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日本の動物園の安すぎる入園料 2000円に上げたら経営は楽に

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 札幌市円山動物園では、6月15日に生まれた赤ちゃんレッサーパンダが9月27日より一般公開されるというほほえましいニュースが届いたばかり。

 そもそも日本で動物園が誕生したきっかけは、明治維新後に福沢諭吉らがフランスの動物園を視察したこと。明治維新の象徴として、日本の近代化を海外に見せるため1882年、日本で初めての動物園である『上野動物園』が誕生した。その後、1915年に『天王寺動物園』(大阪)、1937年に『東山動植物園』(愛知)と次々に作られ、多くの人でにぎわう。まだ見ぬ異国の地からやって来た彼らに国民は高揚した。

 しかし、第二次世界大戦の激化によって動物処分の命令が下る。『上野動物園』ではライオン、ヒョウ、クマが次々に殺され、残った3頭のゾウはお腹を空かせて死んでいった。そんな悲しい歴史を経て、戦後の動物園は一転、平和の象徴となる。1949年にはタイから戦後初のゾウが来日し、餓死させられたゾウの「花子」の名前を受け継ぎ「はな子」と名づけられ人気を集めた。1972年には、日中国交正常化を記念して中国から贈られたパンダを一目見ようと、多くの人が『上野動物園』に詰めかけた。

 日本の動物園の数は届け出があるものだけでも89施設。その数は中国、アメリカに次いで世界第3位、人口あたりに換算すると世界1位とも言われている。この数字には日本人にとって動物園がいかに特別な場所であるかが表れていると言えよう。

 動物との触れ合いを「情操教育」の一貫とする日本では、動物園へ行くことは、今も変わらず小中学校での遠足の定番だ。

 ライオンを見て「かっこいい」と歓声をあげ、カンガルーの親子を見て「かわいい」と連呼した記憶がきっとあなたにもあるはず。そして同時に弱肉強食の世界を知り、子供心に胸がきゅっと痛んだことだろう。そんな子供時代を経て大人になっても動物園は変わらず特別。癒しを求めて行く人もいるし、柵の中にいる動物と自分を重ねて物思いにふける人もいる。

 その動物園が今、苦境に立たされている。動物園学が専門の帝京科学大学講師・佐渡友陽一さんが指摘する。

「動物園の入園者は2~5才の子供の数と比例しているため、少子高齢化の影響をもろに受けます。最近の動物園は子供以外のお客さんを呼び込むため、『旭山動物園』(北海道旭川市)の行動展示に代表されるように、大人向けにシフトしていこうとしています。入園者数は、何か新しい施設を作るとぐっと増えます。そのあと老朽化に伴い減っていくので、次々と施設を投入しながら、減っていくお客さんを補っていくという運営方式です」

 しかし、新しい施設を作って来園者数を増やそうとしても、簡単にいかない理由がある。それは安すぎる入園料だ。『旭山動物園』は大人820円、『上野動物園』は600円だ。また、年間何度でも入れる年間パスも、『旭山動物園』が1020円、『上野動物園』で2400円とかなり安い。また、公的な施設であるために、「中学生以下、65才以上は無料」といった割引をする施設がほとんどだ。

「日本の動物園は今で言うところの『子育て支援施設』として作られました。地域住民の税金を還元という意図があるので、なるべく安く抑えようとするのです」(佐渡友さん)

 旭山動物園の園長、坂東元さんもため息をつく。

「公立施設で市民の憩いの場として提供したいという目的があるので、入園料を上げることができないのが現状です。もし、2000円に上げられたら、どこの動物園もかなり経営が楽になると思います」

※女性セブン2016年10月13日号

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