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中学生における英語教育の現状とこれからの方向性は?

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お子さまが小学校に通いだして「私が子どものときは中学校から英語の授業が始まったのに、今では小学校の授業で英語があるのね」と思った保護者のみなさんも多いのではないでしょうか?そうなんです。2011年から小学校の英語は必修化になりました。それにともない、中学校での英語教育にも変化が求められるようになります。

それまで中学校の英語教育は、主に読んだり書いたりすることに重きを置いて、コミュニケーションのツールとして英語を捉えるという視点が不足していました。しかし、国際化に英語は必須であるとの観点から、さらに「聞く、話す」スキルも必要だと指摘されるようになったんです。

子どもの習い事の上位に「英会話教室」がランキングされるほど、英語教育への関心が高まっている今だからこそ、改めて中学生における英語教育の現状とこれからの方向性を見直してみましょう。

中学校で行われている英語教育は今どうなっている?

中学生が英語を学ぶ手段として、学校、学習塾、英会話教室などが挙げられます。ここでは、基盤となる学校の英語教育を中心に、それぞれの特徴に触れていきましょう。

日本で行われている英語教育の取り組みとは?

2016年度に中学校の教科書が改訂されました。教科書によって差がありますが、これまでと同じ単元でも、本文の内容が変わっているなどの変更点が見られます。

なぜ同じ単元なのに、本文の内容が変更されたのでしょうか?

それは、「読む、書く、聞く、話す」の4技能をバランスよく習得することが必要とされるようになったからです。これまでは、「読む、書く」に重点が置かれていましたが、国際化にともない、英語によるコミュニケーションがますます求められるようになったことを反映しているんですね。具体的には、「身近な話題についての理解や表現、簡単な情報交換ができるコミュニケーション能力を養う」(※1)ことが求められるようになりました。

文部科学省のホームページの「外国語教育」のページを見ると、英語教育に関するさまざまな取り組みが掲載されています。このことからも、国全体が英語教育に力を入れていることが分かるのではないでしょうか。

学校以外には学習塾や英会話教室があります。塾では、受験対策として英語を受講している人が大多数でしょう。中には、付属校に通う生徒が、内部進学の対策として学校の補習をしているかも知れません。いずれにしても、コミュニケーションツールとして英語を学ぶというよりは、希望の高校に進学するために必要だからという理由で英語を学んでいることが多いようです。この場合、塾の先生に志望校の過去問を分析してもらい、対策を立て、傾向に合わせてコツコツ勉強していきます。

合格圏内まで偏差値を上げるためには単語を覚え、長文読解にも対応できる読解力も求められます。会話力などとは別分野を鍛えることになりますが、この間に単語力や長文読解の力をぐっと蓄えることができるので、しっかり学んでおきたいものです。

英語教育はいつから実施されている?

英語は、国語、数学とともに主要3教科として位置づけられていますが、そもそも、英語教育はいつから実施されたのでしょうか?

さかのぼること1886年(明治19年)。「学校令」のひとつとして「(第一次)小学校令」が制定され、英語教育が推進されるようになりました。しかし、明治維新後、急速に欧米化する風潮に異論を唱える人も多く、今の小学校高学年から中学校にあたる学年にのみ限定されての実施となりました。しかし、その後、日本語を重視した教育方針へと転換し、小学校での英語教育は禁止され、第二次世界大戦、太平洋戦争の期間は、敵国の言葉として使うことが禁止されるようになったのです。

中学校や高等学校で英語の授業が再開されたのは第二次世界大戦後でした。基本的には、日本語で英語を教えるという授業スタイルだったため、必然的に「読む・書く」技能を習得することが求められていました。

1958年(昭和33年)に文部省(現:文部科学省)が発表した「中学校学習指導要領」によると、英語の授業時間は年間で105時間、週に3時間と定められていました。しかし、選択教科と組み合わせて、実際には英語の授業時間は週に4時間(中学3年生は5時間)でした。(※2)

その後、ゆとり教育の導入により1981年(昭和56年)からは、それまでの週4時間から週3時間となりましたが、英語教育に対する期待が高まる中、この措置には多くの批判が寄せられました。そして1989年(平成元年)の学習指導要領の改定で週4時間に戻されました。

今のままで大丈夫?日本の英語教育の問題点は?

日本の英語教育の問題点は、大きく2つあるのではないでしょうか。

ひとつは、自分の考えや相手に対する意見などを発信する力を養うための教育が不足していたことです。単語を覚える、文法を身につけるというのは確かに必要なことなのですが、それを使ってコミュニケーションをとるという段階までたどりついてはじめて、英語を使って仕事をすることができますね。

もうひとつは、冒頭で述べた「読む、書く、聞く、話す」の4技能のバランスがとれていないことです。英語教育の歴史を見ても、「読む、書く」に力を入れてきた過程が長いので仕方ないかも知れませんが、今後は「聞く、話す」のスキルアップもバランスよく習得することが求められるようになるでしょう。

海外での英語教育はどのように行われているのか?

インド・中国・韓国とTOEFLの結果を比べてみました

総合1位はインド、続いて中国、韓国となっており、日本は最下位となっています。掲載元の表では29カ国の結果が並んでいますが、そこでも日本は全体の28位という結果になってしまいました。

海外で行われている英語教育の実例を紹介~インド・中国・韓国~

では、インド・中国・韓国ではどのような英語教育が行われているのでしょうか?

■インド

インドの英語力は注目を集めていますが、実際には多くの人が話せるというわけではなく、ホワイトカラー層に限定されているようです。教育制度は州によって異なりますが、だいたい中等教育の第1学年から必修化されています。

各州では、その土地の言語が教育言語になっているところもありますが、都市部のホワイトカラー層の約9割は英語が教育言語になっている学校に通わせているそうです。これらの学校に通っている生徒たちの多くは、将来はインド工科大学を始め、アメリカやカナダにある大学への進学を希望していることから、世界で活躍するためには英語が必須だとしっかり認識しているのでしょう。

■中国

中国では、2001年から都市部の小学校1年生、地方では小学校3年生から、週に4時間の英語教育が必修化されています。英語教育の内容も、それまでの語彙の強化などからコミュニケーション力を高めることへとシフトしたことから、授業でもディスカッションを取り入れるなどして、積極的に英語を使う環境づくりを行っています。さらに大学でも統一の英語テストを行い、その結果を公表するなどしていることから、学校側も英語教育に熱が入っています。

インドと同じように、世界を相手に仕事をするには英語力が必須だと深く理解したうえで勉強に取り組んでいるといえます。

■韓国

1997年に英語教育を根本的に改革した韓国は、それまでの暗記中心の教育から、リスニングやライティングの力をつけるような教育に大きく変わりました。小学3年生から英語は必修で、ネイティブスピーカーによる英語の授業を行っています。また、小学3年生から中間テストや期末テストを導入しているのも特色です。

英語教育はなぜ必要?英語教育の意味を考える

なぜ英語教育が必要なのか?「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」とは

なぜ英語教育が必要なのか?と改めて考えてみましょう。

それは、グローバル化した社会の中で活躍を期待されている日本の子どもたちが、せっかく学んだ英語を「実践する場」が少ないからではないでしょうか。英語を日常的に使う環境ではない以上、英語力を実践で試す機会が少ないのは仕方ありません。だからこそ、覚えた単語、コミュニケーションの取り方を実践する場として、学校教育が求められているのです。

文部科学省は、2014年に有識者会議を設置し、「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」を作成しました。これは、「初等中等教育段階からグローバル化に対応した教育環境づくりを進めるため、小学校における英語教育の拡充強化、中・高等 学校における英語教育の高度化など、小・中・高等学校を通じた英語教育全体の抜本的充実を図る。2020年(平成32年)の東京オリンピック・パラリンピックを見据え、新たな英語教育が本格展開できるように、本計画に基づき体制 整備等を含め2014年度から逐次改革を推進する。」(※3)と定義づけられています。

グローバル化に対応するための英語力を身につけ、さらに実際に使えるようになる力をつけてほしいと考えられているのですね。

これからの子どもに英語教育でやらせるべきこと

具体的にどのような場面で英語を使うか、想像しながら勉強すると、理解力が深まるでしょう。「アメリカのグランド・キャニオン国立公園に行ってみたい」「英語関係の大学に進んで、外国の人とスムーズに会話がしたい」など、英語を学ぶ動機づけがあるといいですね。何より、2020年には東京オリンピック・パラリンピックが開催されるので、世界中の人々が日本を訪れることでしょう。そのときに、これまで学んだ英語の力が発揮できるようにコツコツ勉強を積み重ねていきましょう。

これからの子どもは、英語で考え、英語で伝え、英語で聞くという柔軟で高度なスキルが求められます。それを難しく考えるのではなく、コミュニケーションをとるために必要なことであり、さらに文化や言語を超えてたくさんの人々とつながることができるという前向きな気持ちで英語の勉強に取り組んでいきましょう。

■参考資料

(※1)文部科学省「英語教育の在り方に関する有識者会議(第9回)」(2014年9月26日)配布資料より。

(※2)「わが国の中学校における英語の指導時数の変遷の研究」清水貞助

(※3)文部科学省「グローバル化に対応した英語教育改革実施計画」(2013年発表)

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