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国際結婚カップルが離婚する場合に乗り越えるべきハードルとは

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 国際結婚は、現在ではもう当たり前になり、珍しいと思う人は少ないと思います。日本を訪れる外国人も増え、今後も多くの国際結婚カップルが誕生するでしょう。
 しかしせっかく国際結婚をしたカップルでも、さまざまな行き違いが原因で離婚に至るときがあります。ただ国際離婚をしようと思っても、多くのかたは何から解決すればいいかと、混乱してしまうと思います。
 そこで今回は、国際離婚をするまでにどのようなハードル乗り越えれば良いのかを解説していきましょう。

国際結婚と日本人同士の結婚との違い

 そもそも国際結婚と日本人同士の結婚とでは、どんな違いがあるでしょうか。

日本人同士の結婚の手続

 日本人同士の結婚の場合、婚姻手続は非常に簡単です。
 本人同士が結婚に合意をし、年齢などの法律上結婚できる条件(婚姻要件、民法731条~737条)を満たしていれば、婚姻届を市町村役場に提出するだけで完了します。提出先は夫または妻の本籍地、住所地(所在地)どちらかの市町村役場です。
 添付書類は戸籍謄本くらいで(本籍地以外に届け出る場合)、他に特別な書類はありません。

国際結婚の手続

 国際結婚の場合は、日本だけではなく、外国の両方の役所で婚姻手続が必要です。ただ手続を行う前に、事前に注意すべき点もあります。

外国では婚姻要件にも違いがある

 結婚可能な年齢などの婚姻要件自体が、外国人と日本人では違います。アメリカのように州や郡の単位で違う国や、宗教が関連する決まりのある国など、事情はさまざまです。
 相手が婚姻要件を満たしていなければ結婚の準備が徒労に終わってしまいます。相手に詳しく話を聞いたり、大使館のサイトなどで、婚姻要件をよく確認する必要があります。

国際結婚の具体的な手続とは

 国際結婚の手続には、基本的に次の2通りの方法があります。

(1)日本の方式で結婚する
先に日本の役所へ婚姻届を提出し、日本の方式で結婚したという証明書を外国の大使館・領事館などに提出します。
婚姻届には、戸籍謄本、外国人の婚姻要件具備証明書(婚姻要件を備えているという証明書)・国籍証明書(パスポートでも可)・出生証明書とそれぞれの日本語訳文を添付します。

(2)外国の方式で結婚する
外国の方式で婚姻手続の後、3か月以内に日本の役所に婚姻届を提出します。これにより日本の戸籍に婚姻の事実が記載されます。
婚姻届には、戸籍謄本、外国の役所の婚姻証明書・外国人の国籍証明書(パスポートでも可)・出生証明書とそれぞれの日本語訳文を添付します。

 なお、国によって役所の手続は全く異なります。中国のように(2)の方法しか選べない国もあるので、事前によく確認する必要があります。

在留資格(ビザ)の変更も

 国際結婚をしても、外国人の国籍や在留資格(ビザ)は自動的に変わりません。
 結婚によって仕事が変わるなど在留資格に問題が生じた場合や、日本に「短期滞在」で入国した場合には、「日本人の配偶者等」(通称・配偶者ビザ)という在留資格に変更します。この変更をすれば、日本での仕事や活動に制限がなくなります。
 日本人が外国で結婚生活を送る場合も、現地の制度に従って滞在の資格を変更します。

国際離婚の手続

 国際結婚を解消したいとき、今度は国際離婚の手続をしなければなりません。ただこの場合、結婚の時以上に複雑な問題が絡んできます。

国によって違う離婚の法律や制度

 日本国内で離婚をするときは、法律上、協議離婚の方法が認められています。
 協議離婚は、夫婦が離婚に合意し、離婚届を提出するだけで成立するので、手続はとても簡単です。

 しかし実は日本以外の国のほとんどに、協議離婚の手続はありません。
 フランス、ドイツ、アメリカなど多くの国や地域では、夫婦の合意だけの離婚は認められず、必ず裁判所で手続をとる仕組みになっています。その手続の内容も国によって違います。また中には離婚そのものを公に認めていない国もあります。

どのような手続をとればいいか

 このように、国によって離婚の法律や制度が違うため、法律と関係した複雑な問題が生じてしまうのです。国際離婚をするときは、数多くある問題を一つ一つ解決していく必要があります。

 国際離婚は、国際結婚のときと同じように日本と外国の両国で法律上有効な手続が必要です。一方の国の手続を怠ると、その国で結婚が続く状態になり、後々無用のトラブルが起きかねません。
 手続としては基本的には国際結婚と同じで、一方の国で離婚の手続を行い、離婚成立を他方の国に届け出る、という方法で行います。

 ただ離婚は結婚とは違い、夫婦という法的な関係を解消する手続です。最初の離婚手続で法的に離婚成立が認められなければなりません。
 そこで国際離婚の方法を考えるには、どの国の法律や手続で解決すべきかを確かめておく必要があります。

どの国の法律で離婚すればいい?~問題がこじれたときの解決方法

 では、外国人と離婚したい日本人は、どのような方法をとれば良いでしょう。日本の法律・手続で解決することは可能でしょうか。

どの国の法律か~離婚の準拠法の問題

 離婚のような問題にどの国の法律を適用するかは「準拠法」の問題といいます。
 日本では「法の適用に関する通則法」(通称・通則法)という法律で国際離婚の準拠法も規定されています。次のような場合に日本の法律が適用されます(同法25条27条)。

(1)夫婦が同じ日本国籍の場合(例・配偶者が帰化した)
(2)夫婦の生活基盤が日本にある場合
(3)夫婦に最も密接な関係のある国が日本だった場合
(4)夫婦の一方が日本に生活基盤のある日本人の場合
 これは多くの場合に認められるので、日本で生活していれば協議離婚が可能です。
 離婚届を役所に提出後、相手の国の大使館等にも届け出をします。

 ただ、先に触れたように協議離婚の制度がない国もあり、中には日本での協議離婚を有効と認めない国もあります。あらかじめ相手の国の法律や制度を調べておき、家庭裁判所で審判離婚、裁判離婚が必要かどうか、よく確認しておきましょう。

 これに対し、日本人が相手の国で生活しているなど、準拠法が外国の法律だった場合。
 外国の手続によって離婚手続を行います。その後日本の役所に届出を行い、戸籍に離婚の記載を反映させます。

調停、裁判が必要になったとき

 夫婦で離婚の話し合いがこじれれば、調停・裁判の手続が必要です。日本の法律が準拠法ならば、正式な裁判になったときは法定の離婚原因が必要になります。

 ただ調停・裁判の前に、日本で外国人の裁判手続が行えるかという問題(国際裁判籍の問題)が生じてきます。
 はっきりした法律はありませんが、外国人の相手が日本に住民登録済みであれば調停や裁判は可能と考えられています。1番困るのが、相手が外国に居住していたり、帰国してしまった場合です。
 このときは相手の国で裁判をするのが原則です。ただ相手に結婚生活を続ける意思がないことが明確な場合は例外的に日本で裁判が可能と判断されています(最大判昭39.3.25)。
(1)相手から遺棄された場合(生活費を入れない、理由もなく別居する、など)
(2)相手が行方不明の場合
(3)その他これと同様の場合
 この裁判の段階に至ると、法律問題がよりいっそう難しいものになるので、1人だけで解決するのは非常に困難です。国際離婚を扱う弁護士に依頼して力になってもらいながら、裁判を進めた方が良いでしょう。

国際離婚ならではの大変さとは

 国際離婚は国同士の法律や制度、習慣などの違いを反映して、離婚手続の以外にもさまざまな問題があります。

在留資格(ビザ)の問題を忘れないように

 日本人自身の問題ではありませんが、離婚手続中や成立後に、相手の外国人の在留資格(ビザ)の問題を解決する必要があります。

 「日本人の配偶者等」の在留資格で滞在する外国人は、離婚すれば配偶者でなくなるため、次回の資格更新はできません。外国人が引き続き日本で生活したければ、別の在留資格に変更しなければなりません。

 ただ離婚の話し合いや裁判が続く間は、届出をして日本に滞在できます。離婚が成立しても即座に在留資格を失うわけではありません。
 注意が必要なのは、離婚成立から14日以内に入国管理局に離婚したと届け出る義務があることと。夫婦生活が破綻した日から6ヶ月以内に在留資格を変更しなければ、在留資格が取り消される可能性があることです。

 在留資格は、「定住者」に変更するのが認められやすいようです。
 「定住者」は未成年の子を養育するため日本に引き続きするような場合に認められやすい在留資格ですが、子がいなくても結婚生活が長ければ認められる可能性があります。
 他の就労ビザに変更できるならば、それでも差し支えありません。

 在留資格に関する入国管理局の審査は厳格に行われます。有効期間や手続も頻繁に変更されるので、うっかり手続を忘れがちです。在留資格を失わないよう、よく注意が必要です。

離婚後の子どもの問題~子どもの連れ去りは国際的な問題にも

 離婚手続と同時に、子どもの親権や養育についても決めなければなりません。しかし夫婦の話し合いがこじれると、非常に難しく大変な問題が生じてきます。

 子どもの親権の問題は、子ども自身の国籍や状況によって準拠法が決まります。離婚手続が日本の法律で行われても、親権の判断は外国法に従う場合があるのです。
 そのため親権者、養育費の問題、面会交流などが日本とは大きく違う形で決められることもあります。

 たとえば日本の法律では離婚後の親権者は父母の一方に定められます。親権が争われると、裁判所は子どもが幼ければ母親と決定するケースが多いのです。外国の法律では父母が親権者の国もあり、裁判所の判断も大きく異なります。
 こうした法律や習慣が理由で親権を得られなかった親の一方は、子どもと一緒に暮らせないことに不満を募らせることがあります。

 しばしば起こるのが、外国人が幼い子どもを連れ去り、帰国してしまう問題です。
 外国人が親権を得られなかった場合のほか、離婚前に夫婦が不仲になったときに起こるなど、状況は様々のようです。

 連れ去られた子どもは、住む国や生活が急変したことで、成長に悪影響を受ける可能性があります。親が子ども可愛さでした行為でも、親権のない親が連れ去れば誘拐罪にも問われかねません。しかも連れ去られた親が子どもを取り戻そうと思っても、外国で子どもを取り戻すのは困難を極めます。

 そこで現在では、子どもの保護を目的としたハーグ条約(日本では2014年に発効)により、連れ去りの問題に解決が図られています。
 子どもを連れ去られた親は相手に対し、子どもを元の居住国に返還するよう家庭裁判所に申立を行うことができます。また、相手が子どもへの面会を拒絶しているときでも、面会交流の申立をすることができます。

 このような、連れ去られた子どもを元の国に戻す仕組みはできてきました。しかしこのような出来事は、連れ去った側も連れ去られた側、そして子どもも心に深いしこりを残します。外国で暮らす人はぜひ思い留まるように。相手が日本で暮らす外国人のときは子どものパスポートをきちんと管理したり、気持ちを追い込んだりしないよう、トラブルを未然に防ぐ方法を考えましょう。

まとめ

 このように、国際離婚にはいくつも解決すべき問題があります。
 市町村役場、大使館、裁判所など、離婚手続の段階で色々な場所に赴く必要もあるので、毎日忙しく過ごしていると、様々な手続を進める気持ちの余裕がなくなるかもしれません。
 そんなときに、今回の記事で頭を整理しながら、解決に近づいていただきたいと思います。
 また大変なときは、専門家に依頼することも考えましょう。国際離婚は特に法律問題が複雑なので、裁判には弁護士の手助けが必要です。外国人の在留資格(ビザ)の問題は主に行政書士が手続の代行をしています。お困りのときはぜひ相談をしてみて下さい。

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