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不況に苦しむ韓国の若者に在日は「特権」を持っていると映る

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 慰安婦問題を巡る昨年末の日韓合意以降、朴槿恵政権は公式の場での「反日」を封じ、今年1月の国民向け年頭談話や、日本からの独立記念日である8月の「光復節」でも歴史認識問題や慰安婦問題に触れることはなかった。朴政権の反日がトーンダウンしたことで、韓国国民は不満の捌け口を失い、その矛先が在日コリアンに向かっている。ネットでは日本批判にかわって、在日を厳しく糾弾する書き込みが目立ち始めた。

 そして韓国の不況が、さらに不満のマグマを膨らます結果になっている。韓国統計庁の2016年2月調査によると、韓国の若年失業率は12.5%。首都・ソウルでは3割の若者が失業中というデータもある。学費ローンの返済に窮し、多重債務に陥る若者も増加する一方だ。

 たとえ就職できても、人並みの生活が保障されるとは限らない。低賃金、劣悪な労働条件に将来の希望を見出せず、早々に結婚を諦める若者もいるという。そんな彼らからすれば、在日は”特権”を持っていると映る。働き盛りの韓国人男性の間では、在日の兵役免除も不満の種となってきた。

「2012年に兵役法が改正されるまで、在日韓国人男性のほとんどが『在外国民2世制度(*)』によって実質的に兵役を免除されていました。韓国での滞在期間や就業にも制限がないから、韓国と日本を往来して大金を稼いでいた者も多い。私たちが在日を韓国人と認めないのは、彼らがまったく祖国に貢献せず、与えられた“特権”に胡坐をかいているからです」(30代・韓国人男性)

【*韓国国外で出生(6歳以前に移住した者を含む)し、18歳まで継続して国外に居住、本人と親が外国での居住許可を得ている場合に認定】

 兵役法改正はこうした世論を受けたもので、現在は「1994年1月1日以降に出生した韓国人男性が、18~37歳の間に通算3年以上韓国に滞在する場合は兵役の義務が生じる」よう改められた。しかし、韓国のネットには今も「在日には愛国心がない」「軍隊に行かないゴミども」「在日は朝鮮戦争やベトナムで血を一滴も流さなかった」という書き込みが散見される。

 朝鮮戦争では在日の青年による「義勇軍」が組織され、642人が韓国に渡り135人が死亡・行方不明となったが、そうした在日の功績を知る韓国人は少ない。もうひとつ、根深い問題がある。評論家の室谷克実氏が語る。

「韓国では全羅道や済州島出身者に対する差別が激しく、『在日の多くがこれら被差別地域の出身者』という認識があるのです。かつて、全斗煥大統領の秘書官は、私に『全羅道、済州島出身の在日は差別されて当然だ』と話していました。これが彼らの本音なのです」

 この先、韓国社会のフラストレーションの捌け口として在日への風当たりがますます強まるのではないか。

※SAPIO2016年11月号

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