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「ダウン症じゃないといいね」医師の言葉にモヤモヤ…。答えはない「子供の障害」

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第2子である娘の産後、産院での入院中に「ダウン症の疑い」という告知を受けました(その後の血液検査の結果、確定診断を貰いました)。 この時のエピソードはこちら:娘が「ダウン症の疑い」。告知を受けて退院、そして大病院での確定診断<前編>

私に直接告知をしたのは、新生児健診を担当された外部の小児科の先生だったのですが、その後すぐに顔を合わせた産院の担当医の先生に言われた言葉が、今でも心のどこかに引っかかっています。

お世話になったところは個人経営の産院で、部屋は個室のみ、産後は母子別室が基本というスタイルでした。

午後には回診の時間があり、そこで担当医の先生とあれこれ話をすることになります。

告知後の回診では、先生ももちろん、その事実をご存知だったのでしょう。

「染色体のこと、小児科医さんから聞いたよね?」

と、まずその辺りの話題から触れてくれました。

生まれたばかりの赤ちゃんについて「染色体異常の疑い」「ダウン症の可能性」とは聞いたものの、ともかく基礎知識がほとんどなかったその時の私は、悲しみや不安というよりも、ただただ戸惑いが大きく、

「どういうことなんですかねぇ…」

などと、ピントのずれた言葉を返してしまってしていたように記憶しています。

「赤ちゃんの顔立ちを見て、もしかしたら、と僕も思ってたんだけどね。あと、手のひらの線がまっすぐなのは、ダウン症児の特徴かな」

これは猿線、あるいはますかけ線と呼ばれるもので、手のひらに真横に走る線のことです。手相で言う「頭脳線」と「感情線」がひとつに繫がった状態で、ダウン症児はこの線を持つ場合が多い、ということでした。

それまでに赤ちゃんの手のひらも触っていた筈なのですが、手相にも疎いせいか、まったくそういった線を覚えていませんでした(後で見てみたら、確かに両手にしっかりと横線が走っていました)。

「こないだうちで生まれた子、隣の市の子なんだけど、ダウン症っぽい顔立ちの子でね。だけどお見舞いに来たお父さんを見たら、そっくりな顔つきで、単にそういう顔の親子ってだけだったよ。そんなケースもあるんで、ダウン症じゃなかったらいいね」

先生は、どうしたって暗めのムードを漂わせている私が、落ち込んだりしないように配慮してくれたんだと思います。けれど、私はこの言葉になんだかもやっとした気持ちを、心のどこかで覚えてしまいました。

そうですね、などと曖昧に返した後、こちらの健康状態などについてのやり取りもあり、この時の回診は終了。

翌日に退院し、家での育児が始まりました。 関連記事:もう願掛けするしか…7ヶ月の娘に『水頭症』の疑い。そして経過観察という長期戦へ

新生児の育児に検査のための大病院の受診、はたまた2歳半の上の子の世話と、退院後はともかく慌ただしく、幸か不幸か我が子の「ダウン症の可能性」について思い悩む暇はあまりありませんでしたが、ネットでちらちらと情報を集めるなどして、少しずつダウン症の知識を得ていきました。

そんな中、産院の担当医の先生から言われたように、

「この子が、ダウン症じゃないといい」

ということを希望にするのは、ちょっと違うのではないかという思いが自分の中にあることに気づきました。

もちろん、ダウン症でなければいい、障害児じゃなければいいというような考えが頭に浮かんだこともありますが、それでもそう願うことには違和感がありました。

結局、娘はダウン症児であり、それにまつわる色々なこともありながら、幸いにそれなりに楽しく子育てをしています。きょうだい仲も良好で、0歳児から通っている保育所でもお友達や先生に可愛がって貰えているようで、娘の人生は今のところ、結構いい感じなんじゃないかと、親ばかながらに思っています。

そんな娘が3歳になった今、振り返ってみると、告知後すぐの私が先生から聞きたかったのは、「ダウン症でない場合」の事例ではなく、「ダウン症の場合」の事例だったんだろうと思います。

そして、

「子供がダウン症児でも、きょうだい仲が良かったり、楽しくやってたりする家族はたくさんいるよ」

「ダウン症者で障害があっても、大人になって、社会の中で仕事をしたり、趣味を楽しんでいる人も大勢いるんだって」

などと教えて貰えていたら、少し嬉しかったのではないかな、と(これらは私が実際に会った方の例であったり、本やネットで得た知識だったりしますが、事実です)。

もちろん、産後間もない状態で、赤ちゃんがダウン症児であることが決定したかのように話されたら不安が強まる、という人もいることでしょう。

担当医の先生は自身の人生観や、産婦人科医としての経験を踏まえた上で、先生なりの判断でああいう風に言ってくれたんだろうとは思います。 関連記事:「お子さんは口唇口蓋裂かもしれません」予想外の診断を受けて泣き崩れたあの日

子供が障害を持つという事実(あるいは疑い)は、自分のことであれ他人のことであれ、人の心になんらかの影響を及ぼすものです。

それにどう向き合うかということに答えはなく、結局、それぞれの判断で対応するしかありません。

ただ、告知を経験した身としては、そうした事実を否定しようとすることより、受け入れに前向きになれそうな何かを教えて貰えることの方が、その先の道を開くことにつながるのではないかと考えています。

著者:Takoos

年齢:38歳

子どもの年齢:5歳・3歳

独身時代の海外在勤中に、福祉先進国な北欧の子育て事情を垣間見る。帰国後は関西と東海の狭間で、妊娠、出産、育児、在宅フリーランスと経験中。好きな言葉は「A life of no regrets」

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