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介護における自立支援「自分でやらせる」は本当に正しいのか?

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認知症看護認定看護師の市村です。今回は介護現場で基本的になっている考え方、「自分でできることは自分でやらせる」について、私の意見をお話したいと思います。

「なんでもやってあげる」から「自分のことは自分で」

今回テーマに上げている、「自分のことは自分で」という考えは、介護現場における自立支援のひとつだと思います。以前は、本人ができることでも介護者が取り上げてやってしまうことが普通でした。そこから時代は変わり、自分でできることは自分でやってもらうというケアに変わってきました。みなさんも介護現場で「自立支援」という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。

自立支援とは、「自分のことは自分でやる」ことが尊厳の保持やADL(日常動作)の維持につながり、ADL(日常動作)が自立することで、QOL(生活の質)も向上し、ADL(日常動作)が自立すればIADL(手段的日常動作)も自立することです。

筆者もこの考え方に出会ったときは「そうだよ!これだよ!」と感動したのを覚えています。しかしあれから20年近く経過して、あれ?これは違うんじゃない?と感じることが増えてきました。

ご本人を苦しめていませんか?

私の考えはずばりこうです。

『自分でやらせることが本当に必要なのか、見極める必要がある。自分でできることを取り上げてしまうことも、必要以上に自立(自律)を求めるのも、どっちも介護職の怠慢』

例えば、「30分かかってもいいので自分で服をきましょう」とか「1時間かかってもいいので自分で食べて下さいね」という場面をよくみかけます。皆さまはこのような場面をどう思いますか?

介護者自身が本当に利用者のためになっていると確信していたり、ご本人が心から望んでいるのであればこのような援助でよいと思います。しかし、「なんとなく」とか「自分でやってくれると自分達の仕事が楽だから」という考えであったらケアを考え直したほうがいいです。

高齢者の自己決定に着目

30分かけて更衣をさせるより、更衣は介助しパパっと終わらせて、ご本人の体調や生活に合わせたリハビリをしたほうが効果的なこともありますよね。食事も、摂食・嚥下機能が低下している方は後半疲れてきます。介護者が気付かず繰り返すことで、食事が苦痛なものになってしまう可能性もあります。

自立を考える上で重要なのは、高齢者自身が自己決定をして、自ら希望する生活を過ごせているかどうか、です。つまり、自分らしい生活を送ることができているかどうかに着目すべきではないでしょうか。

自分の目的を達成する為に、足りない部分を人の力を借りる事で生活の質を向上させる事が出来ているんですね。

さいごに

是非この機会に、本人の体力や能力以上のことを求めすぎていないか振り返ってみましょう。筆者自身、今振り返ると無理をさせてしまっていたな、と反省することがたくさんあります。

自分でやらせることが本当に必要なのか考えましょう。ご本人が望むのならば、自分でできることを介護職がしてあげてもいいし、時間がかかりすぎても自分であったもらってもいいと思います。ここを見極めるのが介護職の役割ではないか、と筆者は考えています。

この記事を書いた人

市村幸美

准看護師として数年間勤務した後、進学コースへ進み看護師免許を取得。認知症治療病棟への配属をきっかけに認知症ケアに興味をもち認知症ケア専門士、認知症看護認定看護師を取得する。「認知症をもつ人が受ける不利益をなくする」ことを使命と考え、現在は現場での実践や教育などさまざまなフィールドで介護・福祉に携わっている。またブログ『認知症専門のナースケアマネ市村幸美の【美Happy介護】』やSNSを通して介護職だけでなく一般の人に向けても認知症や介護を前向きに受け止めてもらえることを目指している。

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