ガジェット通信

見たことのないものを見に行こう

郵便物の送付だけで選挙違反。意外に厳しい内容とは?

DATE:
  • ガジェット通信を≫

 元防衛大臣の田中直紀氏が、7月に行われた参議院選挙において「無届け文書送付」を行ったとして書類送検されました。
 公職選挙法では、事前に選挙管理委員会に届け出を行っていない文書の送付を禁じており、届け出を行わずに約2万通の投票を呼びかける文書を作成、郵送したことが違反となったとされています。

 直接的に問題になった規定としては、田中直紀氏が比例代表で選出されていたことから公職選挙法142条の「文書図画の頒布」1の2です。
 具体的には、「参議院(比例代表選出)議員の選挙にあつては、公職の候補者たる参議院名簿登載者一人について、通常葉書 十五万枚、中央選挙管理会に届け出た二種類以内のビラ 二十五万枚」とあり、2種類以内のビラであれば25万枚まで使用可能であるとされています。
 おそらく、この2種類を超えてビラを作成し、ダイレクトメールのように有権者へ郵送したものと考えられます。郵送した場合、あいさつ状の禁止を規定した公職選挙法147条の2にも抵触する恐れもあると考えられます。

 今回問題となったダイレクトメールまがいの文書送付の他にも、インターネットを活用した投票の呼びかけ。新聞広告などを活用した手法など、様々な投票呼びかけの方法が事細かに規制されています。
 しかし、こうした投票の呼びかけ行為が細かく規制されるのはどういった理由によるのでしょうか?

 この点、公職選挙法1条では、同法の目的として「その選挙が選挙人の自由に表明せる意思によつて公明且つ適正に行われることを確保し、もつて民主政治の健全な発達を期することを目的とする」と規定されています。「公明かつ適正な選挙」と「選挙人の自由な意思表明」のバランスをとることが主たる内容です。

 確かに、選挙に立候補する人は、ダイレクトメールやインターネットなど、ありとある手法を通じて、自らの政治理念などをPRしたいと思うはずです。もっとも、どのような手法を採用するにしても「コスト」がかかります。
 簡単に言えば、お金をかけて宣伝をしまくれば、その分選挙戦は優位になるわけです。

 一方で、立候補する人はお金に余裕のある人ばかりではありません。むしろ、そうした人の中にも、政治家としての資質を備えた立派な人がいるかもしれません。
 そのため、お金の有無による有利不利をできるだけなくして、公平な選挙PRを行わせて、しっかりと投票者に判断してもらうために、かけられるPRの手法と量に制限をかけようとしているわけです。

 確かに、表現の自由という憲法上の重要な権利(日本国憲法21条)はありますが、それを推し進めてしまっては、これまた国民の重要な権利として規定される選挙(日本国憲法前文43条などを参照)の公正さを担保しえなくなってしまいます。そのためのバランスなのです。
 にもかかわらず、できるだけ有利に選挙戦を戦いたいとして、冒頭のような行為に及んでしまう候補者がいるのが残念でなりません。法を守る意識がない人が当選して、立法に携わろうとするのには疑問が生じます。

 投票権を有する国民は、こうした公職選挙法をきちんと守っている候補者なのか、その中でどのようなPR活動を行っている人なのか、など詳細に考えてから「清く重い一票」を投じる必要があるのではないでしょうか。

元記事

郵便物の送付だけで選挙違反。意外に厳しい内容とは?

関連情報

都内の郵便局でダイレクトメール不正値引き(今週の話題 ~法律はこう斬る!)
手紙を隠した場合何かの罪になる?(法律クイズ)
執行猶予の取消(想うままに ー弁護士日誌から)

法、納得!どっとこむの記事一覧をみる ▶
  • 誤字を発見した方はこちらからご連絡ください。
  • ガジェット通信編集部への情報提供はこちらから
  • 記事内の筆者見解は明示のない限りガジェット通信を代表するものではありません。

TOP