ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

久間章生元防衛相 もしハイジャック機が皇居に向かったら?

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 安保法の成立や北朝鮮のミサイル発射など日本の安全保障が転換期を迎えている中で稲田朋美氏が防衛大臣に就任した。初代防衛大臣を務めた“防衛族のドン”、久間章生氏(75)の目にはどう映ったのか。

 * * *
 去年、安保法制をめぐって大きな騒ぎとなりましたが、私自身は安保法制に賛成です。当然やるべきことをやったと評価しています。

 たとえて言えば、友達と2人で歩いていたとき、暴漢が友達を襲ってきた。自分は今やられていないけれど、相手が頭を殴られていたら、次は自分だと思うわけでしょう。そいつがやられているうちに、一緒に戦うのは当たり前でしょう。

 ただ、あのとき政府はホルムズ海峡の機雷掃海についても集団的自衛権だと言った。ちょっとこれは行き過ぎでしょう。地球の裏側までカバーして、集団的自衛権と言うのは、自衛権の範囲がオーバーに見られてしまう可能性がある。

 たまたま創価学会会長は私の同級生の原田(稔)君。その原田君と会ったとき、「公明党の言っている主張は創価学会の意向を反映しているか知らんけど、あれは正しいから、彼らに、元気で頑張ってよと伝えてよ」と言ったこともありました。

 もう一つ、安保法案の議論の中では、自衛権と軍事同盟がごっちゃに議論されていました。

 日米安保条約というのは何か。日本が他国から攻撃されれば、アメリカは日本を助けるために参戦する。アメリカにとって日米安保条約は軍事同盟です。が、アメリカが他国から攻められても日本は戦闘に参加はしない。日本にとって日米安保条約は軍事同盟ではない。このように日米安保条約は片務条約なのです。

 その意味では、米大統領候補のトランプが語っている「米国が攻撃されても日本は何もしない。日本が攻撃されれば米国は全力で駆けつけねばならず、片務的だ」という指摘は間違っていない。いや、「だから日本はカネを出せ」というトランプの主張は受け入れられませんが、片務だというのは歴然とした事実です。

 その辺を踏まえた上で、安保法制は議論されるべきだったでしょう。

 今、北朝鮮のミサイル攻撃の危険性が叫ばれている。防衛大臣はしっかり対応せねばならない。もしそういう局面があれば、ミサイルの発射命令を出さなければならない。憲法では想定していないが、防衛大臣の責任ですから。

 私は後輩のある防衛大臣にこう言ったことがある。

 ハイジャックされた民間機が東京湾上にいる。どうやら皇居に向かっているようだ。9.11と同じことを狙っているのだろう。その場合、私が大臣だったら、奪還できないことがわかれば乗客には本当に申し訳ないが、東京湾上で飛行機を落とす。そして、その判断に対して総理なり世論が間違っていると言うのであれば、責任を取って大臣を辞める──とね。

 防衛大臣には、そういう覚悟が必要であり、常にそういう中で職務を行なわねばならないということです。

●きゅうま・ふみお/1940年生まれ。1980年初当選。防衛庁長官を2度務め、初代防衛大臣に就任。

※週刊ポスト2016年10月14・21日号

【関連記事】
元防衛大臣・北澤俊美氏が震災時の自衛隊の働きを解説した書
SAPIO人気連載・業田良家4コママンガ【1/2】「集団的自衛権」
安保法案 成立の最大の障害は中谷防衛相の存在と官邸は懸念

NEWSポストセブンの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP