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橋爪大三郎氏 日本国憲法はフリーメイソンの理性主義の産物

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 社会学者・橋爪大三郎氏は、かねてより「秘密結社」と言われるフリーメイソンに関心を抱いてきた。氏いわく「日本の占領政策にも深く絡んでいるから」。フリーメイソンは、どこかのプロテスタント教会のメンバーが参加するのが原則で、プロテスタントなら、宗派は問わない。橋爪氏が日本での普及について語る。

 * * *
 フリーメイソンは日本では、なかなか広まりません。なぜか。キリスト教(プロテスタント)の人口が少なく、敵であるカトリックの脅威もない。これでは組織を拡大しようがない。

 そもそも秘密結社の考え方は、日本人と合いません。日本には薩長閥、学閥、軍閥、閨閥などがある。企業や政府機関などに伏在する内部グループで、メンバーは公開。任意加入もできない。秘密結社とは別種の非公式集団です。

 天皇制とも折り合いがよくない。神の子孫ゆえに統治者であるという天皇制・国家神道は、フリーメイソンにすれば、英国国教会やカトリックに見える。

 ではフリーメイソンは日本に影響を及ぼさなかったかと言えば、まったくその逆。天皇の権威が崩壊したのを機会に一気に流入した。そう、敗戦です。

 日本の占領は、フリーメイソンに活躍の場を与えた。トルーマンがグランドロッジ・マスター(フリーメイソンのロッジ=拠点を束ねる総本部の代表者)のまま大統領に就任し、マッカーサーもフリーメイソンでした。

 そのネットワークで部下を集めGHQの要所に配した。彼らが中心になって日本の占領政策を立案した。

 日本国憲法はフリーメイソンの理性主義の産物と言ってもよいほどです。

 大日本帝国憲法は、臣民の「権利」は法律の制限を受けるとしていた。人民の権利よりも、天皇の権威が上位にある。これは受け入れがたい。

 そこで日本国憲法では、天皇はただの象徴で、政治的権限を一切持たない。主権は国民に存する。そして人びとは、生まれながらの人間としての権利(人権)を無条件に持つとされた。よって、法律によって人権が制限されたりしない。そういう法律は作れないし、作れば憲法違反。大日本帝国憲法とはまるで違う。

 戦後改革にも、フリーメイソンの思想が濃厚です。農地改革、財閥解体。土地と資本の不平等な配分を是正した。なぜこうした不平等が生じたかといえば、私有財産や各種の特権が、一部の人びとに集中するような仕組みを、戦前の「旧体制」が作っていたから。ゆえに不正で、この際、強制的に平等にしてしまおうという政策になった。極端な理性主義で、こうなればもう社会主義に近い。アメリカの本流から外れた、社会的実験だったとも言える。

 アメリカ本国は、占領下の日本でフリーメイソンが好きにやっているなと知っていたはずです。でも、反軍部、反天皇制、反国家神道、反共産主義に役立つならまあよいと、片目をつぶっていたのではないでしょうか。

※SAPIO2016年10月号

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