パン生地からあふれるカスタード! 関西で超人気クリームパン店創業者は「こだわりという言葉が嫌い」
大阪駅前にある、大丸梅田店前の地下は、夕方の17時半になると、毎日のように行列ができます。
通りすがりの人は、「一体何の列?」と、足を止めることでしょう。
その行列の目指す先にあるものは、尼崎市に本店がある、「バックハウス・イリエ」のクリームパン 1個 179円の限定販売の売場です。
並んだ人たちは、「とにかく美味しい!」と言い、評判のクリームパンを求めてここへやってきます。
販売時間に合わせて、本店で焼き上げているため、届いたときはまだパンはホカホカ。気をつけて持たないと、中からとろーりとしたカスタードクリームが、パン生地を突き破って出てきてしまうほど、たっぷりとクリームが入っています。
食に関しては厳しい大阪。
安くて美味しいものは当たり前で、人気があるからと言って、いつまでも同じことをしていては飽きられてしまいます。
いかにして、美味しいものを飽きられず人気を維持し続けられるのかは、提供する側にとってはいつも課題です。
生存競争の激しい中で、何年も変わらず支持されている秘訣は一体何なのでしょうか?
その秘密を知りたくて、尼崎市園田にある園田本店を訪ね、創業者の入江氏にお話をうかがうことができました。
▲園田本店も客足が絶えない人気店。客足が引いた一瞬がシャッターチャンス!
昭和40年代「もっと美味しいクリームパンを作れる!」と開発
昭和40年代、金沢のパン店でパン職人として修行をし、頭角を表していた入江氏。ある日、東京の有名菓子店による「クリームパン」を食べて、「もっと美味しいクリームパンを作れる!」と確信したとか。というのも、その当時の「クリームパン」と言われる商品は、今のようなカスタードクリームではなく、決して美味しいと思えるものではなかったとか。
そこで、入江氏は、洋菓子用のカスタードクリームをたっぷり使ったクリームパンを開発。発売直後から飛ぶように売れたそうです。
その後、今では大手の百貨店に出店するほど有名な神戸の洋菓子店の社長を務め、昭和63年に独立して「バックハウス・イリエ」をオープン。今のクリームパンの人気へと繋がっていきました。
ここのカスタードクリームは、ケーキに使われているような、とろけるような美味しい味。
有名洋菓子店で、培われた味のカスタードクリームを使用しているのだから、人気があるのは納得できますね。
「こだわり」よりも大事なのはお客さんの喜び
「バックハウス・イリエ」は、1990年代から大丸百貨店に出店し、最盛期には1日に1800個ほどの販売があったとか。
あまりにも行列ができて通行の妨げになるなど、時代と共にさまざまな制限が課せられしまったために、当時ほど作ることはできなくなってしまいましたが、それでも平日は800個、週末は1000個ほど売り上げています。
さて、そのとろけるほど美味しいクリームパンですが、さぞかしこだわりがあるのでは? と質問してみたところ、と一蹴されてしまいました。
とにかく、お客さんが喜んでくれるものを提供することに従事しているだけで、「味のバランスが一番大事」と入江氏。こだわりぬいた素材を使用しているわけではないけれど、何よりも「美味しい」と感じられる味のバランスを大事にしているそうです。
「職人として大事なのは人から求められる商品を極めること」。こぼれ落ちるほどたっぷりと入ったカスタードクリームは「ちょっとしたサービス」と、お客さんに対する感謝の気持ちをこめて多めに入れているのだとか。
その心意気こそが、買う側にとってはとてもうれしく、お得が大好きな関西人の心をくすぐります。
焼きたてのパンは、周知のごとくとても美味しいのですが、このクリームパンは冷めても充分美味しいと思っています。
だから、「冷めても美味しいですよね」と述べたところ、「そんなことはない。焼きたてが一番美味しい」と、決して譲らないところがまさに職人気質の言い分。
入江氏はそう仰いますが、ここのクリームパンは、冷めても美味しさが損なわれず、「冷やして食べるとまた格別」と言う知人もいるほどです。
食パンやシュークリームも人気
さて、ほかにも入江氏が力を入れているのが食パンです。
▲密かな人気商品の食パン
「器用貧乏」とネーミングされた食パンは、親しみを感じます。
トーストして食べてみると、さっくりとした食感で何枚でも食べられそうです。
最近ブームになっているフレンチトーストにしたら、違う美味しさも楽しめます。
また、クリームパンと並んで人気なのが、シュークリーム。
クリームパンとはひと味違ったカスタードクリームは濃厚で病みつきになる味。
▲濃厚カスタードクリームの入ったシュークリーム
やはり洋菓子店のノウハウが感じられて、クリームパンと並んで、人気商品なのがよくわかります。
そして、個人的にオススメなのが、「ゴールデンタイム」。デニッシュ生地に、粒あんと生クリームがたっぷり入っており、もうパンの枠を越えた立派なスイーツです。
▲「ゴールデンタイム」という名前は、「金時」という意味でネーミングされた
パン店で使われるホイップクリームは、動物性の生クリームを使わず、植物性のホイップクリームを使うことがほとんどですが、ゴールデンタイムは生クリームを使用しているので、ケーキを食べている感覚なので、生クリーム好きはきっとはまってしまうことでしょう。
また、「シルバータイム」という商品もあり、こちらはカスタードクリームと生クリームが入っています。
大丸梅田店でのクリームパン販売は、15:00~と17:30~の2回販売。
1個 179円でお一人様10個まで。水曜日は、阪急うめだ本店で販売をしています。
▲園田本店は、イートインコーナーで焼きたてをその場で食べることができる
本店、大丸のどちらで購入してもいいけれど、大阪に行ったときには一度は食べないともったいないクリームパンです。
お店情報
バックハウス・イリエ 園田本店
住所:兵庫県尼崎市東園田町2-48-2
電話番号:06-6494-6353
販売時間:15:00~・17:30~
販売日:水曜日以外
Facebook:https://www.facebook.com/backhausirie/
大丸梅田店
住所:大阪府大阪市北区梅田3−1−1 1 サウスゲートビルディング 地下1階 コンコース 東出入り口
電話番号:06-6343-1231(大丸)
販売時間:15:00~・17:30~
販売日:水曜日以外
阪急うめだ本店(水曜日のみ)
住所:大阪府大阪市北区角田町8番7号
電話番号:06-6361-1381
販売時間:11:30~・15:30~・17:30~
販売日:水曜日
※金額はすべて消費税込です。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新情報はお電話等で直接取材先へご確認ください。
書いた人:Jeana
三重県生まれ。ライター。編集プロダクションを経てフリーに転身。webを中心に活動中。食べることには目がなく大食漢。プリン、モンブランを見つけると食べずにはいられないが、一方でオーガニック、グルテンフリーにも興味津々。
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