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古地図片手に江戸散歩! 今川焼き&人形焼きのルーツを探る旅【歩き旅応援舎】

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先日、テレビを見ていてふと引き込まれた「まち歩き」の番組がありました。

いかにもな名所旧跡をたずねるのではなく、現代にすっかり同化した何気ないスポットを紹介しながら、江戸の昔を感じさせるそのスタイル、語り口がなんとも魅力的。案内をされていたのは、「歩き旅応援舎」代表の岡本永義さんでした。

『メシ通』でもぜひご登場願いたいと思い、さっそく取材を申し込みましたよ。食にからめたまち歩きのガイドをお願いしてみました。

今日はよろしくお願いします!


案内する人:岡本永義さん

「歩き旅応援舎」代表。江戸のまち歩き歴は約20年。江戸時代の古地図を片手に東京を歩き続け、盛んな好奇心と探求心から今も新たな発見を求め続ける。セブンカルチャークラブやよみうりカルチャーなどで講師もつとめる。 著書に『平成東海道五十三次―歩いて見て楽しむ』『東海道五十三次四百年の歴史をあるく』(共に、けやき出版)がある。

意外に知らない日本橋の歴史


大学時代から日本史や史跡めぐりが好きでした。古地図を片手にまち歩きをするイベントを企画・開催しています。現代に残る、”江戸が香る”ポイントをお教えしますよ。今日はよろしくお願いします。(岡本さん)

本日の待ち合わせはお江戸・日本橋。さっそく古地図を取り出した岡本さん、現在位置を示してくれました。約150年ほど前のこの場所は……。


ここですね。きょうは日本橋から北上していきましょう。地図の青い部分は川なんです。以前このあたりは魚市場で、魚が舟で運ばれていました。この魚市場が移転していまの築地ができたんですよ。


日本橋は五街道、つまり東海道、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道の5つの起点となるポイントです。この先の左側に、道路元票(どうろげんぴょう)が埋め込まれているので、見てみましょうか。


これですね。本当は道路となっている日本橋の中央部にあるんですが、車の通行があって危いので、見学用に道脇に同じデザインのものが飾られているんです。この文字は元首相の佐藤栄作氏によるものなんですよ。


現在の日本橋の真上には高速道路が走っていますが、このように走行中でも「今、日本橋の上を通過したんだ」と分かるようになっています。あの街灯の下にある横長の棒のようなものは昔、日本橋を走っていた路面電車のパンダグラフの名残。もちろん、本来は日本橋の上に建てられていました。

と、日本橋ひとつとっても歴史の逸話が止まらない岡本さん。このままずっと聞いていたい気持ちをおさえつつ、三越本店を左に見て、中央通りを室町方面に進みます。

庶民に時刻を知らせた鐘つき堂

しばらく歩くと室町3丁目の交差点に。


古地図でいうとこの交差点になります。ここを過ぎてひとつ目の細い道を右折しますよ。

それがちょうど、この地点。ああ、江戸の面影は遠く。すっかり現代的な風景ですね。

そうなんですけどね、道脇を見てみましょう。


江戸時代、庶民に時刻を知らせた時の鐘、つまり鐘つき堂がここにあったんです。 鐘つき堂というのは江戸城を中心に円をえがきながら点在したんですが、まず最初に中心部から鐘をつくわけです。それが聞こえると次のポイントがつく。だんだん円状にひろがっていくわけですから、少しずつ時刻はズレていってたでしょうね(笑)。

この道、「時の鐘通り」と名づけられているのですね! 日頃、こういう掲示をかなり見逃しているんだろうなあ……。

さて、中央通りにもどってすぐ隣のブロック、室町4丁目の交差点へ。 このすぐ近くに……。

今川焼きの発祥地発見!?

「今川橋跡」と刻まれた石碑が。つまりはここ、昔は橋だったんですね。舗装された大道路になったいまでは想像も難しい。しかしここで古地図に戻ってみると、

この川をあらわす青い線、岡本さんの指先がまさに現在地。我々は橋のたもとにいるんですな!


この川は外堀から神田川、隅田川に通じる運河で、竜閑川(りゅうかんがわ)と呼ばれていました。井上竜閑という人が近くに住んでいたことからついたそうです。江戸時代は流通経路として使われていたんですよ。昭和25年に竜閑川が埋め立てられて、そのとき一緒になくなった橋なんです。

さっきから何度「へええぇ……」と言っているか自分でもわかりません。仕事ではよく通っているこの通りに、そんな歴史があったとは……。

ここが65年前ぐらいまでは川で、橋がかけられていたんだなあ……。


当時の様子を描いた絵を持ってきました。見てみてください。


橋がかけられて、大勢の人が渡っているところが、今歩いてきた中央通りにあたるわけですね。

うわー、なんかしみじみします! 人の営みは今も昔も変わらない……。なんだかいつもの道路が違って見えてきた。。

ここでいきなりの食ネタなのですが、この橋の名前が今川橋ですね。何か思い当たる食べ物はありませんか?

今川がつくものといえば……今川焼ですか?


そうです! 今川焼の名前の由来は諸説あるのですが、この今川橋付近にあったお店が作って売り出したため、という説もあるんです。ちなみに、橋の名前は当時このあたりに住んでいた今川善右衛門という人の名をとってつけられたようです。

ほおお……、その善右衛門さんは今川焼を食べたんでしょうかねえ。

牢屋敷の街、小伝馬町


さあ、次の目的地に向かいましょうか。目の前の細い道も昔は竜閑川です。川の上を歩いていきましょう!

すたすたと昔の川の上を歩いていく岡本さん。歴史的な暗渠……と言っていいのかな? なんだか水音が聞こえてくるかのよう。

さて、我々は首都高が上を走る昭和通り方面、岩本町や小伝馬町方面に歩いておりますよ。

しばし歩いて岡本さんが連れてきてくれたのは、中央区の複合施設、十思(じっし)スクエア。昭和初期に建てられた小学校を改修した建物で、ケアサポートセンターや保育園、公衆浴場などの施設があるところです。


江戸時代の小伝馬町は、牢屋敷のあるところとして有名でした。今でいえば留置所ですね。入り口ホールにはその模型もあるんですが、この窓からは地中に残る牢屋敷の設備が見ることができるんです。

四角いのが当時の井戸で、そこに繋がっているのが現在の水道管のようなもの。いわゆる“くさいメシ”をこの井戸の水で炊いていたのでしょうか……。屋敷内には取り調べをする部署もあり、「拷問蔵」なんてところも。まさに時代劇の世界ですな。

これは発掘された当時の石垣。当時からこういうものでシャバと“あちら側”が分けられていたのですねえ。ちなみに牢屋敷の石塀は2.4mほどあったとか。その頃の平均身長は今よりかなり低いでしょうし、威圧感あったのだろうなあ。

江戸時代の宝くじって……?

さて一行は隣の大伝馬町を通り越し、堀留町までやってきました。


古地図でいうとこの赤いポイントが…… 。


ここ、椙森(すぎのもり)神社になります。江戸時代には「富くじ」(今でいう宝くじ)がよく行われた場所でもあるんですよ。神社仏閣は移設されることもありますが、長年位置が変わらないことが多いので、古地図でまち歩きをするときはよい手掛かりになるんです。

案内の前にお参りを済ませたので帽子をとっている岡本さん。こういった礼儀というかマナーも、まち歩きガイドをする上で大事なのでしょうね。

岡本さんが指し示していたのは、富塚。富くじの記念碑ですね。大正時代に建立されたものの関東大震災で一度倒壊。その後に有志を募って昭和28年に再建されたそうです。

こんなシャレのきいた張り紙が。

近くには当時の富くじの様子を描いたブロックがありましたよ。富くじ、落語でもおなじみですね。

図のように札をひいて、当たり番号が出たら賞金がもらえる……という現在とほぼ同じスタイル。いろんな泣き笑いがあったんだろうなあ。

人形町といえばあのお菓子!

さて、次にめざすは人形町です! ここから歩いて5分ぐらい。

現在の人形町の交差点。

江戸時代の人形町の様子を描いたもの。当時は芝居小屋があり、大変なにぎわいをみせた時代があったのだとか。


人形というのは、今も残る文楽人形のことなんです。当時の芝居といえば歌舞伎と文楽。その文楽人形をつくるお店が多かったことから、人形町の名前がつけられました。先のにぎわいを描いたあたりはこのへんと思われます。もう当時の雰囲気はさすがにありませんね。

そして人形町といえば人形焼き! このまちが発祥といわれ、通りを歩けば甘い匂いに誘われます。

訪れたのは、創業百年以上を数える「人形焼本舗 板倉屋」。

カステラ生地の中にはあんこがみっちりと。文楽人形や七福神をモチーフにしたものが伝統的なスタイルですが、現在ではお店によってデザインもいろいろ。こちらは七福神をかたどった、昔ながらのものでした(1袋 500円)。焼きたてをいただきましたよ。

まち歩きをしたあとは、こういうおやつがうれしいですね、岡本さん!


今日はあいにくと小雨が降ったりやんだりでしたが、これからの秋はまち歩きに良いシーズンです。江戸を感じられるいろいろなコースを企画していますので、またぜひ参加してみてください。いまの東京に続く様々な発見が待っていますよ。

お店情報

板倉屋

住所:東京都中央区日本橋人形町2-4-2

電話番号:03-3667-4818

営業時間:9:00~売り切れ次第終了

定休日:不定休

ウェブサイト:http://www.itakuraya.com/

※金額はすべて消費税込です。

※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。

取材協力:歩き旅応援舎

書いた人:白央篤司

フードライター。雑誌『栄養と料理』などで連載中。「食と健康」、郷土料理をメインテーマに執筆をつづける。著書に「にっぽんのおにぎり」「にっぽんのおやつ」(理論社)「ジャパめし。」(集英社)がある。 facebook:atsushi.hakuo ブログ:独酌日記

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