平成28年度第2次補正予算成立。住宅の補助金はどうなった?

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平成28年度2次補正予算成立。住宅の補助金はどうなった?

新たな経済対策を実行するための経費を盛り込んだ、平成28年度の第2次補正予算が、参議院本会議で可決・成立した。そのなかで住宅に影響する「住宅ストック循環支援事業」(626億円)を中心に、どんな補助金が受けられるようになるか見ていこう。【今週の住活トピック】

「平成28年度第2次補正予算」参院本会議で可決・成立/参議院

瑕疵(かし)保険に加入する中古住宅を40歳未満の人が購入する場合に5万円を補助

第2次補正予算案は8月に閣議決定されており、そのなかで「既存住宅流通・リフォーム市場等の活性化」として、若者の中古住宅の購入を支援する制度や、省エネルギー性能を高めるリフォームや建て替えを支援する制度が新設されることになっていた。

制度の詳細は閣議決定の段階ではまだ決まっていなかったが、予算成立に先立って「住宅ストック循環支援事業」という名称で、制度の詳細が公表された。

まず、(1)良質な既存(中古)住宅の購入に対する補助について、説明しよう。

対象となる住宅の条件は以下のとおり。

・平成28年10月11日(補正予算成立日)時点で40歳未満の人が、中古住宅をマイホームとして購入する(引き渡しが10月11日以降)こと

・対象の住宅に、建築士によるインスペクション(住宅診断)を実施し、「既存住宅売買瑕疵(かし)保険」を付帯すること

「既存住宅売買瑕疵保険」については、筆者の記事「瑕疵保険って何? 中古住宅を安心して売買するための仕組みとは」で詳しく説明しているので参照してほしい。この保険に加入するには、保険に加入できる品質を満たしていることを、インスペクションを行って確認する必要があるので、「40歳未満」と「保険の付帯」がカギとなる。

なお、インスペクションについては、国土交通省が定めた「既存住宅インスペクション・ガイドライン」に沿って実施されるものとなっている。ガイドラインについては、「インスペクションのガイドラインを国交省が策定。そのポイントは?」を参照してほしい。

補助金は、インスペクション関連費用として5万円が補助される。ただし、次に説明するエコリフォームを合わせて実施した場合は、補助限度額は50万円(耐震改修も行った場合は65万円)となる。

最近増えてきている「リノベーション済みマンション」を買う場合、対象になるのだろうか? 上記の条件を満たす既存住宅売買瑕疵保険が付帯されたリノベーション済み住宅を、40歳未満の人が買う場合には、買う人に5万円の補助金が出ることになる。

また、(1)の良質な中古住宅が、次の(2)で説明するエコリフォームを実施(10月11日以降に工事に着手)したものであれば、工事内容に応じた補助金が限度額50万円(耐震改修も行った場合は65万円)の範囲で受け取れることになる。

エコリフォームやエコ住宅への建て替えに補助金30万円+10万円~20万円

次に、(2)エコリフォームと(3)エコ住宅への建て替えについて、説明しよう。いずれも、耐震性を確保することが前提となっている。

対象となる住宅の条件は以下のとおり。

(2)エコリフォーム

・マイホームに定められたエコリフォームを実施する(工事着手が10月11日以降)こと

・リフォーム後の住宅が「新耐震基準」などに適合していること

つまり、もともと「新耐震基準」で建てられたマイホームにエコリフォームをするか、耐震性が低くてもエコリフォームと合わせて耐震改修を行って耐震性を引き上げるか、いずれかで耐震性を確保している必要がある。

なお、新耐震基準とは、昭和56年6月に施行された、耐震設計法が抜本的に見直された建築基準法の改正による耐震基準のこと。阪神大震災等でも一定の耐震性があると見なされ、このレベルの耐震性を求めているわけだ。

補助金は、実施する工事ごとに補助額が定められ、実施した分だけ足し合わせることになるが、補助限度額は30万円(耐震改修も行った場合は45万円)となる。

(3)エコ住宅への建て替え

・耐震性が低い住宅を取り壊して、マイホームとして定められたエコ住宅を建築する(工事着手が10月11日以降)こと

当然ながら「新耐震基準」で建築されるので、耐震性が確保されることになる。

補助金は30万円。ただし、一定以上の性能の高い住宅については、10万円または20万円の加算がある。

旧耐震基準時代に建てられた住宅を取り壊し、そこにエコ住宅のマイホームを建築すれば、最大50万円の補助金が受け取れるわけだが、分譲会社が上記の条件でエコ住宅を建てて分譲した場合も、買った人が補助金を受け取ることができる。

どんな工事が「エコリフォーム」「エコ住宅」に該当する?

では、「エコリフォーム」「エコ住宅」とは、どんなレベルが求められるのか?

(2)エコリフォーム

・開口部(窓やドア)の断熱改修

・外壁、屋根・天井、床の断熱改修

・3種類以上のエコ住宅設備(太陽熱利用システム、節水型トイレ、高断熱浴槽、高効率給湯機、節湯水栓)の設置工事

のいずれかで合計額5万円以上の工事を行うこと

同時に、次の改修工事をする場合なども対象となる。

・バリアフリー改修工事

・1~2種類のエコ住宅設備の設置

・木造住宅の劣化対策工事(リフォーム瑕疵保険の加入が条件)

・耐震改修工事(新耐震基準に適合されるための工事)

・リフォーム瑕疵保険への加入

(3)エコ住宅

例えば、「住宅の性能表示制度」の基準でいえば、非木造住宅では「一次エネルギー消費量等級5」、木造住宅では「断熱等性能等級4」か「一次エネルギー消費量等級4」といったかなり高い水準が求められている。エコ住宅の条件については、専門家に相談したほうがよいだろう。

このほか、第2次補正予算では、経済産業省の「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)普及加速事業」(100億円)も成立した。ただし支援対象は、「ZEHビルダー」に認定された事業者が設計・建築・改築するものに限られる。

見てきたように、補助金が出るのは政府が力を入れている対策に対してだ。中古住宅についてはインスペクションや瑕疵保険で品質を確認することを、古い住宅については耐震性や省エネ性の高い住宅に建て替えやリフォームを行って性能を上げることを、積極的に支援しようという姿勢が強く見て取れる。

性能を高くするには費用もかかる。補助金はその一助にしかならないが、購入やリフォームを予定しているなら、条件をしっかり調べて、もらえる補助金を見逃さないようにしよう。

詳しい条件は、下記の国土交通省の「住宅ストック循環支援事業の実施について」から制度概要を参照してほしい。●参考

・「省エネ住宅」って何?どんな特典が受けられる?(SUUMOジャーナル)

・住宅ストック循環支援事業について(国土交通省)
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