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介護離職ゼロに向けて 企業向け助成金の創設は問題解決につながるか?

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深刻化する介護離職問題

昨年、いわゆる団塊の世代と呼ばれる世代が65歳以上となり、日本の高齢者人口は3300万人を超えました。
介護が必要な方が今後ますます増えると見込まれます。
高齢者の介護を担っているのは主にその配偶者やその子供ですが、子供世代は働き盛りの世代でもあり、彼らが親の介護問題で就労が困難になれば、企業、ひいては社会にとっても大きな影響が出てきます。

平成26年の明治安田生活福祉研究所と公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団の共同調査では、親の介護開始時に正社員だったの過半数以上が、介護開始から1年以内に離職していることが判明しています。
また、厚生労働省「国民生活基礎調査」でも、介護者の57.6%が仕事をしていないことが分かっており、要介護者のいない世帯よりも無職の割合が高くなっています(平成22年)。
介護しながら働き続けることが難しい現状がうかがえます。
介護離職問題への対応は、すでに待ったなしのところまで来ているのです。

介護に関する助成金などについて

政府も「介護離職ゼロ」に向けた施策に取り組んでいます。
仕事と介護を両立できる職場環境づくりを行った企業などに対し、新たな助成金制度「介護離職防止支援助成金(仮称)」の創設を予定しており、来年3月までの実施を目指しています。
詳細は未定ですが、1か月以上の介護休業をした従業員が元の職場に復帰した場合は、その企業に40万円(中小企業は60万円)、従業員が介護のため3か月以上時差出勤するなどした場合は、その企業に20万円(中小企業は30万円)が支給される予定です(1社につき、それぞれ有期雇用者、無期雇用者1回ずつ)。
またこの助成金制度創設に先立ち、今年の8月より、雇用保険の介護休業給付の給付率も、従前の40%から67%へ引き上げられています。

従業員・企業双方に手厚い支援が必要

現状では、従業員が介護をしながら働き続けることは容易ではありません。
また、介護をする従業員をフォローする企業の体力にも限界があります。
介護休業や時短勤務などで従業員が抜けた穴をどう補うのか、要介護の家族がいる従業員が今以上に増加した場合にどう対応するのかなど、社内制度の見直しや人材の確保など、介護問題対策のためには知恵と工夫が必要ですし、なにより費用もかかります。
働く人と企業のどちらかに偏ることなく、双方に手厚い支援が必要です。

助成金や給付などの金銭的な施策は、介護問題に対する一助にはなりますが、それだけでは介護離職ゼロには近づきません。
介護に対する社会インフラの整備は必須ですし、長時間労働の是正など働き方そのものについての改革が迫られるでしょう。
育児と異なり、介護は先が見通せない状態が続きます。
いつ介護が始まるのかさえ前もって正確に分かるわけではありません。

これから高齢者はますます増え続けます。
介護は必ず直面する問題です。
自身の仕事を介護で諦めないために、大切な人材を介護で失わないために。今のうちに、家族との情報共有や従業員と企業のコミュニケーションを密にし、利用できる公的支援・助成金制度等を把握するなど、出来る限りの準備をしておくことが大切です。

(大竹 光明/社会保険労務士)

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