami.com/2016/10/13620.html

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Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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