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「妊娠はまだ?」毎週のように聞いてくるおばあちゃんが疎ましかった、でも…。亡くなってから分かった、おばあちゃんの想い

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おばあちゃんが買った妊娠の本

両親が離婚して父に引き取られた私にとって祖母は育ての親であり、母の代わりでした。

そんな祖母は私が結婚してすぐの頃から、ひ孫の誕生を心待ちにしていました。

まだ予定はないよと言っても毎月…いや、毎週のように

「妊娠は?」

と聞いてくるほどでした。

その頃私たちはなかなか妊娠しない事を不安に思い不妊専門のクリニックへ通院していたので、心待ちにしている祖母の「まだ?」の言葉はただのプレッシャーでしかなく、祖母に会うのも電話で話すのも嫌になる程で、実際祖母を避けるように過ごしていました。

そんな中、久しぶりに祖母に会うと「これ買っちゃった」と一冊の本を見せてきました。

『妊娠・出産大百科』

「妊娠の事なんてもうずっと前の話で覚えてないから、これ読んで勉強しようと思ってね」

…嫌味かと思いました。

これ以上プレッシャーかける気なの…?

祖母は私が不妊治療に通っている事を知らなかったので仕方ないのですが、”妊娠を望んでも望んでもできない状況の中、もう一生妊娠できないかもしれない…”

と不安で仕方なかった中で、妊娠した後の胎児の成長の様子や産後のお世話の仕方などが書かれた本を見せられると気持ちが沈み、心が真っ暗になりました。

その場は笑って誤魔化しましたが、また祖母を避けるようになりました。

それから半年経った頃、ようやく妊娠する事ができました。

胎嚢が見え、心拍が確認できた所で祖母に報告。

祖母は「えぇ!?」と驚きの声をあげ

「本当に?」

「あんたが妊娠したのかい?」

「本当?」

と何度も聞いてきました。

祖母が思っていた以上に私の妊娠が遅かったので心配していたようです。

そして会った時に

「これ、もう何度も何度も読んで全部覚えたから、あんたにあげるね」と

『妊娠・出産大百科』を取り出しました。

不妊治療中に見たときは心がぎゅっと押し潰されてプレッシャーにしか感じなかった重くて分厚いこの本が、すごく軽い物のように見えました。

何度も何度も読んだって…

おばぁちゃんは本当にせっかちでお節介なんだから…

妊娠の報告を受けてから買えば良いものを…

なんて思いながらその本を受け取りました。

その後私は無事に男の子を出産。

祖母も産院に駆け付けてひ孫の誕生を喜んでくれました。

ひ孫を抱く祖母の顔はこれまでに見た事がないほどほころんでいて、聞いたことのないような猫撫で声で話しかけていました。

「あんたが病気したり用事があったりしたらおばあちゃんがひ孫ちゃんの面倒見るからね!本で勉強してるから大丈夫!」

なんて笑って言っていました。

しかし、それから10ヶ月。あんなに元気だった祖母は重い病気を患い天国へと逝ってしまいました。

ひ孫が生まれて数ヶ月で入院生活となってしまったため、ひ孫の面倒をみることは叶いませんでした。

それからまたしばらく経って、2人目の妊娠が分かった頃、祖母に貰った『妊娠・出産大百科』を思い出して本棚から引っ張り出してきました。

表紙を見た瞬間、不妊治療中にこの本を初めて見たときの気持ちが蘇ってきました。

「なんであんなに早くにこんな本買ったんだか…」

そう言い終わるかどうかという所で息子の顔が目に入りました。

そっか…赤ちゃんがこんなに可愛いって、愛おしいって、自分の子供や孫を見てきたから分かっていて、だから楽しみだったんだ

孫の中で一番可愛がっていた私の妊娠・出産は本当に楽しみで、

はやる気持ちを抑えられなかったんだ…

子供を産んで育てている今なら心から祖母の気持ちが分かる

まだまだ私が学生だった頃に「自分の子供を育てて子育てが終わったと思ったら孫を育てる事になって…ひ孫の面倒は見ないからね!」なんて笑いながら言っていた祖母。

本当はひ孫の面倒を見たくて仕方なかったんだよね。私の妊娠だから楽しみだったんだよね。

そんな風に思ってくれてありがとう。

ひ孫の誕生を心待ちにしてくれてありがとう。

不妊治療中は祖母の気持ちが分からずにただ迷惑で避けてしまいましたが、ひ孫の誕生を待ち侘びている人がいるという事だけでとてもありがたい事なんだなと今では思えます。

祖母からもらった『妊娠・出産大百科』は今でも直ぐに手に取れる場所にしまっています。

祖母が子育てを見守ってくれているような気がするんです。

著者:ぽんぽん

3歳と1歳の男の子の母。北の大地でのびのびと子育てを楽しんでいます。ぽんぽん子育てというタイトルで育児絵日記ブログを書いています。

※プロフィール情報は記事掲載時点の情報です。

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