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スチャダラパーBoseがチューニングショップで奇跡のオリジナルカーに出会った!

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▲エンジンを載せ替えたS15シルビアと、オリジナルにこだわったAE86レビン。「これほどのコンディションのハチロクは滅多にない」という奇跡の個体です!

シルビアのエンジンが高いなら、スープラのエンジンを載せればいい!

日本のヒップホップシーン最前線でフレッシュな名曲を作り続けているスチャダラパーのMC、Boseが中古車情報誌『カーセンサー』にてお届けする人気連載「Bosensor」。カーセンサー本誌で収録しきれないDEEPでUNDERGROUNDな話をお届けっ!!

編集部ゆきだるま(以下、ゆきだるま):Boseさん、今回チョイスしたお店はいわゆるチューニングショップですよね。Boseさんにチューニングのイメージが全然ないからビックリしました。

Bose:だよね。チューニングやカスタムの世界って気持ちとしては理解できるけれど僕がそっちで楽しもうと思ったことはないかなぁ。例えるなら“隣のクラスの遊び人”という感じなんだよ。「僕らとは遊び方が違うけれど、楽しそうにやっているのは目に入る」ってね。ただ今回お邪魔するWORKSにはちょっと気になるチューニングカーがあったんだ。

ゆきだるま:どんなチューニングカーですか?

Bose:それはお店に行ってから話すよ。あとおもしろそうだったのは、カーセンサーnetのショップ紹介ページにラジコンサーキットの写真が載っているんだよね。ラジコン好きとしてはそこも見逃せない!

藤ヶ崎社長:こんにちは、Boseさん。どうぞゆっくりしていってください。

Bose:今回はよろしくお願いします。うわっ、やっぱりいろいろなチューニングカーがあるな。

藤ヶ崎社長:うちはチューニングメーカーではありません。今は多くのメーカーさんがいいパーツをたくさん作っています。だからうちはチューニングのセレクトショップとしてお客様にいろいろな楽しみ方を提案しているんです。

Bose:あ、これこれ。僕がおもしろいと思ったのはこのシルビアですよ。外観はほとんどノーマルなのにエンジンルームの中だけ派手にしているんだよね。こういう遊び、アメリカで流行っているんだよ。

藤ヶ崎社長:さすがBoseさん、分かっているなあ(笑)。これはうちのデモカーなんですが、パッと見はノーマル、でもやっているよというのがいいんですよね。コテコテの派手さとは違う楽しみ方です。

Bose:ほんと、こういうノリってアメリカ人が好きそう。それが日本で流行るのも分かる気がする。

▲エンジンルームの中を塗装し、エンジンにもラメを入れてある。「アメリカっぽいカスタムがカッコいいよね」とBoseさん

藤ヶ崎社長:見た目もですが、このS15シルビアのポイントは載っているエンジンがスープラの6気筒ってことなんですよ。6発になるぶんフロントヘビーになるのでなるべく後ろに配置。エンジンマウントは当店で作りました。

Bose:えー、そんなに簡単に載せられるものなんだ!

藤ヶ崎社長:簡単ではないですが(笑)。なぜこんなことをしたかというと日本が抱える大きな問題が関係しているんです。日本のスポーツカーが海外で爆発的にヒットしていて、車体はもちろんパーツ類もどんどん輸出されちゃうんです。

Bose:その話はいろいろなお店で聞きますよ。『頭文字D』を子供の頃に読んで「免許を取ったら自分も乗りたい」と夢見ていたのに、いざその年齢になったら相場が高騰していて車が買えないって。

藤ヶ崎社長:日本の車文化を考えると深刻な問題です。S15はSRエンジンの人気もすごいのでどんどん持っていかれちゃうんです。一方でスープラのエンジンは比較的数があるのでシルビアのSRエンジンが壊れちゃったときに代わりに積むものとしてちょうどいいと考えたんですよ。

Bose:ちなみに仕上げると全部でいくらくらいなんですか?

藤ヶ崎社長:これで200万円ちょっとくらいですね。

Bose:へえ、それなら若い子でも手が届かない金額じゃない。

藤ヶ崎社長:なんとか車に興味を持った若い子たちが楽しめる環境を作りたい。そう思って頑張っています。

▲オリジナルのSRエンジンは輸出の影響で品薄になり値段が高騰。どうすれば若者が車を楽しめるか試行錯誤した結果、スープラの直6を搭載することにしたそうです

“レストア”ではなく“オリジナル”で名車をよみがえらせる

Bose:こっちのAE86、見た目はノーマルだけどメチャメチャキレイ。これから手を加えるんですか?

藤ヶ崎社長:いえ、この状態で販売します。カーセンサーnetにも物件を掲載していますよ。これはご年配の方が新車からガレージ保管でずっと乗り続けていた奇跡の1台なんです。

Bose:「ハチロクだぜ!」「峠に行くぜ!」とかではなく、おじいちゃんが普通に乗っていた1台?

藤ヶ崎社長:そう。スポーツ走行とは一切無縁だったものです。しかもディーラーで定期点検をしっかり受けていて、さらにほぼすべてのオリジナルパーツがそのまま残っているという、おそらく現存するハチロクの中でも最高の部類に入るものです。ちなみに走行距離は4.5万km!

Bose:でたーーー!!! 天然モノで博物館級になっちゃった代物だ(笑)。

▲「例えばラジエターを支えるスポンジ。これが劣化せずにオリジナルの状態で残っていることが奇跡」と藤ヶ崎社長

藤ヶ崎社長:本来ならうちのスタンスとしてはアルミを変えたりエンジンチューニングを施したいところです。でもこれはあまりにもいい状態で残っている奇跡の1台だったので……。だったらオリジナルに徹底的にこだわろうと思い、いつもとはまったく違う仕上げ方をしました。ポイントは“レストア”ではなく“オリジナル”を復活させることです。

Bose:それって具体的にはどういうことなんですか?

藤ヶ崎社長:まずこの個体には悔やまれる場所が1ヵ所ありました。ディーラー整備だったので下まわりで点検が終わった箇所に黄色い印を塗られてしまう。それが30年分重ね塗りされていたのでかなり分厚くなっていました。だから全部剥離。

Bose:剥離(笑)。普通に考えたらディーラー整備ってのはいいことなのに。

藤ヶ崎社長:もちろんいいことですよ。だから僕の使命はそれをさらにいい状態、オリジナルの状態に戻すことだと考えました。先ほど「レストアではなくオリジナル」と言いましたよね。輝きを取り戻すために、たとえばボディを全塗装するのは簡単です。でもそれじゃダメなんですよ。あらゆる部分を徹底的に磨いて、オリジナルの状態で新車当時の輝きを出すことにこだわったんです。だからほぼすべてのパーツをバラして、ねじ1本まで磨いています。

▲エンジンルーム内もすべてのパーツを取り出し、ひとつひとつの部品を磨き、ボディ側も徹底的にクリーニング。30年前の個体とは思えない輝きです!

Bose:すげー! 気が遠くなりそうだよ。

藤ヶ崎社長:もちろん経年劣化でゴム類などはダメになっているものもあったので、そこはオリジナルパーツを探して組み替えました。今、ハチロクのオリジナルパーツって本当に大変なことになっているんですよ。

Bose:たしかに生産終了になってから30年経つ車なのでパーツはないだろうね。

藤ヶ崎社長:例えばプラスチックパーツ。もともとは新品でも数千円でしたが、現在はネットオークションで16万円とかザラです。

Bose:!!!!!!!! すごすぎる、もうダメだ! 庶民じゃ手が届かないよ。

藤ヶ崎社長:ダッシュボードも経年劣化で浮いてくるんですよね。このハチロクは割れていない。これをオークションに出したら、おそらくダッシュボードだけで40万円は下らないでしょう。フロアマットは足で踏むものですから擦れたり破れたりします。また、ガソリンスタンドなどでマット洗浄機にかけるとロゴが剥がれてしまいます。この個体はマットもキレイで弾力があります。1枚軽く10万円はするでしょうね。

Bose:とんでもないことになってるじゃないですか!!!!

藤ヶ崎社長:だから僕はレストアではなくオリジナルでやることにしたんです。塗ったらキレイになるけど、塗っちゃダメ。あくまでオリジナルです。スペアタイヤが入ってた部分もオリジナル塗装ですよ。

▲腐食しやすいマフラーなどにもほとんど錆はなかったという。だからこそオリジナルパーツをとことん磨いて仕上げることができたのです

車の域を超えた、Bosensor版『開運!なんでも鑑定団』!?

Bose:さっきから話の内容が「Bosensor」じゃなくなっているよ。『開運!なんでも鑑定団』、あるいは『まんだらけ』の人に話を聞いているみたい。

藤ヶ崎社長:せっかくだからフロアマットの下のフロアカーペットを触ってみてください。普通だと30年も経ったらカーペット自体が破れちゃうんですが……。

Bose:うわっ、なんかフワフワしている気がする! 何これ、すごい!!

藤ヶ崎社長:カーペットやマット、シートもすべて外して洗浄しました。でもブラシを使うと傷んじゃうので、全部手で撫でるように洗ったんです。そして洗浄後は柔軟剤に2日ほどつけおきして、ゆっくり乾燥させます。もちろんすべての作業中は工場内の湿度管理も徹底しましたよ。

▲ふかふかのカーペットに驚くBoseさん。すべて手洗いで撫でるように洗ったからこそ実現したのだとか

Bose:すごい世界だなあ。だってこのカーペット、洗いたてのタオルみたいなんだから(笑)。

ゆきだるま:Boseさん、いろいろお話を伺いましたが今回のカーセンサー本誌で紹介するのは……。

Bose:このハチロクで決まりだよ。チューニングショップがこだわった“オリジナル”の味。このギャップが最高じゃん! ハチロクマニアはもちろん、普通の車好きも必見だよ!!

▲「こんな個体、めったに出会えないよ」と藤ヶ崎社長。しかしあくまで売り物です。どんなお客さんのところに嫁ぐのでしょうか? そのあたりは後編で伺います!

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photo/篠原晃一

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