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9月からマンションや団地の建替えがしやすくなっている?!

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以前、団地の建替え体験談を連載させてもらったが、老朽化した集合住宅の建替えの難しさについては経験者として痛感していた。今年9月1日に施行された「都市再生特別措置法等の一部改正」で、住宅団地の建替えの可能性が今までより広がりそうだと聞いた。国土交通省の住宅局市街地建築課の企画専門官である岸田里佳子さんに、詳しいお話しをうかがうことにした。

単体のマンションだけではなく団地の建替えにも希望が生まれる

「集合住宅の建替え」自体が越えなければいけない壁が高いうえに、団地となるとさらに難しい。というのも区分所有法では建替え決議のために、地権者全体で4/5以上、かつ各棟で2/3以上の賛成が必要だからだ。このすべての棟で2/3以上の賛成をとるということが難しい。団地の建替えに頭を悩ませている知人から相談を受けることがあるが、「1棟だけが2/3以上の賛成がとれずに断念した」という話も聞く。

また同じ敷地内に建っていても、駅からの距離が違ったり、日当たりが違ったり、築年数が異なったり、建物の形状が違ったり、同じ条件ではない場合もある。なかには集合住宅だけではなく一戸建て住宅が混じっていたり、分譲住宅と賃貸住宅が混在していることもある。これらの権利関係をまとめるだけで実現不可能という気持ちになってしまう。

そこに「区分所有法」という建物の観点からだけではなく「市街地再開発事業」という地域全体の観点から建替えを推進することが可能になった。社会経済情勢の変化に対応した都市機能の高度化および都市の居住環境の向上をはかるために2002年に制定された「都市再生特別措置法」の一部が改正され、住宅団地の建替えの推進がしやすくなったからだ。

築45年を超える団地は10年後には5倍、20年後には約10倍に!

今回の改正は、国際競争力・防災機能強化、コンパクトでにぎわいのある街づくり、そして住宅団地の再生の3つの柱で進められているそうだ。「特に高度成長期につくられた都市近郊を中心とした大規模な住宅団地が老朽化、都市機能に必要な施設等が確保されずに居住環境が悪くなっていく問題が急務です」と岸田さん。

全国の総マンションストック約600万戸(2013年度時点)のうち、住宅団地(※)の割合は約1/3、約5000団地・200万戸になる。築25年以上が約5割、築45年を超えるものだけで現在291団地にも及ぶそうだ。「築45年を超える団地は10年後には5倍、20年後には約10倍になりますが、建替えの実績はわずか114団地しかありません」と岸田さん。建物や設備、公共施設が一斉に老朽化するとともに福祉等に必要な都市機能が確保されず、居住性が悪くなり、空家がますます増えていくことになる。

「そのため老朽化が進んだ住宅団地を、地域の拠点として再生を図ることが求められています。高齢者施設や保育施設など、必要とされる施設の設置を含めて考えていく必要があります」

※住宅団地の定義…(1)同一敷地内に計画的に建てられている二棟以上の共同住宅群で、(2)分譲敷地を含むおおむね50戸以上のもののうち、(3)当該敷地が区分所有者等により共有されていると推定されるもの

市街地再開発事業なら地権者の3分の2以上の合意で建替えが可能

市区町村の都市計画として市街地再開発事業が決定されれば、「区分所有法の一括建替え決議」(全体の5分の4以上、棟ごとに3分の2以上)は不要となり、かわりに「市街地再開発事業による建替え」(全体の3分の2以上)で建替えを決議できる。

しかし今回の改正前までは、敷地が共有の場合、地権者全員で「再開発組合員1」とカウントされてしまうため、地権者全員の合意が必要でかなり難易度の高い制度となっていた。今回改正に伴い、地権者一人ひとりが組合員となることができ、地権者の3分の2という合意が現実的になった。前述した棟ごとの合意数も不要なので、確かに今までより合意のハードルは低くなったといえそうだ。

とはいえ、「すべての団地で適用になるわけではありません。高度利用地区等内にあること、区域内の建築物の3分の2以上が老朽化等していること、区域内に十分な公共施設がない等により、土地利用が不健全であること等が要件となり、市町村で市街地再開発事業として認可されなければなりません」と岸田さん。

また区分所有法では、敷地内の建築物がすべて区分所有建物である場合にしか建替え決議ができないし、土地の分割もできない。都市再開発法に基づく市街地再開発事業であれば、敷地内に単独所有の建物(賃貸住宅や店舗など)や全体共有の建物(集会場など)が存在しても適用できる。場合によっては敷地の分割や一部の既存建物を残すこともできる。

建替えを考えはじめたら、まず市町村に相談に行ってみよう

自分たちのマンションや団地が、どういう位置づけになるかを知っていることは大切だ。上記の要件に適合しているか、市町村が再開発の必要性を感じているか等々によっては、管理組合だけでは解決できない問題に光が当たる可能性もあるだろう。建替えコンサルティングやデベロッパーに相談するにしても、あらかじめ管理組合で実情を知っておくほうが適切な相談ができる。

集合住宅の建替えはまだまだハードルは高そうだが、少し光が見えてきたような気がする。建替え体験談の連載で、最後に「少子化で人口が減り、空き家が増えると予測されるのであれば、無理に住宅にする必要はないかもしれない。高齢者向けの施設や保育所、災害時の避難施設など、必要とされている施設への変換も考えられるだろう」と書いてみた。市街地再開発事業であれば、住宅だけではなく街として必要な施設を生む総合的な開発の可能性もありそうだ。●参考

・国土交通省/都市再生特別措置法等の一部を改正する法律が平成28年9月1日に施行

・国土交通省/都市再生特別措置法等の一部改正にともなう住宅団地の建替えの推進について
元画像url http://suumo.jp/journal/wp/wp-content/uploads/2016/09/118588_main.jpg
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