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とと・西島秀俊「当たり前にある毎日でも…」は脚本家の心情

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 番組スタートから高視聴率をキープし、ついに10月1日、最終回を迎えるNHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』。脚本を担当した西田征史さんは、この作品に込めた思いについて、「いろいろありますが、一つを強いて挙げるとするならば、日々のささやかな瞬間を大切にしていくことの意味、すばらしさ」だと言う。

「1960年代以降、核家族が増えましたが、それさえ減ってきて今や個の時代です。ドラマを見て、大家族があった時代を振り返り、何か感じていただけていたら、うれしいなと」

 ドラマでは常子の家族を筆頭に、さまざまな家族の姿が描かれた。名シーンのひとつが物語の序盤、西島秀俊演じる “とと”竹蔵が生きている頃、「当たり前にある毎日でも、それはとっても大切な一瞬の積み重ねだと思っています。そしてそれは、いつ失うことになるかわからない」と家族との時間を大切にしたいという思いを語った場面だ。実はこのシーン、西田さんが8才の頃、2才上の兄を亡くしている経験が影響している。

「兄は交通事故で亡くなりました。昨日まで共に暮らしていたのに明日は一緒にいるか誰にもわからない。そういう思いはずっと自分の中にありました」(西田さん)

 西田さんが印象深いと語るシーンは、小橋家の次女・鞠子(相楽樹)の結婚式だ。鞠子が水田正平(伊藤淳史)と結婚、両家を招いて式が開かれる。花山(唐沢寿明)に続いて挨拶した常子(高畑充希)は、用意していた挨拶文が花山がした話と同じ内容だったことを知り、困惑しながら招待客の前に立つ。

「一度硬いムードで結婚式を描いたのですが、『とと姉ちゃん』らしい結婚式のシーンにしたいと思い、最後まで悩みました。締め切りが迫るなか、思いついたのが、花山と祝福のコメントがかぶってしまい、鞠子や家族への気持ちを思わず吐露するという流れ。おかしみのあるシーンを挟めたことで、常子、そして小橋家らしい結婚式にできたのかなと」(西田さん)

 戦後、常子は編集長となる花山とともに『あなたの暮し』を立ち上げる。資金集めや商品試験に奔走する常子たちの姿が描かれ、苦難をともにするふたりは“魂のパートナー”となる。

 チーフ・プロデューサーの落合将さんは、創刊前、常子に何度も説得され花山が編集長としてペンを握ることを決断するシーンに思いを込めたと言う。

「花山はもともと内務省で働いていて、戦争を受け入れてしまった、という気持ちがある。だから、二度と戦争をしてはいけないという信念があるんです。誰もが持つその思いを象徴するのが、花山です。それを“女性の暮らしをよくする雑誌を作りたい”と訴える常子の言葉に、花山が応じるシーンで表したかった」

 最終週では、取材で広島を訪れた花山が倒れてしまい、病床で常子にこう訴える。

「従軍し、戦争にかかわった自分は、戦争を知らない世代のために戦時中の記録を残しておきたい。取材を再開したい」

 それはやがて『あなたの暮し』の戦争特集号出版へとつながっていく。

※女性セブン2016年10月13日号

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