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仕事中毒で家庭を顧みない夫が見せた、「父の勘と愛」。いつか娘に話してあげたい

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仕事中毒で、マイホームパパなんて、どこ吹く風といった主人。

休日も仕事、仕事、仕事っ。連休でも、お盆でも、家族で出かけた思い出、ひとつもナシ。

単身赴任でもないのに、娘が小さいころは「パパ次いつ来るの?」って聞いたくらいの、朝は誰よりも早く起きて仕事に出かけ、帰ってくるのは私も子供たちも寝静まった後。

育児」「育メン」なんて、この人の辞書にはないんだわ!

でも、たった一度だけ、本当に一度だけ、パパが本当の愛を見せた。

とりわけ寒い夜だった。

ハイハイができるようになって、かわいさもひとしおの娘。お座りして1人遊びも、ベビーカーでのお出かけも楽しく、元気だったのに、突然、入院した。

その日、夕方のお迎えで保育園の先生に、なんとなく元気がないと言われた。そのときは気にもしなかった。

離乳食の夕ごはん。この日の娘は、口をつぐんだままで、ミルクも飲まない。

「何かいつもと違う」

でも家には私と娘だけ。熱もなければ、泣くこともない。

「一晩寝たら元気になるだろう」

と、無理やり納得させて私は寝た。

帰ってきた主人。もちろん午前様。半分寝ていた娘のことを、それとなく伝える。もちろん、さして期待もせず。

「すぐ病院行こう」

主人が大きな声を上げた。眠気が吹っ飛んだ。

タクシーを呼んで、出産した病院に行った。小児科は救急ではなかったが、主人が必死に訴えている。目が細い主人。その目に、いっぱい涙をためて、いまにもこぼれ落ちそう。そんな表情、交際中から見たこともない顔だった。

「脱水症状」「敗血症」「髄膜炎」…。聞いたことがない単語ばかり。

もちろん即入院だった。私は、横でうろたえるだけ。おろおろするだけの私。

病室に運ばれ、細い赤ちゃんの腕に、点滴が2本も。

「サヨ(娘の名前)のことは、ボクに任せて。帰っていいよ」と主人がポツリ。

先ほどの必死な形相とは別人かと思うほど、優しい顔で、私に言った。

付き添いが必要な入院。私は朝からシフトで入っている仕事がある。

主人は「ボクが泊まる」と言ったきり。何を言っても、「帰れ」の一言。何があっても仕事を休まない主人が、折りたたみベッドで横になる。

娘も主人も病院。とぼとぼと家に帰った私は、娘が死んじゃうんじゃないかと、寝付けぬまま朝に。

窓から差し込むまぶしい太陽に、「仕事に行かなくては」と、はっと我に返った。

同時に、着信メールが点滅しているのに気がつく。いやな予感が頭をよぎる。

–「金欠症」じゃなっくて「菌血症」。1週間で退院できるよ–

バカだね。笑うにも笑えない。無表情ないつものパパと違う。気がつくと涙で画面がにじんでいた。 関連記事:パパの涙を初めてみたのは、あなたが産まれた日。将来、娘にも教えてあげたい!

そうそう、看護師さんに頼み込んで病室を抜け出して、職場からノートパソコン持ち込んだんだって。病室でも仕事、仕事、仕事っっ。

そうだった、主人は仕事中毒だった。忘れていたわ。

娘が退院するまで、4日も5日も病室に泊り込んだ主人。

メールは、「入院って楽しいね」「看護師さんかわいい」。

そして「お宝写真」とタイトルでメール。何かと思えば、点滴している娘の写真。私の怒りは馬耳東風。「入院の写真なんて貴重だし」。

でも、もう半日、病院に来るのが遅かったら、やばい状況だったんだって。

後から、私の母に言われた。頼もしく思えた主人。心のそこから「ありがとう」。結婚して、子どもを生んで、はじめて主人のことを頼もしく思えた。

そのうち父親を疎ましく思うときも、やってくるだろう。

でも、この、たった一度の愛。お嫁に行くまで、とっておこう。そっと話してあげたいな。 関連記事:わたしはいつも、いつでも、あなたに守られてきた ~父の日に思うこと~ by はなこ

著者:きっちいママ

年齢:43歳

子どもの年齢:5歳・4歳・2歳

福祉の職場で、人のお役に立てるよう勤めています。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

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