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長年連れ添った夫婦の終焉。準備の時間は充分取れる熟年離婚

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 熟年離婚は年々増加傾向にあり、最近では「熟年離婚」はもはや珍しいものではなく、ごく身近なものになりつつあります。増加の理由として、団塊の世代が退職ラッシュを迎え、その妻が夫の退職と同時に主婦業を卒業しようとしたこと、さらに2007年から始まった離婚時の年金分割制度があげられるそうです。
 身近だけど実はあまり知られていない、熟年離婚にまつわる現状や、制度等について見ていきたいと思います。

熟年離婚の実情

 熟年離婚については明確な定義はありません。長い婚姻期間の末に離婚することを指すと言われおり、この場合の「長い」については一般的には20年と考えられています。
 熟年者の離婚、と混同している方もいますが、65歳で離婚したとしても婚姻期間が20年経過していないような場合は熟年離婚には当たりません。
 また、籍が入っているだけで、別居していた夫婦の離婚については、婚姻期間が20年を超えていたとしても熟年離婚にはあたらないと考えられているようです。

 熟年離婚の割合については、厚生労働省が発表している「離婚に関する統計」が参考になります。
 離婚に占める同居期間が20年以上の割合は、平成20年には16.5%となっています。平成20年の離婚件数は約25万組ですので、熟年離婚件数は4万組強と考えられます。
 ただ、離婚件数自体は2003年を境に一旦減少傾向になってはいるものの、その後、年金分割制度が導入されたことにより(これについては後ほど述べます)、1年あたりの熟年離婚件数はさらに増加している可能性があります。

 では熟年離婚をする原因は何でしょうか?
 原因としては、価値観の違い、相手の実家との関係、浪費や借金、精神的・肉体的虐待、相手の不貞行為、などが主なものとして挙げられることが多いようです。しかし、これらの理由については、熟年離婚に限ったものではありません。

 熟年離婚特有のものとしては、最初でも述べましたが、第一次ベビーブームの頃に生まれた世代、いわゆる団塊の世代は、当時の好景気を背景に、「夫は家で稼ぎ、妻は家庭を守る」という考えのもと家庭を築きあげていました。
 「モーレツ社員」「企業戦士」という言葉が流行ったのもこの世代で、夫は仕事中心、家庭のことは妻に任せきり、という生活を定年退職まで続けることで、妻の日頃の不満が定年退職をきっかけに爆発して離婚に至る、というケースが多かったようです。
 これは上記の価値観の違いにも該当しますが、長年のコミュニケーション不足、という特有の理由ということが出来そうです。

熟年離婚を避けたい人が心がけておくべきこと

 「上の熟年離婚の原因に心あたりがある・・・しかし離婚は回避したい」という方もいらっしゃるのではないかと思います。この場合、どうすればよいでしょうか?
 不貞や、浪費・借金、精神的・肉体的虐待等については該当する行為を即刻やめるのが当然です。
 ここでは「価値観の違い」や「長年のコミュニケーション不足」の解消方法について考えてみたいと思います。

 「価値観の違い」から夫婦仲が険悪になるのは、それぞれが自分の考え方に固執してしまうからだそうです。「◯◯は妻が(夫が)すべき(だから俺は(私は)関係ない)」「記念日はこういうふうに祝わなければならない」「子育てはこうあるべき」など。
 月並みですが、自分の固執している考え方を一旦捨ててみて、冷静になって見直してみると「どちらがやっても良かった」「どんな祝い方だって問題ない」と思えてくるようになるそうです。

 「長年のコミュニケーション不足」については、今更相手と話すことなんか難しい、と言われる方も多いかもしれません。
 そのような場合は、まずは「ありがとう」という感謝の言葉をこまめに伝えることから始めてみることが効果的です。感情は連鎖しますので、相手からも同様の態度が返ってきます。
 きちんと感謝の言葉を伝え続けていれば、状況が悪くなることはないのではないでしょうか。

離婚後の安定した生活のために、最も重要なお金の問題

 努力をしてみたけれどやはり、熟年離婚は回避できない、という状況になってしまうこともあります。長い人生ですので、一旦リセットして再スタートを進みだすことも時には必要でしょう。
 再スタートにあたって、一番考えておかなければならないのはお金の問題です。

慰謝料について

 離婚が、配偶者の不貞や相手の家族、精神的・肉体的な虐待によるものならば、まずは慰謝料の請求を考える必要があります。
 慰謝料の金額は、その人が受けた損害によって決まります。離婚の原因となった行為の内容や程度、精神的・肉体的苦痛の程度、婚姻期間、慰謝料を請求する側の状況、慰謝料を支払う側の状況を総合的にみて、実際に支払われる金額が決まります。
 ケースによりますが、100万円から300万円の間というのが多いようです。

財産分与について

 婚姻中に取得した財産は、夫婦2人で築き上げたものですので、共有財産となります。財産分与は、夫婦の共有財産を精算するという性格をもちます。
 したがって、専業主婦(主夫)であったとしても、その財産の取得に貢献していますので、財産分与請求をすることは可能です。
 財産分与請求は、離婚後2年以内に行う必要があります。

 共有財産として扱われるのは、預貯金、不動産、株券や国債などの有価証券が代表的です。
 また、退職金、年金、負債(ローン)についても共有財産となります(年金については後述します)。

 ローンが残っている不動産の扱いは、売却してその金額でローンを支払い残りを折半する、不動産とローンを一方の名義としその後一方が払い続ける等いくつかの方法があります。
 財産分与には原則として税金はかからないことになっていますが、分与額が多すぎると判断された場合には、贈与に当たるとみなされて贈与税が課せられる場合もありますので注意が必要です。
 この贈与税は財産分与を受け取る側が支払うことになります。

年金分割について

 年金分割制度とは、2007年に開始された新しい制度です。
 これまでサラリーマンの夫(妻)と専業主婦(主夫)の妻(夫)が離婚した場合に、受け取り年金額に大きな差が生まれ、妻(夫)の生活が経済的に苦しくなるというケースが多くありました。
 しかし、外で働いて手厚い厚生年金を受け取れるのは、家事や育児を一手に引き受けてサポートしてくれた配偶者のおかげでもあります。そこで、家事や育児で貢献した分を考慮して、夫(妻)の老齢年金を相手方に分割する年金分割制度が設けられました。

 年金分割制度は、離婚時に分割した年金を国から直接受け取れるようになっていること、また、相手の死後も分割分の支払いが続くという点が大きな利点と言われています。
 ただ、分割できるのは厚生年金部分だけですので、例えば夫が第1号被保険者(自営業、自由業、農林林業、学生、無職)の場合には、年金分割制度は適用されません。

 以上、離婚時の主なお金に関する手続きについてまとめました。複雑なものが多いですので、専門家に相談することをお勧めいたします。

まとめ

 長い夫婦生活を終わらせることは、大きな決断です。その決断をするためにも、熟年離婚というものがどういうものなのか、改めて確認しておく必要があるといえるでしょう。
 熟年離婚をするにしてもしないにしても、きちんと判断して決断することで、その後の人生がより実りあるものになることは間違いありません。この記事が判断のための一助になれば幸いです。

元記事

長年連れ添った夫婦の終焉。準備の時間は充分取れる熟年離婚

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