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Jリーグは21.5億円でも…欧州リーグ賞金事情&分配

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今年、Jリーグはイギリスのperform groupと放映権契約を締結。来季より「DAZN(ダゾーン)」というオンデマンドサービスでJ1からJ3までの全試合が放映されることが決まった。その放映権料はなんと10年契約で2100億円。2007年シーズンから今季までの10年間放映権を取得してきたスカパー! の放映権料は年間50億円(12~16シーズンまでの5年間)だっただけに、Jリーグの収入は大きく増えることとなる。

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これにより、各チームへの分配金も増額となり、優勝チームには現在の4倍(!)となる21.5億円が支給されるようになる…と大きく報道された。優勝を目指し、これまで以上に熱い戦いが繰り広げられることだろう。

放映権と密接に関係するリーグの収入。果たして海外のプロサッカーリーグはどうなっているのだろうか。海外サッカー専門誌「footballista」編集長の浅野賀一氏に「欧州4大リーグ」と呼ばれるイングランド・プレミアリーグ、ドイツ・ブンデスリーガ、スペイン・リーガエスパニョーラ、イタリア・セリエAの現状の収入の仕組みについて聞いてみた。

「欧州のリーグに『優勝賞金』という概念はあまりありません。各リーグが得た放映権料などの収入の、順位による傾斜配分が賞金の多くを占めます。欧州リーグを支えているのは巨額な放映権料であり、リーグの収入の多くを占めています。それをいかに配分するかにリーグとしての考えの違いが出ます」と浅野氏は説明する。

まず、各国リーグの収入と放映権料について見てみよう。
※すべて1ユーロ=115円で算出

リーグ収入(14-15シーズン)
リーグ名        リーグ収入      放映権料
・プレミアリーグ    約5060億円     約2688億円
・ブンデスリーガ    約2751億円     約841億円
・リーガエスパニョーラ 約2361億円     約1121億円
・セリエA       約2061億円     約1264億円

ちなみに「プレミアリーグは16-17シーズンから国内の放映権を3年約1兆1300億円で契約した」(浅野氏)とのこと。年計算で約3766億円と他の追随を許さない。それだけのブランド力がプレミアリーグにはあるということ。まさに「世界最高峰リーグ」と呼ぶにふさわしい夢のある額といえよう。

気になるのは、放映権で入ってきた収入をいかに配分しているかということだ。

プレミアリーグ/優勝チーム(レスター)の獲得額約130億円(15-16シーズン)

○国外の放映権料
・20クラブで均等配分
○国内の放映権料
 ・均等配分 50%
 ・順位によって傾斜配分 25%
 ・中継試合数によって傾斜配分 25%

「プレミアリーグは4大リーグの中で最も共存共栄の意識が強いリーグ。放映権料を上位だけでなく、下位チームにもしっかり配分することによって、全体の競争力を上げてリーグの価値を高めることができているんです」(浅野氏)

ちなみに昨シーズンは岡崎慎司選手が在籍するレスターが優勝したものの、配分額が最も多かったのは2位のアーセナルだったとのこと。その額は約141億円にのぼったという。一方、最下位のアストンビラが手にした分配金約93億円は、ブンデスリーガで優勝したバイエルン・ミュンヘンが得た分配金よりも多いというから驚きだ。プレミアリーグ、恐るべしである。

では、そのブンデスリーガはどうなっているのか。

ブンデスリーガ/優勝チーム(バイエルン)の獲得額約47億円(15-16シーズン)

○放映権料
1部リーグ 80% 
・過去5シーズンの結果による傾斜配分
2部リーグ 20%

「プレミアリーグ同様、共存共栄の意識が強いリーグ」と浅野氏。1位と最下位の分配金の差は約2倍にとどめている(ちなみにプレミアリーグは1.5倍)。「放映権についてはプレミアリーグの1人勝ち状態ですが、これから価値が上がると思われているのはブンデスリーガ。今は4大リーグの中で一番低いものの、観客も多いですし、リーグ全体が盛り上がっているので、来季からの新契約では大きく額が上がる予定です」

14-15シーズンの入場料収入は
・プレミアリーグ 約883億円
・ブンデスリーガ 約599億円
・リーガエスパニョーラ 500億円
・セリエA 242億円

やはり、観客が多いということは魅力的な空間であるということ。それが「ブンデスリーガの伸びしろ」と浅野氏は説明する。

「放映権について転換期が訪れた」と浅野氏が話すのが、リーガエスパニョーラだ。15-16シーズンまではクラブが個別に放映権の契約をしていたものの、16-17シーズンからリーグ一括での契約方式に変更。それにより、放映権の分配方式が変わることとなったという。16-17シーズンから設定された分配方式は以下の通り。

リーガエスパニョーラ/優勝チーム(バルセロナ)の獲得額約175億円(15-16シーズンの成績で試算)

1部リーグ 90%
・均等配分 50%
・過去5年の成績による傾斜配分 25%
・放映試合数+試合収入による傾斜配分 25%
2部リーグ 10%

これまでリーグ内の格差が大きく、「弱肉強食の意識が強かった」(浅野氏)リーグ。13-14シーズンでの優勝チームと最下位の収入差は7.78倍もあった。そうした差を減らしていくために始まった改革の成果は出ているのか。浅野氏はこう分析する。

「バルセロナとレアル・マドリーの2強が手にする金額はあまり変わりませんが、下位クラブの配分が増えました。優勝チームと最下位の差は約5倍まで縮まりました」

そして、最も「複雑な仕組み」と浅野氏が語るセリエAの分配方式はこちら。

セリエA/優勝チーム(ユベントス)の獲得額約141億円(15-16シーズン)

・均等配分 40%
・サポーター数とチケット売り上げによる傾斜配分 25%
・過去5シーズンの成績による傾斜配分 15%
・1946年以降の成績による傾斜配分 10%
・前のシーズンの成績による傾斜配分 5%
・ホームタウンの規模による傾斜配分 5%

イタリアらしいと言うべきか、数字から様々な思惑が見え隠れする。「共存共栄」よりも「弱肉強食」の意識が強く感じられる設定となっている。昨季、優勝チームと最下位の格差は5.25倍であった。

さて、そうした4大リーグの動向を踏まえて、Jリーグはどうすべきか。浅野氏はこう語る。

「まず、10年で2100億円という放映権料は欧州サッカーの物差しで考えると決して巨額ではありません。欧州サッカーは『共存共栄』が成功のキーワードになりつつあると言いましたが、質の高いチーム同士がぶつかることで魅力的なカードを増やすことが重要です。反面、プレミアリーグはエリートクラブが独立した弱肉強食の思想の上に成立しているリーグでもあります。『プレミア化』などJリーグの中でビッグクラブを作ろうという動きもあると聞きますが、(1)プレミアリーグのように上位クラブのみを独立させてその上で共存共栄を目指すのか、(2)セリエAや昔のリーガエスパニョーラのように上位に多く配分して人工的にビッグクラブを作るのか、(3)ブンデスリーガのように現状のフォーマットで共存共栄を図るのか、選択肢はこの3つのどれかなのでしょうね」

放映権料が上がる来季のJリーグが、大きな転換期を迎えることとなるのは間違いない。これからのかじ取りに注目していきたい。

(佐藤拓也)

※データ提供:Footballista編集部

(R25編集部)

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※コラムの内容は、R25から一部抜粋したものです
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