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実はシンプルでもOK VRでより「一緒にいる感じ」のするアバターとはどういうものか

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現地時間の10月4日から3日間、アメリカのカリフォルニアにて3回目となるOculusの開発者会議「Oculus Connect 3」が開かれました。そこではOculusの現在の取り組みや未来の展望、そしてVRに関する数々の知見が共有されました。(発表のまとめ記事)

イベント2日目に行われた基調講演の中では、OculusがVRをソーシャル分野でどのように活用していくかに関する発表もありました。Facebookのマーク・ザッカーバーグが登壇し、VRのソーシャルにおける活用、そしてその未来について語りました。

さらに別のセッションでは、ソーシャルプレゼンス(※)を高めるためにOculusが考えてきたことが語られました。

※プレゼンスは実在感とも訳される。「自分が本当にそこにいるかのような感覚」のこと。ソーシャルプレゼンスは、VR空間の中で「本当に他者と一緒にいるような感覚」のこと。

本記事ではソーシャルプレゼンスに関する「Creating Social Presence」と題されたセッションの内容をを紹介します。登壇したのはOculusのプロダクトマネージャであるマイク・ホワード氏と、Oculusのソフトウェアエンジニアであるウィル・ステプトー氏。

アバタ―をカスタマイズして作れるOculus Avatars

本セッションのテーマは「Ouclus Avatars」について。「Oculus Avatars」は、基調講演でOculusが発表したものです。

ハンドコントローラーOculus Touchの発売(2016年12月6日)に合わせて、「Parties」と「Rooms」というサービスを開始すると発表。これはVR空間内で友達と集まって話をしたり、ゲームをして遊んだりできるというものです。

最大8人まで同時に集まれるVRのソーシャルサービス。

そこで使われるアバター作成システムがOculus Avatarsです。イベント中はこのアバターを作成するデモも展示されていました。

www.youtube.com/watch?v=qOfpu4RUjuo

Oculus Avatars

VRにおけるソーシャルプレゼンス

講演はまず、VRという新しいジャンルにおいて、ソーシャルプレゼンスはどのようなものか、という話題から始まりました。

従来のテレビモニターで遊ぶゲームでは、コントローラーがプレイヤーの「行動」を入力する装置、そしてテレビモニターが出力装置としてプレイヤーの「認識」を担っています。その一方でVRでは、プレイヤー自身が入力・出力の両方をを絶え間なく行う装置となるのが特徴的です。あたかも現実と同じように身体を使って「行動」し、自分の目(感覚器官)で世界を「認識」しています。

このような体験の仕組みから、「プレイヤーを表すアバター」の持つ役割は、相手や自分の位置を把握する、お互いを識別する、どこに注意を向けているかを示す、ジェスチャーを表現する、感情を表す、などが挙げられます。

「プレゼンス、というのは自分がそこにいる感覚、を指す言葉ですが、ソーシャルプレゼンスは、自分がそこに『他人と一緒に』いる感じのことだ」とステプトー氏。

そこで大切になってくるのは、「自分(相手)のアバターを本当に自分(相手)だと感じることができるか」という点です。アバターの本物らしさに関わる要素として「本物らしい見た目」と「本物らしい振る舞い」が挙げられます。

Oculusが開発したTouchのデモ『ToyBox』では、アバターは青く透き通る無口・無表情の上半身、という素っ気ないものですが、それでもソーシャルプレゼンスを感じることができます。トラッキングされた手や体の人間らしい動きがきちんと反映され、相手が機械ではないと分かるからです。人の振る舞いをきちんとトラッキングすることが大切だと言えます。

www.youtube.com/watch?v=iFEMiyGMa58

(『ToyBox』プレイ動画)

ソーシャルプレゼンスを生み出す為に

ここでスピーカーはホワード氏に代わり、話題はソーシャルプレゼンスをどのようにして高めるか、という話題に移ります。

3つの原則

ホワード氏はソーシャルプレゼンスを高める原則として以下の3つを紹介しました。

1.任せられるところは人間の脳に任せること
2.トラッキングの精度を高めること
3.アバターは人間の形にすること

1つ目の「人間の脳に任せる」というのは、「無理に全て実装しようとせず、省けるところは思いきって省く」ということです。例えば口の動き一つとっても、人間のそれは非常に複雑です。それを無理にアバターに反映させようとすると不自然さが目立ち、逆にプレゼンスが失われてしまう結果になりかねません。脳が、「人間のようだ」と認識すれば、それで目的は達成されます。

2つ目と3つ目は人間の動きに関するもの。前述の通り「人間らしい振る舞い」はプレゼンスに大きく影響します。VRで我々はどんな姿にもなれますが、人型のアバターほど人間の動きを再現するのにふさわしいものはありません。

Oculus Avatarsで工夫されていること

ここでスピーカーはステプトー氏に戻り、話題はOculus Avatarsの開発において留意したことへ。以下では身体、頭、手、マテリアルの順にそれぞれ内容を説明します。

Oculus Avatars:身体

Oculus Avatarsでの身体の表現におけるポイントは以下の通りです。

1.人間と同じサイズ・スケールにする
2.体の一部の描写を失くした(胸から上だけの)人型にする
3.「投影されている」という感じを出す
4.自分で自分のアバターを見ることができる

主に胸から上しか描かれていないアバターを使用すると、「下手に実装して不自然さを増してしまう」事態を避けられること以外にも、プレイヤーの身長がいくつでもキャリブレーションなしで対応ができる、着座と立位の双方に対応できるなどのメリットがあります。

また自分で自分のアバター(セルフイメージ)を見ることが、プレゼンスに強く影響します。Oculus Avatarsでは、例えば鏡に自分の姿が映るなどの手法が用いられています。

Oculus Avatars:頭

・リグで制御されたアニメーション
・視線の向きを分かりやすくする
・目につけるアクセサリ(HMDなど)を用意する
・「喋っている」という状態を表すために口を光らせる

目にヘッドマウントディスプレイや眼鏡をかけたアバターを用意することで、「現実でOculus Riftなどを装着しているために感じる物理的な皮膚感覚」とイメージが一致し、プレゼンスの向上につながります。

Oculus Avatars:手

・ハンドプレゼンスは大切に
・つまむ動作を実装
・Oculus Touchを活かす
・Gear VR版ではタッチパネルを使う

ToyBoxの例からも分かる通り、ハンドプレゼンス(ジェスチャー)が人間らしくあれば、ソーシャルプレゼンスが強まります。Oculus Touchは親指、人差し指、中指などの握り具合(掴んでいるか離しているか)の判定ができるため、例えばOKサインや親指を立てて「グッドラック!」のようなジェスチャーをとることも可能です。

またGear VR版のOculus Avatarsでは、手の描画はタッチパネルに触れているときだけ、と最小限にとどまっています。

なおハンドプレゼンスについて興味のある方は、Oculus JapanがCEDEC 2016で発表した講演(講演レポートはこちら)を参照のこと。

Oculus Avatars:マテリアル

マテリアルはアバターの表面をなす材質のことです。

・個々のキャラクターを分かりやすくするためのアイテム
・「人の肌」のマテリアルは避ける
・あらゆる色を用意する

アバターを飾ることができるアクセサリー類は、個々のキャラクターの識別に役立つこと、そして頭の向きが分かりやすくなるようなものを用意したとのこと。

また人の肌は表現が難しいので避け、思い切ってシンプルな単色にすることで違和感をなくす工夫をしています。マテリアルに人の肌を採用するとプレイヤーは人間らしさを要求するようになります。ところが現在の技術ではそこまでハイクオリティな肌を再現することができず、不自然さの原因になってしまうのです。

ザッカーバーグが基調講演中に披露したデモは、アバターもより現実に近いコミカルな造形で、一般リリースにはまだまだ時間がかかるとしながらも、未来への期待を高めるものでした。

www.youtube.com/watch?v=2VC6aNh5WZo

Facebook傘下のOculus。VRをソーシャル分野に展開させていくであろう今後も、一体どんな取り組みをしていくのか非常に楽しみです。

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