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大相撲巡業の中身は盛りだくさん 赤ちゃん抱いて土俵入りも

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 町の体育館に「寄せ太鼓」の軽快な音が響く。フロアには大きな土俵。その上では迫力たっぷりの取り組みが行なわれ、力士の動きに会場が沸く──。大相撲の力士は本場所が終わると、次の場所までの間、地方での興行に出かける。年6回の本場所以外の興行は「花相撲」と呼ばれ、中でも人気が高いのが生の相撲が見られる「巡業」だ。

 かつては各部屋や一門が集まって「巡業組合」を作り、一門単独やいくつかの組合が合同で各地を巡っていた。現在ではそのような垣根はなくなり、1956年から日本相撲協会が主導する形で、幕内・十両の全力士が揃って行なわれている。

 巡業の目的は相撲の普及である。地方に住むファンはもちろん、生の相撲を見たことのない観客にも魅力を伝えることを目標としている。そのため横綱や大関同士の対戦といった、本場所の千秋楽でしか見られないような豪華な取り組みが特別に組まれ、地元で相撲の醍醐味を味わうことができる。

 一方で、「ご当地力士」の凱旋にも会場が沸く。角界には“江戸の大関より故郷の三段目”という言葉があるが、ファンは横綱や大関のようなスター力士よりも、地元出身の力士に肩入れする傾向がある。地元出身の力士同士の取り組みとなると、たとえ幕下であっても横綱同士の対戦より大きな声援が飛ぶことも珍しくない。

 巡業の中身は盛りだくさん。まず重要なのが稽古だ。巡業は稽古場所、稽古相撲ともいわれ、力士にとって錬成の場でもある。

 午前中の稽古が大切とされるため、早朝から幕下力士の稽古が始まる。会場が埋まる頃には横綱や大関も登場。稽古場そのままの緊張感が伝わる。普段はあまり稽古をしない一門外の力士の顔合わせもあり、熱心なファンでも嬉しい内容となっている。

 稽古後は様々な催し物が行なわれる。恒例なのは地元の相撲クラブや小学校の子供たちの「ちびっこ相撲」。大きな力士に小さな子供たちが挑む姿に、場内は和やかなムードに包まれる。

 そして、土俵上では「相撲講座」として相撲の基礎知識や、所作の説明、相撲甚句などが続く。こうしたイベントは前述した「組合」時代の名残だ。本場所に比べて人気力士が少なくなるため、観客を楽しませようと、本場所にはない要素が加えられた。

 午後を回るとメインイベントだ。幕内・横綱土俵入りから、取り組みが行なわれ、最後は弓取り式。基本的に本場所と同じ手順で進行するが、巡業では赤ちゃんを抱いて土俵入りすることがあるのも名物。力士に抱かれた子供は健康に育つといわれるためだが、泣き出す赤ちゃんが多く、戸惑う力士を見て場内は大爆笑に包まれる。

 本場所のような張り詰めた緊張感はないものの、こうした力士とのふれ合いを楽しめるのが巡業の最大の魅力だ。

撮影■小笠原亜人矛 取材・文■鵜飼克郎

※週刊ポスト2016年9月16・23日号

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