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第75回 刑務所の休日

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 土曜日、日曜日、国民の祝日、年末年始が休日である。また、お盆の時期には、3日の休日が設けられている。その休日の一日も書いておこう。
 さらに、矯正指導日というものがあり、休日扱いではないが、免業日ということで時間割りは休日と同様となる。

 休日の起床時間は7時20分である。朝食は8時ちょっと前くらい。8時30分から10時まで(9時30分だったか?)テレビが入る。
 昼食は11時からで、12時から1時までもテレビが入る。1時から3時までは午睡時間で布団を敷いて寝ることができる。もちろん寝なくともよい。かなり記憶が曖昧だが3時ころにもテレビを見ていた気がする。
 夕食は点呼後4時からで、その後は平日と同じだが仮就寝が冬場は5時30分に繰り上げられている。

 休日には、家族や知人などに、ゆっくりと手紙を書くことができるし、読書もゆっくりとできる。
 変わったところでは、ちり紙(チリシという・トイッレトペーパー兼用)折りもする。ちり紙を4つ折りにして、きれいに重ねていくのである。
 なぜかというと、その大きさにすることで、上着のポケットやズボンのポケットに入るサイズとなるからである。雑居のときには、物差しを当てて、きっちりと重ねている人もいた。
 また、折り目が同じ位置にきてその角だけが盛り上がらないように、折り目は一枚ごとに、90度回転させて、均一になるようにする。房の検査の際に(房検という)、きちんとしているという印象を与えることができるからなのかもしれない。

 そんなこんなで、休日の一日はあっという間に過ぎていく。さほど退屈だと思ったことはない。しかし、腰が痛くなるのだけは避けられない。

 休日ではないが、免業日(作業のない日)である矯正指導日というのがある。毎月第二・第四金曜日がそれである。
 刑務作業はなく、起床時間などは休日と同じである。決められた番組を視聴しその感想文を書いたり、毎月の生活目標を自分で設定して記載したり、さらにはその達成度を自己判断して記載する矯正指導日ノートというのがあって、その記載などをする。
 実質的には休日みたいなものだから、毎月3連休が必ず二度あるということになるし、月曜日が休日だと4連休ともなる。

 矯正指導日には、午前9時ころから指定番組がビデオで流される。NHKの番組が多かったようだ。
 報道特集物が多く、時期的に福島大地震のその後というような番組を、矯正指導日ごとに何本も見せられ、最後には感想文を書く内容に行き詰ることもあった。
 歴史秘話ストーリーというのもたまにあり、これは面白かった。民放の「人生の楽園」もしばしば放送された。

 矯正指導日ノートは2か月に一度くらい提出を求められて担当刑務官が添削をして返してくる。本当に内容を読んでいるのか疑問であったので、他の人に聞いてみると、他の人のノートには刑務官の感想が赤字で書かれているらしい。しかし、私のノートには、刑務官の感想はほとんど、否まったく書かれていなかった。
 何かの折に刑務官から「山本、お前、字が下手だな。もっときれいに書けないのか」と言われた。字が汚くて、刑務官は読めなかった、読む気がしなかったのかもしれない。
 私にとっては、とにかく矯正指導日ノートへの記載は苦痛だった。そんなことで、自己を内省しての矯正になるとはまったく思っていないし(一般的にも)、お為ごかしに立派なことを書くのも嫌だった。
 だから、刑務所生活最後の方で、これ以上ノートの検査がないとなったときに、矯正指導日ノートには、「感想なし」の一言だけを書いた。ささやかな抵抗である。

 ちなみに、出所の際に写しとかで持ち帰ることはできない。写しでも持たせて、事あるたびに、読み返して二度と法を犯さないようにするのがいいのではないか。写しを持たせない理由が不明である。(つづく)

元記事

第75回 刑務所の休日

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