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【タベアルキスト】石渡農園~食材のルーツを辿る旅 其の5(後編)~産地を巡る冒険

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みなさん、こんにちは! メシ通レポーターのタベアルキストKikutaniです。

「料理」と「生産者」。両者を繋げる魅力ある「食材」。そのルーツを辿る旅も、今回で5回目となりました。

今回は、地域ブランド野菜として知名度の高い神奈川県の「三浦野菜」の中から、「三浦こだわりかぼちゃ」を取り上げます。

前編では7店8種のかぼちゃグルメを通して、こだわりの生み出す味わいを感じました。

後編では、かぼちゃの生産現場を訪ね、味を生み出すこだわりに迫ります!


津久井浜の畑を訪ねて

「三浦こだわりかぼちゃ」は、JAでブランド管理を行っており、産地全体で生産をしています。今回はご紹介いただいた、津久井浜で農業を営んでいらっしゃる、石渡さんの農場をうかがうことにしました。

今回、様々なかぼちゃ栽培のこだわりをお話ししてくださった、石渡さん。

もう、30年もかぼちゃ栽培を手掛けていらっしゃる大ベテランです。

早速、畑を見学させていただきたいとお話ししたところ、驚愕の回答が。

石渡さん「もう、畑終わってるよ。」

私「なんですって!?」

なんと、収穫期は終わっていた

前編のイベントが、8月までだったので、収穫真っ盛りかと思いきや、なんと収穫は終わっているとのこと。チラシにも6月~8月が最盛期とあったので、油断していました。それでも……と連れて行っていただいた畑がこちら。

うん。完全に収穫終わっていますね。傷がついてしまったり、サイズが合わなくて出荷できないかぼちゃが、ところどころ転がっていました。9月からはキャベツ栽培が始まるらしく、その準備中だそうです。

後日JAの方からいただいた最盛期の様子がこちら。

6月の頭がピークで、その頃は丘一面にかぼちゃが茂っているとのことでした。

石渡さん曰く、「6月の頭に向けて全力で調整しているので、そこが最もおいしい。『三浦こだわりかぼちゃ』の特徴が一番出ている」とのこと。

ということは、私が前編で食べ歩いた、かぼちゃグルメは全力の「三浦こだわりかぼちゃ」ではなかったということ……。

十分、他のかぼちゃを上回る美味しさだったので、全力の美味しさはどれほどのものなのでしょう?

ぐっと我慢の2週間に秘密あり

「三浦こだわりかぼちゃ」は、それ専用の品種があるわけではありません。

ごく一般に売られている「みやこ」という品種を、栽培の工夫とこだわりを持って育て上げ、ブランド表示できるレベルまで味を高めているのです。

こだわりのポイントは2つ

① 通常より約2週間、畑で長く育て完熟させる

② 専用の有機肥料を使う

通常、かぼちゃは実がついてから30日ぐらいで収穫でき、それ以上長く置いても大きくはならないそうです。大きくはならないですが、栄養(でんぷん)はさらにため込んでいきます。

「三浦こだわりかぼちゃ」は、通常30日のところ、さらに2週間長く、45~50日間畑で栽培し、通常のかぼちゃよりでんぷん量を増やしています。カチカチにコルク化したヘタと、固く張った皮は完熟の証拠。

前編で感じた、かぼちゃの密度が濃いという印象、どうやら間違ってはいないようです。

かぼちゃのでんぷん量は、ほくほくとした食感につながります。

このほくほく感こそ、「三浦こだわりかぼちゃ」の神髄。石渡さんはこの、高でんぷん量が生み出す、ほくほく感を味わってほしいと考えているそうです。

育てる期間を長くするほど、味が濃く、美味しくなるという話は、野菜に限らず、お肉などでもよく聞く話と考えると、納得できるのではないでしょうか?

もう一つのこだわりは、肥料。三浦の農協がかぼちゃ専用に開発した有機肥料を使うこと。資料によれば、カロチンの量が増えるように配合を工夫しているそうです。

栄養豊富とされる緑黄色野菜のかぼちゃの栄養価をさらに高めようというのですから、ここにもこだわりが見て取れます。

この2つのこだわりを満たしたかぼちゃだけが、「三浦こだわりかぼちゃ」を名乗り、その証である白いシールを付けることが許されます。

さすが「こだわり」を冠するだけのことはあります。

美味しいって何ですかね?

石渡さんへのインタビューの中で、「美味しいって何だろう」というやり取りがありました。

かぼちゃの美味しさの表現に「ホクホク」と「甘い」がありますが、ホクホクと甘いは相反する要素です。ホクホクの素であるでんぷんが分解されると糖になり、だんだん、べチャッとしているけど甘いかぼちゃになります。

ホクホクと甘い、どっちが美味しいのだろう? という話です。

実はこの話、石渡さんと前編で登場したお店で全く逆でした。

石渡さんは、ホクホク重視派。「ズルズルベチャベチャのかぼちゃなんて!」という感じで、でんぷん含量の多さをウリとする「三浦こだわりかぼちゃ」の農家らしいお言葉。

お店側は、甘味重視派が多かったです。「届いたばかりだと、かぼちゃの香りや甘さが弱かったけど、少し寝かせたらぐっと良くなった」とはアーセンプレイス店主の談。スイーツを作る側としては、ごく当たり前の感覚なのでしょう。

食べるタイミング次第でホクホクも甘いも高いレベルで実現できる、「三浦こだわりかぼちゃ」ですが、その実力を最大限に引き出すには、どうやら調理する人と食べる人にも、自分の理想のかぼちゃはどうあるべきかという「こだわり」が必要になるみたいです。

でんぷん量も糖度も、機械で測れるものですが、ただ数字の大小を追うのではダメ。

自分の美味しいは、自分の舌で決めるという、タベアルキストのポリシーを再確認する旅となりました。

書いた人:Kazushi Kikutani

ご当地グルメフリークで、野菜ソムリエの資格をもつタベアルキスト。B級グルメや郷土食、旬や特産品を活用した料理に目がない。食べ歩きに際しては、情報よりも店舗から感じるインスピレーションを重視。「美味しいもイマイチも丸ごとひっくるめて楽しむのが食べ歩きの醍醐味」と語る。 Webサイト:Tabearukist Association facebook:Tabearukist Association

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